社員が高いモチベーションを維持して仕事に取り組んでくれれば、より高い成果を残すことができます。しかし、建設業界の企業の中には、「モチベーション管理がうまくできない」、「社員のモチベーションが低い」などといったことに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、社員のモチベーションの管理方法や向上させる方法などについて解説しています。モチベーション管理に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
モチベーション管理とは
モチベーションとは、やる気や動機のことだと考えてください。そして、モチベーション管理とは、その名の通りモチベーションを管理すること。つまり社員のやる気を高めたり、動機を行ったりすることです。
モチベーション管理のメリット
モチベーション管理を行うことで、社員のやる気や仕事に対する意識が高くなるため、生産性の向上が期待できます。モチベーションが低い状態では、仕事に対するやる気もない状態でしょう。そのような状態だと、「自身の持つ最低限の仕事をこなす」という受け身の姿勢になってしまうため、生産性は低いものとなってしまうでしょう。
また、モチベーションが高い状態であれば、離職防止にもつながると考えられます。モチベーションが高いということは、仕事に対しても意欲的に取り組める状態です。そういった人が簡単に会社を辞めようと考えることは、なかなかないと予想できます。
モチベーションが低下する原因
企業にとっては、社員のモチベーションが高い状態が理想的です。しかし、さまざまな要因によってモチベーションが低下してしまいます。
例えば、普段の仕事の中でも、仕事に対する不安や心身の疲労、職場の人間関係などが影響し、モチベーションが低下することは珍しくありません。
このような事態は誰にでも起こり得ることです。会社として社員のモチベーション管理を行うためにも、これらの要因を取り除くようにしなければなりません。
モチベーション管理のポイント
ここでは、モチベーション管理を実際に行う際のポイントについて解説します。
外的動機づけ
社員がモチベーションを高める要因の1つに外的動機づけがあります。これは、外的要因によってモチベーションが高まるというものです。
外的要因の代表的なものに報酬があります。仕事を頑張れば報酬が高くなるから、仕事を頑張る人は少なくないでしょう。これは報酬という外的要因によってモチベーションが高くなっている例です。そのほかにも、評価や懲罰、さらには強制なども外的要因に挙げられます。
外的動機づけによるモチベーション管理は、効果が早く出るという特徴がありますが、時間が経つにつれてどんどん効果は弱くなっていきます。また、外的動機づけを行ったからといって、100%モチベーションを高められる訳ではない点にも注意が必要です。
内的動機づけ
内的動機づけによっても、モチベーションを高めることが可能です。内的動機づけとは、自分自身の内面から動機づけを行うものです。具体的には、仕事に関する興味や関心などが当てはまります。仕事に対する興味があるからモチベーションが高い、仕事を通してスキルアップに取り組みたいからやる気がある、といったイメージです。モチベーションが高い社員の多くは、内的動機づけによるものだと考えられます。
マズローの「欲求5段階説」
モチベーション管理を行ううえでは、アメリカの心理学者であるマズローが提唱した「欲求5段階説」について理解しておくことが大切です。これは、欲求を以下の図のように5つの段階に分けて考えています。
最初の生理的欲求は、生きるために欠かせない、食べる・飲む・寝るといったことに対する欲求です。この生理的欲求が満たされると、次に安全欲求が発生します。これは、自分自身の安全や健康を維持するための欲求のことです。
その後、第3段階で社会的欲求が発生します。これは、社会へ帰属したいという欲求のことであり、仲間や友達が欲しいという考えなどが当てはまります。
そして、仲間ができ、組織に属するようになると、次に尊厳欲求が現れます。これは、仲間から認められたい、尊敬されたいという欲求のことです。
最後に出てくるのが自己実現欲求です。これは、自分のスキルを活用して社会の中で自己実現を果たしたい、創造的な活動に取り組みたい、といった欲求のことです。
モチベーションに関連する部分であるため、ぜひこちらも覚えておいてください。
モチベーション管理をうまく行う方法
ここでは、モチベーション管理をより上手く行うためのポイントについて解説します。
コミュニケーションを大切にする
社員のモチベーションを管理するためには、コミュニケーションの取り方が非常に重要です。特に、社員を叱るときや褒めるとき、年上部下とのコミュニケーションには気をつけましょう。
社員を叱るとき、褒めるとき
社員を叱るにしても、叱り方次第ではモチベーションを大きく下げてしまう恐れがあるでしょう。
問題が起こったらすぐに叱るようにしましょう。後になってからだと「なんで今更」と不満を感じる社員が出てくるためです。
また、叱る時は、相手の息がつまらないように、業務を行う場所とは別の場所で叱るようにしましょう。さらに、叱る際の声が周囲に聞こえないように注意が必要です。
叱る時だけでなく、褒める時も褒め方次第でモチベーションがアップするため、やり方には注意が必要です。まず、褒める時は具体的な内容やそれまでの過程などを褒めることが大切です。表面的に褒めるだけでは、社員の心には響きません。細かい部分まで褒めることができれば、社員は「ちゃんと見てくれている」という気持ちになるため、モチベーションもアップするでしょう。
年上部下
特に現場作業では、年上部下を指導する機会が多いです。
良好な関係を築くために、以下4点を意識してコミュニケーションを図りましょう。
詳しくは、年上部下のマネジメントについて解説している記事をご参考ください。
業務の目的を伝える
モチベーションが低い社員にありがちなのが、「何のために業務を行なっているのかわからない」というケースです。例えば、資料を作るにしても、何に使われる資料かわからないから、実際に使用される場面をイメージできず、手を抜いてしまう恐れがあります。そのような事態を避けるためにも、しっかりと業務の目的を伝えること大切です。
ワークライフバランスを整える
ワークライフバランスとは、プライベートと仕事を調和させることによって双方で得られる好循環のことです。近年では、特に若い世代でワークライフバランスを重視する傾向が見られます。
以下の表は、既婚や独身に関係なく、男女ともにワークライフバランスが取れていると感じる人の方が仕事への意欲が高いことを示しています。
世代によっては、家庭よりも仕事が大切、という考えを持った人もいるかもしれませんが、社員のモチベーションを管理するためには、ワークライフバランスを整える必要があります。
公平な人事評価を行う
適切な人事評価を行うことも、社員のモチベーション管理には効果的です。社員は自分の仕事が評価されているとわかると、「さらに頑張ろう!」と考えるでしょう。一方で、評価を行う人の好き嫌いによって下されている不公平な評価だと、不平不満を感じる社員が多くなります。そうなると、社員のモチベーションも低下してしまうでしょう。
公平な人事評価を行うには、評価制度の見直しが必要になる場合もあります。例えば、複数の上司による評価を行う制度や、上司だけでなく部下や同僚などからも評価される制度であれば、不公平感を感じる社員も少ないでしょう。
面談で個人の目標を設定する
仕事に取り組む際に、具体的な目標を設定せずに働いている人は少なくありません。目標がないと、何のために仕事を行うのかわからなくなり、結果的にモチベーションも低下してしまいます。そのため、企業は社員と上司が1対1で面談を行う機会を作り、そこで個別に目標を設定するようにしましょう。
環境を整える
働き方改革が推進されていますが、現場作業には未だに3K(きつい、汚い、危険)が存在しているでしょう。
近年は女性の現場作業員も増えているため、上司が安全面や衛生面などを考慮することで、モチベーションアップに繋がります。
特にトイレや更衣室は、清潔に保ち使いやすい環境を整えましょう。
まとめ
今回は、工務店において社員のモチベーションを管理する方法について解説しました。モチベーションが高い状態を維持できれば、生産性向上が期待できるなど、会社にも大きな影響を与えてくれます。
モチベーション管理を行う際には、社員のモチベーションが下がる原因を理解したうえで、ワークライフバランスの整備、公平な評価制度、1対1での面談の機会などを用意するようにしましょう。
・自分の熱意をみせる
・礼儀をわきまえる
・伝え方に注意する
・年上部下の考えや悩みを聞く