足場工事の見積書を施主に提示するときは、正しい書き方や計算方法を理解しておかなくてはいけません。
見積書の内容を間違えてしまうと、契約締結後にトラブルが発生することもあります。
しかし、建設業者の方のなかには「どのように足場工事の見積書を書けばいいのかわからない」という悩みをもつ方もいるでしょう。
当記事では、足場工事の見積書の正しい書き方や計算方法について詳しく解説します。
ぜひ参考にご覧ください。
目次
足場工事の見積書とは
足場工事の見積書とは、足場工事の作業に必要な費用の目安を施主へ伝える書類です。
施主に各作業で必要な費用を把握してもらい、依頼の検討やスムーズな契約のための重要な要素となります。
また、事前に費用を提示しておくことで、契約締結後のトラブル発生を防止できます。
見積書に記載する費用はあくまでも目安となっており、契約後に理由を説明すれば金額を変更しても問題ありません。
足場工事は高所の作業になることもあるため、法的な根拠などに基づいた建設業務を行うためにも見積書は重要です。
足場工事の種類
見積書作成前に、足場工事の種類について理解しておくことが大切です。
足場で使う材料やつけやすさによっても金額は大きく変動します。
適切な見積書を作成するためにも以下の種類についてチェックしておきましょう。
くさび足場
くさび足場は、資材にくさび金具をハンマーで撃ち込む足場です。
「ビケ足場」とも呼ばれており、伝統的な建造物やリフォーム工事や新築工事、などの修復作業で使われています。
金具がユニット化されていることから、組み立てが簡単で環境負荷も低いです。
建物に使用する支柱やブラケット、手摺、筋交、梁枠などの金具によって、費用は大きく変動します。
くさび足場の相場は、1平方メートル800円〜1,200円となっています。
単管足場
単管足場は、一本の鉄管を使って組み立てる足場です。
熟練の職人や専門的なスキルをもつ従業員だけでなく、経験が少ない方でも扱いやすいです。
国内では最も一般的に使われており、設置が簡単で安全性が高いため多くの建設会社が取り入れています。
ただし、鉄管は重く設置まで時間がかかるため、従業員が安全に作業できる環境作りが必要です。
単管工事の相場は、1平方メートル600円〜800円となっています。
単管ブラケット足場
単管ブラケット足場は、単管足場に支柱(ブラケット)を使った足場です。
高層建造物など安全性に配慮しなければならない工事現場では、単管ブラケット足場が採用されています。
単管ブラケット足場の相場は、1平方メートル800円〜1,200円となっています。
足場工事と合わせて行う作業
足場工事と合わせて行う作業として、以下のような項目があります。
メッシュシート
足場工事では、工具の落下防止のためにメッシュシートの取り付けが必要です。
工事では従業員が多くの工具を所持しているため、メッシュシートがあれば万が一落としてしまったとしても安全対策ができます。
足場工事は人の通行量が多い場所で作業を行うことも多いため、工具の落下を防ぐためにもメッシュシートを取り付けておきましょう。
養生シート
養生シートは、建物の解体で発生する粉塵を近隣住宅に飛散しないように防止するものです。
「粉塵シート」とも呼ばれており、足場工事では取り付けが必須です。
解体作業をスムーズにこなすためにも、足場工事では養生シートを必ず取り付けておきましょう。
防音シート
防音シートは、工事中に発生する騒音を防止するものです。
防音シートは高い防音性があり、近隣住民や住宅の騒音被害をおさえられます。
足場工事の規模によっては、防音シートではなく防音パネルを使うケースもあります。
工事中の音はクレームの原因にもなるため、周辺住民への配慮の意味でも防音シートを取り付けておきましょう。
足場工事の見積書の費用項目
一般的に足場工事では、見積書に以下のような費用項目を記載します。
- 仮設工事
- 足場の種類や方法
- メッシュシート(付帯工事)
- 養生シート(付帯工事)
仮設工事とは、足場工事のことです。
建設会社によって表現が異なり、足場工事や足場仮設費用と記載されることもあります。
足場の種類は、前述で説明したようなくさび足場や単管足場、単管ブラケット足場などを指します。
そして足場工事で合わせて行うメッシュシートや養生シートなどを記載する流れです。
足場工事に必要な費用項目をひとつずつ記載すれば、施主にとっても親切です。
工事内容によって見積書に記載する費用項目は異なるため、施主と相談しながら記載内容を決めるようにしましょう。
足場工事の見積書の書き方
足場工事の見積書の書き方として、以下の項目について順番に解説します。
宛名
宛名では、先方の会社名や所在地、担当者名などを記載します。
企業同士の取引では会社名のみを記載しますが、記載内容は担当者間で決定することが多いです。
宛名の書き方は会社名、その下に担当者の部署・担当者名、会社の所在地の順番で記載します。
差出人の氏名
誰からの請求書なのかを明確にするために、差出人の氏名を記載します。
差出人の氏名は宛名と同じく、会社のみを記載することもあれば担当者名も合わせて記載するケースもあります。
間違えをなくすためには、宛名と記載内容を揃えておくことが大切です。
また、差出人の項目には、所在地や電話番号の記載も必要です。
見積書の記載内容に不備があった際には連絡を取り合うこともあるため、必ず電話番号を記載しておきましょう。
見積書の通し番号
見積書は複数扱うことも多いため、適切な管理を行うためにも通し番号の記載が必要です。
見積書に通し番号を記載すれば、管理や整理がしやすくなって必要なタイミングで探しやすくなります。
見積書作成ソフトを導入することで自動的に通し番号を発行できるため、管理環境を整えたいときにおすすめです。
発行日
施主とのコミュニケーションをスムーズに進めるために、見積書には発行日の記載が必要です。
見積書がいつ発行されたのかを明確にしておけば、管理者が必要なときに探しやすくなります。
また、発行日を記載することで見積有効期限を設定できるため、施主に契約を検討する期間の提示が可能です。
見積りの合計金額
足場工事に必要な見積りの合計金額の記載も必要です。
合計金額は各項目の金額を合計し、ズレが発生しないようにチェックしておきましょう。
見積り内容
見積り内容では、足場工事の品目や単価、個数、合計などを記載します。
提供する各サービスにどれくらいの費用がかかるのか記載すれば、施主が内容を把握しやすくなります。
仮設工事をはじめ足場の種類、メッシュシートなどの内容を記載しておきましょう。
各項目の小計・消費税・合計金額
各項目の小計には、それぞれの合計金額を合算した金額を記載します。
合計金額の欄には、小計金額に消費税を追加した金額も記載しましょう。
備考欄
備考欄では、見積書の補足説明を記載します。
記載項目がなければ、備考欄は空欄でも問題ありません。
例えば支払い時の振込手数料や足場工事の保証期間など、契約に必要な補足説明を記載しておきましょう。
足場工事の見積書の計算方法
こちらでは、足場工事の見積書の計算方法について説明します。
仮設工事(足場工事)の計算方法
建設会社が自社で足場工事を行う場合、足場職人の労務費+足場部材の費用から計算できます。
足場工事は一部の作業を外注することもあり、足場の設計から組み立てを任せるときは足場レンタル会社に支払う設計料+労務費+部材賃借料が必要です。
コストを加算して利益を上乗せする計算する方法を「コスト積み上げ方式」と呼び、細かな計算が必要となります。
小規模な工事の見積りには向かないため、規模感に合わせて見積りの計算方法を変更することが大切です。
簡易的な見積りの計算方法を採用したいときは、床面積や外周の長さ、壁面積、架面積から計算する「業界標準方式」を採用すると良いでしょう。
業界標準方式とは、長さや面積に原材料の単価を掛け合わせて見積りを出す方式です。簡単に見積り金額を出せるため、概算を把握するためによく使用されます。
追加工事の計算方法
足場工事にはメッシュシートや養生シート、防音シートなどの追加工事が必要です。
追加工事の見積りを計算する場合、足場職人の労務費+シートの費用から算出します。
基本的には仮設工事の計算方法に加算するかたちとなるため、難しい計算は必要ありません。
ただし、使用するシートによって費用が大きく変動するため、施主と相談しながら決定するようにしましょう。
足場工事の見積書はテンプレート利用がおすすめ
足場工事の見積書を一から作成するためには手間がかかるため、テンプレートの利用をおすすめします。
特にマイクロソフトが展開しているエクセルは、建設業で活用できる見積書のテンプレートが豊富にあります。
無料ダウンロードできるテンプレートを利用すれば、簡単に足場工事の見積書を作成可能です。
一度使用したテンプレートを保存しておけば、次回の足場工事で見積書が必要になったときに再利用できます。
そのため足場工事の見積書を作成するときは、テンプレートを利用するようにしましょう。
まとめ
今回は、足場工事の見積書の正しい書き方や計算方法について詳しく解説しました。
足場工事の見積書を作成すれば、施主が作業で必要な費用を把握できます。
事前に費用を提示すれば契約締結後のトラブルも防げるため、スムーズに作業を進められます。
効率良く足場工事の見積書を作成したいときは、エクセルなどのテンプレートを活用してください。
ぜひ当記事でご紹介した内容を参考にしながら、足場工事の見積書を作成してみましょう。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。