建設業では、人件費を計算するときに「人工代」という単位から請求を行います。
人工代によって作業員一人あたりの費用を計算すれば、正確な請求書を作成できるようとなります。
しかし、これまで請求書の作成をしたことがない方は「人工代の詳細や書き方がわからない」という悩みもあるでしょう。
当記事では、建設業における人工代の詳細から相場、書き方、注意点まで詳しく解説します。
人工代を理解して正確な請求書を作成できるようになるため、ぜひ参考にご覧ください。
目次
建設業の人工代とは
建設業の人工代とは、作業員の1日あたり必要な人件費のことです。
1人の作業員に対してかかる賃金を表しており、時間や作業の単位で計算されます。
例えば、1日に必要な人工代が30,000円の場合、3日の労働で90,000円の賃金が必要のため3人工という単位で表されます。
作業員が5人いる場合は5人×3日で15人工となり、合計450,000円の人件費が必要となる計算です。
作業員の適切な人件費を計算するためにも、人工代は重要な単位となっています。
建設業の人工代の相場について
建設業では、建設プロジェクトを決められた予算内で進める必要があります。
全体的な人工代の相場を理解しておけば、コスト管理をしながら適切な予算を提示可能です。
こちらでは、建設業の人工代の相場について詳しく説明します。
人工代の相場は職種によって変動
人工代の相場は、建設業の職種によって大きく変動します。
上記のように建設業の職種によって人工代の相場は異なります。
2023年3月から適用された公共工事設計労務単価の決定によって、前年度比5.2%引き上げとなり全職種加重平均値が22,227円となりました。
建設業界では作業員の高齢化が進んでおり、人材不足を改善するために人件費が高騰しているものの、地域によって費用に差が出る場合があります。
また、作業内容や役職、スキル、資格の有無、会社の規模などによっても異なるため、相場はあくまでも目安の数値として理解しておくようにしましょう。
給与・外注費の扱いについて
作業員に支払う人工代は、契約関係や業務の実態から総合判定によって「給与」もしくは「外注費」のどちらかとなります。
例えば建設会社が雇用している作業員の場合、人工代は給与として扱われます。
一人親方に作業を依頼する場合、基本的には外注費として扱われる流れです。
ただし、業務の実態によっては、扱いが変わることもあります。
人工代の扱いを間違えてしまうと、追徴課税を支払うことになるため注意が必要です。
給与・外注費を適切に判断するためには、国税庁が提示している消費税税法の基本通達をチェックしてください。
自身で判断ができないときは、税務署の窓口に相談するようにしましょう。
人工代の計算方法
人工代を計算するときは、人数と日にち、数量、単価によって算出します。
例えば、5人の作業員が5日間作業をした場合人工代の数量は25となります。
1日の単価を10,000円にすると、5人×5日間×10,000円で250,000円(税別)です。
上記計算を手間をかけずに実施するためには、請求管理ソフトの導入をおすすめします。
建設業における人工代を含めた請求書の書き方
建設業における人工代を含めた請求書は、項目によって適切な書き方があります。
各項目の内容を詳細に記載しておけば、請求書の管理がしやすくなるため、ポイントを押さえておきましょう。
請求書のあて先
請求書のあて先では、発注者の社名や事業部名、担当者名を記載します。
社名を記載するときは「御中」、担当者名には「様」を付けるようにしてください。
株式会社を記載するときは『(株)』と省略しないことがビジネスマナーです。
請求内容
請求内容では、提供するサービス名や単価、数量、金額を記載します。
請求書には「品名」、「単価」、「数量」、「金額」の項目があり、適切な記載を行う必要があります。
品名では、クライアントに提供したサービス内容を詳しく記載してください。
例えば建設業の場合、内装塗装作業や配管作業などのサービス内容を記載します。
そして対応したサービスの単価、数量を計算し、最終的な金額を算出します。
請求内容は人工代に当てはまる部分になるため、間違いがないように記載しておきましょう。
消費税
消費税は、全体的な請求内容を作成後に記載します。
消費税は対象によって税率(10%もしくは8%)が異なるため、分けて記載してから消費税額を算出します。
一般的に人工代の請求書は軽減税率に該当しないため、通常の消費税で計算して問題ありません。
もし前年の売上高が1,000万円以下の場合、非課税事業者になるため消費税の納税が免除されます。
源泉徴収税
源泉徴収が必要な場合、合計金額から差し引いて記載するようにしましょう。
源泉徴収は、給与の支払い者が受け取り手の代わりに税金を差し引いて国に納付する制度です。
人工代の支払いが給与になる場合、発注者は所得税や復興特別所得税を差し引いて国に納付する必要があります。
支払いが外注費として扱われるなら、源泉徴収税は記載しません。
源泉徴収税を計算するときは、支払い金額×10.21%となります。
支払われる金額が100万円以上の場合、支払われる金額-100万円×20.42%+102,100円となります。
発行日
発行日には、発注者の指定する締日を記載します。
発行日は請求書の作成日とは異なるため、間違わないよう注意が必要です。
支払い期日
支払い期日には、相談のうえ決定した支払い日を記載します。
「下請代金支払遅延等防止法」の法律では、受領より60日以内となっています。
発注者によっては支払い期日が曖昧になることもあるため、遅延防止のためにも支払い期日の記載が大切です。
発行者
発行者には、自身の氏名を記載します。
請求書のフォーマットによっては、住所や郵便番号、電話番号も記載することがあります。
発注者が誰の請求書であるか知るために必要のため、必ず記載しておきましょう。
振り込み先
振り込み先には、金融機関名や支店名、口座の種類、口座番号、名義を記載します。
指定した金額を支払ってもらうために必要のため、間違わずに記載することが大切です。
特に口座の種類は人によって当座か普通に分かれるため、間違わないようにしておきましょう。
口座名義を記載するときは、漢字ではなくカタカナで記載します。
発注者に振り込み手数料を負担してもらう場合、合わせて記載しておきましょう。
特記事項
特記事項では、請求と支払いに特別な条件があるときに記載します。
支払いの分割や支払い日の変更などの条件がある場合、特記事項に記載しておきます。
請求書番号
請求書番号には、自身や発注者が管理できるように記載します。
請求書の右上に記載する内容となっており、振り込み済みの有無を把握できます。
請求書番号をデータとして保存しておけば、パソコンから検索をして簡単に特定可能です。
請求書番号の付け方にルールはありませんが、基本的には取引先番号・取引日時・取引番号の順番に並べます。
請求書の管理を行うためにも、請求書番号を記載しておきましょう。
インボイス制度の項目
インボイス制度に対応している場合、インボイスの登録番号や軽減税率の対象であることを記載します。
インボイス制度の有無によって発注者が支払う金額は異なるため、作業員が登録しているときは記載が必要です。
インターネットにはインボイス制度に対応した請求書テンプレートが豊富にあるため、登録が済んでいる場合は登録番号や軽減税率の対象である旨を記載しておきましょう。
建設業で人工代を扱う際の注意点
建設業で人工代を扱うには、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
トラブルを防止するためにも、以下のような点に注意してください。
請求書の保管期間を厳守する
人工代の請求書は、一定期間の保管が必要です。
個人事業主の場合、申告の種類にかかわらず請求書は5年間保管しておかなくてはいけません。
請求書の保管期間は確定申告の期限日の翌日を基準としているため、発行日は起算点となりません。また、帳簿を作成する場合、個人事業主は7年間の保管が必要です。
さらに納税義務者にあたる個人事業主の場合、請求書は7年間の保管が義務となっています。
保管期間内に請求書が必要になることもあるため、自身の判断で破棄しないよう注意しましょう。
給与と外注費の判定基準を理解しておく
人工代の支払いは契約関係や業務の実態の総合判定によって、給与か外注費のいずれかに分類されます。
こちらは自身の判断で決定できる要素ではなく、扱いを間違えると追徴課税を支払わなくてはいけません。
雇用契約による対価を支払うなら給与、事業者が請負契約によって事業を行うなら外注費となります。
ただし、業務の実態によっては扱いが変更することもあるため、全体的な評価によって判断する必要があります。
国税庁の消費税税法の基本通達に詳しい内容が記載されているため、請求書を作成するっときはチェックしておきましょう。
まとめ
今回は、建設業における人工代の詳細から相場、書き方、注意点まで詳しく解説しました。
人工代は作業員の1日あたり必要な人件費であり、適切な請求書を作成するために重要な単位です。
作業員の人数や作業日数によって人工代は異なるため、正確な計算を行う必要があります。
また、契約関係や業務の実態からの総合判定によって、給与か外注費の扱いが異なる点に注意しましょう。
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【引用】令和5年3月から適用する公共工事設計労務単価について