施工管理の仕事は、「やめとけ」と言われがちです。
確かに建築業界全体に、「キツイ・危険」というイメージはあります。
今回は、施工管理は「やめとけ」と言われる理由と、施工管理の仕事を志すメリット、改善されつつある建築業界の動向や求人を探す際のポイントを解説します。
目次
なぜ施工管理は「やめとけ」と言われるのか
施工管理は、体力面や労働環境面で「キツイ」イメージがあるかもしれません。
具体的にどんな理由で「やめとけ」と言われるのか、その理由を解説します。
施工管理の仕事のイメージや現状も踏まえて解説します。
長時間労働
施工管理は、他の仕事に比べて労働時間が長く、残業も比較的多いです。
工事現場で起きたトラブルへの対処の他に、人員の配備や生産管理等、業務が多く、労働時間が長くなります。
現場で問題が生じた場合や工期の関係で、残業になることも少なくありません。
しかしながら、労働時間の問題は、国を挙げての働き方改革や労働環境改善によって変化しつつあります(※詳しくは後述)。
休日の問題
これまで建築業界の休日は、週1回の会社がほとんどでした。
休日が少なく、リフレッシュや家族との時間が取れないことも、業界内の課題となっていました。
一方で最近では、労働環境の改善を目指し、週休2日制を取り入れる企業も増えています。
体力
施工管理は、作業員ほどではありませんが体力を求められる仕事です。
朝早く起きて、現場に移動して日中は管理業務をおこない、現場が終わってから事務処理などの残業をこなさねばなりません。
休日の少なさも相まって、十分な休息を取れずに疲れが溜まり、業務の非効率化を招いていました。
しかし、この点においてもDX導入等で業務効率化が進み、施工管理の仕事を楽にする試みが進んでいます。
事故の危険
工事現場では、常に事故のリスクがつきまといます。高所からの転落事故や、機材が崩落する危険もあるでしょう。
施工管理の仕事の一つは、現場での事故を防ぐために設備を導入することです。
最近は、ロボット導入で危険な作業に人手をかけないようにする企業も増えているので、今後改善される見込みはあるでしょう。
気候・天災の影響
外での作業が多いため、気候や天災の影響を受けやすいです。
雨の日は作業が休みになり、その分工期に間に合わせるために、別の日に調整をかけなければなりません。
また、台風・地震等の天災で作業していた部分が壊れてしまい、やり直しを求められることもあるでしょう。
施工管理の仕事につくメリット
施工管理が「やめとけ」と言われる理由を見て、「キツそう…やめておいた方が良いかも」と思ってしまったかもしれません。
しかし、施工管理の仕事には、以下のようなメリットもあります。
施工管理を志す人や興味がある方は、仕事の良い面にも目を向けてみましょう。
年収
また厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、建築業界従事者の平均年収が509万円、日本全体の平均年収が436万円のため、水準は高いといえます。
作業の膨大さ、体力や天候の影響を受けやすいなどのメリットはありますが、高給であることは大きなメリットです。
キャリアパス
施工管理技士のニーズは非常に高いです。
施工管理技士の資格取得には厳しい募集要項があり、それをくぐり抜けた人しか資格を取れません。
そのため、業界内でも施工管理ができる人材は貴重であり、転職の際にも役立つでしょう。
今の会社からよりレベルアップした企業へ転職を考えている方は、資格を取得して、自身の強みにできます。
スキル・経験
施工管理に携わることで、スキルや経験を積めます。
施工管理と一口に言っても、さまざまな知識・作業が必要です。
- 工程管理
- 原価管理
- 品質管理
- 安全管理
これらの管理業務を学べるだけでなく、知識として法律・規制等も学ばなければなりません。
また、実際に現場で指導監督をおこなった経験は、転職時にも有利に働きます。
努力次第で給与アップ
施工管理の仕事は、ご自身のやる気次第で、上を目指せる仕事です。
資格を取得したり、経験やスキルを積めば評価されやすく、さらに昇進・昇格を目指せます。
特に監督業務は、リーダーシップを発揮したり、効率を考える経営者的な目線を求められる仕事です。
難易度は高いですが、頑張りへの評価が返ってきやすいでしょう。
達成感・満足感の高さ
現場が終わった後に、関わっていた建築物や施工が完了した達成感を強く味わえます。
工期の間は、さまざまな調整やトラブルがありますが、自身がかかわったビルがオープンした日などは、たまらない嬉しさがあるでしょう。
道路や交通網、鉄道などの仕事は、人の生活に欠かせないものです。
社会貢献度が高く、「人の役に立っている」という実感を得られます。
DX化で施工管理の労働環境は改善
「キツイ」と思われがちな施工管理の仕事ですが、最近は建築DXの導入の影響もあり、労働環境は改善しています。
具体的にどのような点が変化しているのか、詳細を解説します。
建築業界の労働環境改善は国も推進
国土交通省は、建築業界の人材減少を課題として、労働環境の改善に取り組んでいます。
労働時間の上限規制や、DX推進による効率化、人材確保・育成を促進する働きかけを始めました。
現状では、大手ゼネコンを始めとした大規模企業が、DXの導入や週休2日制の導入等に取り組んでいます。
DX導入による仕事の効率化
建築DXとは、システムや建築ロボットなどのデジタル機材を導入し、従来の「人がいなければ成り立たない」という、建築現場の慣習を変える動きのことです。
人手が必要だった作業が自動化されれば、労働時間の短縮ができます。
また、危険な作業をロボットに行わせることで、事故リスクを避けられるでしょう。
DXについては、こちらの記事で紹介しています。
労働環境に配慮した求人の増加
政府や近年の建築業界の動向を受けて、大手企業をはじめとして労働環境改善への取り組みが始まっています。
従来建築業界は、福利厚生が不十分であったり、休日が少ないという課題がありました。
しかし、週休2日が保証されたり、賞与・福利厚生面を充実させる企業が増えています。
以前のように、建築業界はブラックというイメージが変わって来ているといえるでしょう。
施工管理は向き・不向きがわかれる職業
施工管理という仕事は、確かに向き不向きがわかれる仕事です。
労働環境等は改善に向かっていますが、まだまだ不十分な部分はあります。
今から施工管理を志す人は、適性があるかどうか確認しておきましょう。
マネジメント・リーダー職に就きたい
施工管理は、社内外の調整役となるため、多くの業務を抱えることとなります。
指導監督者として、現場を引っ張っていくリーダーとして役割を果たさなければなりません。
リーダー職をやってみたい方や、これまでの人生でまとめ役を任されるケースが多かった方には向いているでしょう。
ストレス耐性がある
現場進捗が天候に左右されて遅れたり、作業員同士の揉め事の仲裁に入るようなこともあるでしょう。
こういった環境でも平気な、ストレス耐性をある程度求められます。
建築業界に限ったことではありませんが、仕事で起きた嫌なことを引きずらず、割り切れる人が向いているでしょう。
一生使えるスキル・経験を身に付けたい
施工管理のスキルや経験、資格は転職時にも有利です。
業界内でのニーズは高く、他の企業に転職しても次の仕事に経験を活かせます。
手に職をつけたい、一生使えるスキルを身につけたいと考えている人におすすめです。
体力に自信がある
建築DX導入で、効率化も進んでいますが、多少体力面は要求されます。
朝早く起きて仕事をこなし、現場が終わった後も書類や日報等の作成をしなければなりません。
体力面にある程度自信があり、タフな方に向いています。
仕事にやりがいを求める
施工管理の仕事は、大変なこともありますが、現場が終わった後の達成感はひとしおです。
ただ言われた業務をこなすよりも、難しい課題にチャレンジして、何かを成し遂げたいタイプの方に向いています。
「クライアントから感謝の言葉をかけられる」、「自分が携わった建築物を見て感動したい」など目に見えるやりがいが欲しい方は、施工管理に向いているでしょう。
施工管理の求人を探す際のポイント
施工管理の仕事がブラックかどうかは、選ぶ企業によっても違います。
労働環境の整備が追いついていない企業へ入社すると、効率化も進んでおらず、労働時間も長くなる可能性があるでしょう。
施工管理職の求人を探す場合は、以下のポイントを重視してください。
専門の転職エージェント・求人サイトを閲覧する際の参考にしてみましょう。
規模が大きい会社を選ぶ
建築業界でも、労働環境の改善や効率化に積極的に取り組んでいる規模の大きな建築会社を選びましょう。
小規模の会社では、資金面の問題もあり、DXや環境整備が追いついていない可能性もあるでしょう。
その点、大規模企業は、資金の余裕もあり、比較的早期から建築業界の労働環境改善に取り組んでいます。
昇進や給与面も条件が良い可能性が高いため、会社規模はチェックしましょう。
求人票を複数比較する
求人を探す場合は、求人票を複数比較して選びましょう。
企業の名前や評判だけを見て、衝動的に申し込むことは避けてください。
求人票を見てみると、休日の規定や年収、賞与や福利厚生について細かく記載されています。
複数の企業の求人票を見比べた上で、最も条件が理想に近く、労働環境が良さそうな企業を選んでください。
建築DXを推進している企業を選ぶ
企業のホームページを確認して、建築DXを推進している企業を選ぶこともポイントです。
建築DXを推進している企業は、業務の効率化や省人化など、労働環境への改善意欲が高く、ホワイトな働き方を推奨していると判断できます。
残業時間の削減や働きやすい環境作りを目指している企業なら、施工管理特有のデメリットも少ないでしょう。
まとめ
今回は「やめとけ」と言われがちな施工管理の現状や、建築業界全体の変化について解説しました。
キツイイメージがある仕事ですが、国の政策や労働環境の改善意識の高まりで、DXの推進・残業時間削減などに取り組んでいる企業が増えています。
施工管理は、達成感もあり、また将来のキャリアにも役立つ仕事です。
求人を探す際は、DXで効率化・環境のホワイト化に取り組んでいる企業を選びましょう。
施工管理は「やめとけ」と言われる風潮を払拭するため、DXに取り組んでいる企業の方には、工務管理がオールインワンでできるツールがおすすめです。
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