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建設業法改正のポイントとは?改正前後の違いを徹底解説

建設業法は2019年に改正され、2020年10月から施行されました。この記事では、建築業法について、どのような改正が行われたのかそのポイントを解説します。

建設業法とはそもそもどのような法律なのか、改正の背景には何があるのかといった点についても取り上げているため、ぜひ参考にしてください。

建設業法とは?

建設業法とは?

建設業法は建設業の基本となる法律であり、建設に関する各種許認可や現場管理の決まりごと、書類のルールなどを定めています。
ここでは建設業法の目的と背景を説明します。

建設業法の目的

建設業法の主な目的は、以下の3点です。

建設業法の目的
  • 建設工事の適正な施工を確保する
  • 発注者を保護する
  • 建設業の健全な発達を促進し公共の福祉の増進に寄与する

これらの目的を実現するために、建設業法では、建設業を営む人々の資質向上と工事における請負契約の適正化などを図る必要があると定めています。

実際の工事現場においては、これらの目的が十分に達成できているわけではなく、例えば適正な工期で工事ができないケースも少なくありません。

建設業法改正の背景

2019年に改正され、2020年10月に改正法が施行された建設業法。
改正の背景には、建設業全体が働き方改革の推進や人材活用による生産性向上の必要性などが挙げられます。

建設業では長年にわたって長時間労働が常態化しており、他の産業と比べて休みも少ない状況でした。

また、現場で働く作業員は高齢化が進行しており、若手が少ない点は長年の課題です。
建設業法はこのような状況を改善し、建設業をより働きやすい業界にするために改正されました。

ちなみに建設業に対しては災害発生時の復旧・復興を担う地域の守り手としての活躍も期待されており、建設業法ではそのための事業環境の確保についても触れられています。

建設業法改正のポイント

建設業法改正のポイント

建設業法について理解するためにも、改正のポイントを押さえておきましょう。ここでは、具体的なポイントとして以下の3点について解説します。

建設業法改正のポイント
  • 建設業における働き方改革の促進
  • 生産性の向上
  • 持続可能な事業環境の確保

建設業における働き方改革の促進

改正建設業法では、働き方改革を促進するために長時間労働の是正および処遇改善に関する取り決めが扱われています。

例えば、長時間労働是正に関しては、国土交通省に設置された諮問機関である中央建設業審議会による工期基準の作成・勧告が行われるほか、著しく工期の短い工事の請負契約禁止、さらには違反者に対する勧告の実施など、建設業者を守ろうとする取り組みが少なくありません。

建設業における働き方改革の促進(引用:建設業法、入契法の改正について-国土交通省)
【引用】建設業法、入契法の改正について-国土交通省

また処遇改善に関しては、社会保険への加入を建設業の許可要件になるなど基準の見直しを行っているほか、下請け代金の中でも労務費相当分は現金払いにするなど現場の作業員が働きやすい環境整備につながる取り組みが見られます。

建設業における働き方改革の促進(引用:建設業法、入契法の改正について-国土交通省)
【引用】建設業法、入契法の改正について-国土交通省

生産性の向上

建設業が抱える若手人材不足や高齢化、長時間労働などの課題を改善するために、改正建設業法では生産性の向上についても取り扱っています。

具体的には、元請け業者の監理技術者の補佐を行う制度を導入し、監理技術者が複数の現場を兼任できるようになりました。
また主任技術者に関しては、一定未満の工事金額などの条件を満たしていれば設置不要としています。

これらによって、限りある人材を効率よく活用できるようになるでしょう。

生産性の向上(引用:建設業法、入契法の改正について-国土交通省)
【引用】建設業法、入契法の改正について-国土交通省

そのほかにも施工の効率化に向けた取り組みとして、資材の欠陥が原因の施行不良が発生した場合、建設業者への指示が入るだけでなく、建設資材業者への改善勧告や命令が行われるようになりました。

施工の効率化に向けた取り組み(建設業法、入契法の改正について-国土交通省)
【引用】建設業法、入契法の改正について-国土交通省

持続可能な事業環境の確保

建設業がこれから先も持続的な発展をしていくためには、事業環境の整備が欠かせません。
改正建設業法では、企業経営にさまざまな人材が関われるように、これまであった経営業務管理責任者についての規制を合理化しています。

建設業を経営する場合、これまでは建設業における5年以上経営経験者が役員にいなければならない決まりでした。

しかし改正法では一定の条件を満たし、経営能力があると判断されれば5年以上の経験者が役員にいなくても建設業の認可を得られるようになりました。
これにより、建設業の経営に対するハードルが下がり、経営を継続できるようになるでしょう。

建設業法改正に伴う注意点

建設業法改正に伴う注意点

さまざまな課題を抱えながらも、企業は建設業法改正に対応しなければなりません。ここでは、改正法に対応する際の注意点として、以下の点について解説します。

建設業法改正に伴う注意点
  • 請負契約書を見直し
  • 社会保険への加入
  • 人員配置の見直し
  • 長時間労働の改善

請負契約書を見直す

建設業法の改正により、請負契約書の見直しが必要となります。これまでは、著しく短い工期による工事の請負契約が行われていましたが、法改正によってそのような契約は結べなくなりました。

また、契約書には工事を行わない日や時間帯を記載しなければならないため、従来の請負契約書をそのまま使うこと 不可能です。そのため、契約書の内容を見直す必要があります。

なお見積書に関しても、工事の工程別に作業日数、準備日数を明記しなければならないため、内容を見直す必要があります。

社会保険への加入

建設業の許可を取得もしくは更新するためには、社会保険への加入が要件となりました。そのため、未加入の企業は加入しなければ建設業を続けられなくなります。また、すでに社会保険に加入している企業でも、5年ごとに更新があります。社会保険の加入状況が審査されるため、継続して加入しておかなければなりません。

社会保険は従業員を守るためのものですが、企業を守るためのものでもるため、必ず加入しましょう。

人員配置の見直し

改正建設業法に対応するためには、適切な人員配置を考えなければなりません。これは、先ほども説明しているように、建設業法の改正により監理技術者の兼任が認められるようになったほか、条件次第では下請けの主任技術者の設置も不要となるなど人員配置の形が変わるためです。

また同様に、経営業務管理責任者規制の合理化により、経営管理責任体制の見直しが可能となります。今後の企業経営をより良いものにしていくためにも、人材確保や人員の見直しを行う必要があるでしょう。

長時間労働の改善

建設業法改正の背景には長時間労働の改善があります。そのため、企業は従業員の働き方改革に取り組み、長時間労働を是正に努める必要があります。

具体的には、無理を求められるような工期での工事を行わず、適正な工期の設定を目指すほか、管理体制の見直しを行う必要があるでしょう。

また、現場のIT化を促進し業務効率化を図るなどして、生産性の向上にも務める必要があります。

まとめ

今回は、建設業法に関してその概要から改正の背景と具体的なポイント、企業が改正法に対応する際の注意点について解説しました。

建設業法は建設業の基本となる法律です。改正法では働き方改革の促進や生産性の向上など、現場で働く人々がよりよい環境で仕事ができるように各種取り組みが定められています。
今回の内容を参考に、改正建設業法に対応してください。

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