住宅市場において、既存住宅の流通やリフォーム市場の環境整備が進んでいることをご存じでしょうか。
日本は少子高齢化が進んでいるため新築市場をよりも、既存住宅を有効活用するリフォーム市場へ比重を移していくことが重要となってくるでしょう。
お客さまのニーズを的確に捉えて提案ができるよう、本記事を通してリフォーム市場の現状や補助金制度といった基本的な知識を身に着けておきましょう。
目次
リフォーム市場の現状
自分らしい住まいを手に入れるための方法として、リフォームへの関心が高まっています。
現在のリフォーム市場はどのような状況なのか、以下で現状と今後の動向について詳しく解説します。
相談件数の推移
新規相談件数はほぼ毎年増加しており、2019年は前年より5.1%増加の34,002件でした。
そのうちリフォームに関する相談件数は11,948件と、前年比1.7%増加という結果が出ています。
2017年は新築住宅、リフォーム共に減少していますが、ほぼ毎年増加しているため、今後も問い合わせ件数は増加していくことが考えられます。
相談の多い不具合事象
住宅リフォーム・紛争処理支援センターの調査によると、戸建てと共同住宅のどちらも不具合事象が多く見られる部位としては「外壁」でした。
使用する素材によって耐用年数は異なりますが、外壁は常に雨風や紫外線にさらされているため劣化は避けられません。
多くの場合10年ほどでメンテナンスが必要となるため、外壁に関する相談件数が多くなってしまいます。
住宅リフォームの動機
住宅リフォーム推進協会のアンケートによると、リフォームの動機は「住宅が傷んでいたり汚れたりしていた」が37.8%と、最も多い結果となりました。
住宅は家族と過ごす大切な場所です。
傷みや汚れをそのままにしてしまうと劣化を早める原因にもなるため、住宅の寿命を延ばすためにも早めのリフォームを推奨しましょう。
リフォーム需要とは
リフォームを行なった人のうち約半数の人が2回以上リフォームを行っており、今後もリフォーム需要は伸び続けるでしょう。
また、リフォームを行なった人たちの中で「3年以内にリフォームを検討している人」は78.5%にもなるため、追加で提案を行なうと契約につながる可能性が高いでしょう。
需要の高いリフォーム
株式会社矢野経済研究所調べによると、住宅市場においてリフォームのシェア率は微増が続いているため、今後も手堅く増加していくことが予想されます。
売上を延ばす対策として、需要の高い以下4つのリフォーム工事が効果的です。
コロナ禍対応リフォーム
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、タッチレス水栓が注目を集めています。
センサー部分に手をかざすだけで吐水や止水ができる設備のことをいいます。
「触れる」ことがないため、手や蛇口部分を清潔に保つことができ、感染対策として有効です。
リクシルのタッチレス水栓「ナビッシュ」は、売上が前年比176%となっており、タッチレス水栓への関心度が高くなっていることがわかります。
また、TOTO総合研究所が「水栓ハンドルを閉めることで細菌が手に付着した人数」を調べたところ、20人が触って20人に再付着したという結果が出ました。
蛇口は家族みんなが触れる場所のため、しっかりと手洗いをしたとしても同じ蛇口に触れた場合のコロナウイルスの感染リスクは避けられません。
タッチレス水栓の場合は直接触れることがないため、コロナウイルス感染対策として非常に有効的であるといえます。
タッチレス水栓の導入のような、接触によるコロナウイルス感染リスクを避けるためのリフォームを提案してみてはいかがでしょうか。
耐震リフォーム
地震大国とも呼ばれるほど日本は地震が頻発しています。
特に1980年以前に建てられた住宅は注意が必要です。
1981年6月1日以降の確認申請を受けた住宅は「新耐震」と言われており、震度6ほどの大規模な地震が起きても倒壊や損壊をしないとされています。
国土交通省(以下、国交省)によると、平成30年の時点で耐震不足の住宅は700万戸も存在することがわかっており、対策は急務です。
耐震不足の住宅は必ずしも震度6ほどの地震で倒壊や損壊を受けるとは限りませんが、老朽化も相まって大きな被害が出るこ可能性が高く、お客さまが安心して住み続けるためにも、耐震リフォームの実施を推奨してください。
住宅の耐震性を簡単に調べることができる「誰でもできるわが家の耐震診断」を参考にしてみてもよいでしょう。
バリアフリーリフォーム
家族の安全のためにも、バリアフリーリフォームはとても大切です。
厚生労働省が調査した「家庭における不慮の事故死」は1万1155件起きており、そのうちの半数以上は65歳以上の高齢者が占めていました。
消費者庁の調べによると、交通事故や自然災害を除く「不慮の事故」による死亡者数は年々増加していることがわかります。
不慮の事故による原因としては「誤嚥等の不慮の窒息」「転倒・転落」「 不慮の溺死及び溺水」といった家庭での事故が大きな割合を占めています。
家庭内での重大事故を防止するために、65歳以上の高齢者と同居している家庭のバリアフリーリフォームは重要です。
- 玄関や階段などに手すりを設置する
- 敷居や玄関の段差を解消
- トイレを車いすでも出入りがしやすいように拡張する
高齢者は家の中でいつケガを起こしてしまうかわからないため「まだ必要ない」と考えているお客様にもバリアフリーへとリフォームするメリットを伝えて、早めにリフォームを行うよう案内しましょう。
省エネリフォーム
省エネリフォームを行うことで、家計にも地球にも優しい住宅となります。
- 床や壁などに断熱材を入れる断熱リフォーム
- 給湯器など高性能な設備への交換
- 太陽光パネルの設置
初期費用はかかってしまいますが、リフォームを行うことでさまざまなメリットがあります。
省エネ住宅で暮らし続ける限り光熱費を大きく節約のはもちろんのこと、断熱機能がアップすることで室温にムラがなく快適な生活を手に入れることが可能です。
国交省による年間の光熱費の比較によると、寒冷地と温暖地どちらでも「これまでの住宅」よりも「一般的な省エネ住宅」の方が年間¥60,000も光熱費が安くなります。
リフォームを行うためには費用が掛かりますが、省エネリフォームは補助金制度が充実しています。補助金制度を上手に活用すればお得にリフォームが可能です。
費用が気になってリフォームに踏み切れないお客さまに対しては、補助金の活用を積極的にアピールしましょう
補助金制度でお得にリフォーム
リフォームにはどのような補助金制度があるのでしょうか。
お客さまの負担軽減にためにも、補助金の種類や内容について確認しておきましょう。
グリーン住宅ポイント制度
グリーン住宅ポイント制度とは、省エネ性能の高い住宅を新築・リフォームを行なった方が商品や追加工事と交換できるポイントを発行する制度のことです。
- 新築住宅の建築
- 既存住宅の購入
- 賃貸住宅の建築
- 住宅のリフォーム
ポイント発行申請の受付は2021年3月29日からスタートしており、2021年11月30日(オンラインの場合2021年12月15日)までの期限付きとなっております。
お客さまの契約条件や制度の実施状況を確認し、お得にポイントをもらえるよう慎重に手続きを進めましょう。
詳しくはグリーン住宅ポイント制度について – 国土交通省をご覧ください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の性能を向上や子育てしやすい環境へ整備するリフォームに対する補助金制度のことです。
- 性能向上リフォーム工事に要する費用
- 子育て世帯向け改修工事に要する費用
- インスペクション、維持保全計画・履歴作成に要する費用 など
補助率は対象費用の1/3と高額な点が特徴です。
補助限度額はリフォーム後の性能に応じて設定金額が異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
詳しくは長期優良住宅化リフォーム推進事業- 国土交通省をご覧ください。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)
ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で「光熱費ゼロを目指した住宅」です。ZEHと認められれば補助金がもらえて、お得にリフォームができます。
ZEHの条件としては、3つの要素を満たす必要があります。
- 断熱性能
- 省エネ機能
- 創エネ
補助対象となるためにクリアする基準が設定されているため、条件を満たした住宅のみがZEHと認められます。
補助額は1戸あたり70~140万円が相場とされておりますが、自治体や年によって制度内容が変わることもあるため常にチェックしておきましょう。
詳しくは住宅関連事業(補助金)について- 国土交通省 をご覧ください。
まとめ
リフォーム市場の現状や補助金制度を紹介しました。
住宅市場におけるリフォームのシェア率は年々わずかに増加しており、今後も微増が続くと予想されます。
工務店やハウスメーカーがリフォームで売上を伸ばすためには、コロナ禍に対応したリフォームや省エネといった需要の高いリフォームを行うことが効果的です。
国や自治体からの補助金制度をうまく使い、お客さまの要望にあうリフォーム提案を積極的に行っていきましょう。
しかし、通常の業務に加えて顧客に提案するための勉強時間を確保することは大変です。
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