IT化とはICT化とも呼ばれており、IT技術を活用して業務効率化を図ることです。
建設業界を取り巻く「人手不足」「3Kイメージ」を解消するために、多くの企業でIT化が進められています。
今回は、IT化の現場と背景、対策について解説します。
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目次
IT化(ICT化)とは
IT化とはICT化とも呼ばれており、正しくは「Information and Communication Technology」と言います。
これは、IT技術を活用して業務効率化を図ることです。
具体的には、スマートフォンやタブレット端末を使用した図面作成や確認、システムを活用した情報共有、遠隔システムを利用した業務指示などが挙げられます。
例えば、IT化以前であれば、見積書を確認する方法は、会社に戻って自分で確認するか、社内にいる同僚にメールで確認するしかありませんでした。
しかし、見積書をクラウド上に保存できるITシステムを導入すれば、現場からでも見積書の確認ができるようになり、無駄を省くことができます。
IT化を進めることによって、業務効率化が図れるのはもちろんのこと、人手不足の解消などの効果も期待できます。
建設業界におけるIT化の現状
建設業界においては、IT化がどのくらい進んでいるのでしょうか。
ここでは、建設業界におけるIT化の現状について解説します。
建設業界のIT導入率
IT化と一言で言っても、そのサービス内容は多岐渡ります。その1つとして挙げられるのがクラウドサービスです。
企業の中にはクラウドサービスを利用しているケースが多く、総務省の令和5年通信利用動向調査によると、企業全体でその割合は77.7%となっています。
さらに、建設業となると71.7%の企業がクラウドサービスを導入していることがわかります(令和元年の調査結果)。ちなみに、平成30年の結果は65.1%でした。
新型コロナウイルスをきっかけにIT導入が加速
2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、多くの企業が影響を受けました。これによりIT導入を図った企業も少なくありません。
建設業界に特化した人材サービス企業JAGフィールド株式会社では、建設業で3年以上働いている人を対象として新型コロナウイルス感染拡大によって建設業界がどのように変化したのか調査を行っています。
新型コロナウイルス感染拡大による影響はさまざまで、具体的には以下のようなものが挙げられました。
これらの影響によって発生している支障については、以下のような回答が挙げられています。
上記のような支障に対して、今後解決していくためにどうするか、という質問に対しては、以下のような回答が見られました。
これらの結果からは、新型コロナウイルス感染拡大によって、建設業がさまざまな影響を受けました。
それによって発生した支障を解決するための手段の1つとして、IT化が掲げられています。
建設業界がIT化すべき理由
人手不足解消
IT化を図ることによって、企業の人手不足解消促進も期待できます。
高齢化が進んでいる日本において、人手不足は深刻な問題となっています。
建設業においては、これまで長年にわたり建設業に従事してきた人が、高齢になり引退していく中、若手の確保が十分にできていない企業が少なくありません。
「建設業を巡る現状と課題-国土交通省」によると、建設業は29歳以下の若年層が減少し、55歳以上の高齢層が増加しています。全産業と比べても、少子高齢化が顕著です。
人手が足りていない企業においては、業務効率化を図ることが人手不足解消のカギとなります。そのため、IT化を進めるべきだといえます。
業務効率化
先述の通り、IT化を進めることによって業務が効率化されます。
例えば工務店向けの業務効率化システムを導入すれば、工程管理や受注管理、顧客管理、入金管理などを1つのシステムで全て行うことができます。
そのため、業務の属人化を防ぐことも可能となり、担当者が退職した際に、業務を引き継いだ人が何をすればいいのかわからない、といった無駄な時間を省くこともできます。
また、システムによってはアプリを提供しているケースもあるため、現場からでも簡単に情報へのアクセスが可能となるでしょう。
3Kイメージ払拭
建設業界は人材不足が問題となっています。
その理由としてあげられることは、いわゆる「3K」のイメージです。3Kとは「キツイ」「汚い」「危険」な仕事を意味する言葉で、若い人に「建設業は3K仕事をしている」といった認識を持たれてしまっています。
このようなマイナスなイメージを払拭するためにもIT化を進め、業務効率をはかりキツさや危なさ、汚さを業務から取り除いていく必要があります。
ITツールを導入し、効率よく仕事をしていること、清潔な現場で働けること、そして安全に仕事ができることをアピールできれば、建設業界で働くことに興味を持つ人も増えるはずです。
建設業がIT化して得られるメリット
建設業は元々アナログな業界であり、IT化は難しいと思われていました。
しかし、近年は建設事業者も大手ゼネコンを筆頭にIT化を進めており、技術革新が起こっています。
IT化によって得られるメリットを具体的に解説します。
省人化・効率化による業務負荷軽減
IT技術を取り入れることで、人が実施していた作業をツールが代替できるようになります。
たとえば、過去の現場データを引用して見積書を作成する、見積書をもとに契約書を自動発行するなどの自動化も可能です。
従来は人が過去の見積書を探し、そこから目視でデータを拾うような工程があったため、見積書の作成には非常に時間がかかっていたはずです。
しかし、IT技術の導入により上記のような作業は自動化でき、人による作業時間が大幅に減ります。
全自動化は難しくとも、業務の効率は上がり、従業員の作業負荷はかなり軽くできるでしょう。
移動時間の削減
施工管理者や営業担当など、外出が多い従業員の移動時間をIT技術によって削減できます。
例えば、アプリで日報を作成し、提出ができれば事務所へ戻って日報を作成する必要がありません。
また、ウェアラブルカメラを工事現場へ導入し、遠隔監視ができる体制を構築すれば、施工管理が現場へ行く必要がなくなります。
以上のように、建設業界で無駄な時間と思われていた移動時間を削減できれば、自ずと残業時間の削減につながるはずです。
現場労働者の安全対策
現場労働者の作業上の安全度をより高めるためにも、IT技術が役に立ちます。
たとえば、先ほど紹介したウェアラブルカメラは、遠隔臨場を可能にするだけではありません。
作業員がハンズフリーの状態で映像を届けられるため、高所でスマホを操作したことで発生するような事故を防ぐことができます。
また、重量のある資材の運搬等をロボットが代替すれば、事故数を減らせるはずです。
働き方改革の実現
IT技術を建設業に取り入れることで業務効率が上がれば、建設業でも問題視されている長時間労働も改善できます。
さらに、新しい働き方であるリモートワークを取り入れることもできるでしょう。
今までは会社のネットワークでしか、工程表や見積書など仕事に欠かせない情報は閲覧できませんでした。
しかし、クラウドシステムを使えば、どこにいても仕事に関連する情報を閲覧・共有できます。
建設業者で働いている事務員の仕事を在宅にしたり、施工管理者が事務作業を家で出来るような環境も構築可能です。
企業としての魅力の増大
建設業は3Kのイメージを持たれており、職業としての魅力は低いとされてきました。
しかし、IT技術を導入すれば働き方もより自由になり、3Kと呼ばれた過去のイメージを払拭できます。
残業が短くなり、体力が必要なイメージが払拭されれば、それだけで入職希望者が増えるかもしれません。
また、IT技術の導入でカットできる人的コストを福利厚生に回し、企業としての魅力の1つである福利厚生面を充実させられます。
IT技術の導入により、若者にとって魅力的な会社への変革を遂げることができます。
建設業がまずIT化すべきは業務管理システムから
IT化が重要なことは理解していても、予算の関係で大幅なIT化が難しい場合もあるでしょう。
そのような場合はまず、業務管理システムの刷新をおすすめします。
多くの建設事業者ではデータを主にエクセルで管理し会計などは専門ソフトを使うという運用を続けている場合が多いのではないでしょうか?
しかし、エクセルでの業務管理には限界があり、データの共有が速やかでない、人的ミスが起こりやすいという欠点があります。
業務管理システムを導入すれば、クラウド上に社内のデータを蓄積でき、シームレスにデータを連携できます。
帳票類も全てツール上で作成、保存ができるため、台帳の作成や保管の手間もありません。
どこからIT化すれば良いかわからないとお悩みの建設事業者の方は、ぜひ業務管理ツールを取り入れてみてください。
まとめ
今回は、建設業界におけるIT化の現状とIT化を進めるべき理由について解説しました。昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、建設業も働き方の転換が求められているはずです。
また、新型コロナウイルスの流行以前から問題視されていた「人手不足」は、建設業にとって大きな課題だといえます。このような状況を改善するためにもITツールが活用できます。業務効率システムを導入して、人手不足を解消しましょう。
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また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
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