建築業界で注目を集める「BIM」。建築ソリューションとして、導入する企業が増えています。
一方で「BIMの名前は知っているけど、どんなシステムか分からない」「今さらBIMについて人に聞けない」といった人も。
この記事では、BIMとはどんなシステムなのか、3D CADとの違いや普及の現状、導入効果などを詳しく解説します。
BIMについて知りたい人に向けて分かりやすく紹介しています。
目次
BIMとは?
建築業界において革新的なソリューションとして注目を浴びるBIM。
BIMの定義やこれまでモデリングに用いられてきた主要ツール3D CADとの違い、現在の普及状況などについて紹介します。
BIMの定義
BIM(Building Information Modeling)は、設計システムの1つ。
国土交通省は建築BIM推進会議(2019)の資料内でBIMの定義を以下のように明記しています。
コンピューター上に作成した主に三次元の計上情報に加え、室等の名称・面積、材料、部材の仕様、性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築するシステム。
【引用】建築BIMの将来像と工程表 – 国土交通省
これではまだ、理解し難いという人も少なくないでしょう。
要約すると、従来のものより緻密で様々情報を組み込んだデジタルモデルを作成し、コンピューター上で多用なシミュレーションを可能にしたシステムのことです。
BIMシステムによって、企画・設計から施工計画、維持管理まで各工程をシミュレーションでき、業務効率化や省人化に繋がります。
3D CADとの違い
建築モデリングに利用される3D CADは、2次元図面を元に立体的な形状を組み上げていくもの。「縦」「横」「奥行」のある立体的な形状を作れるため、現在でも主要な建築モデリングツールとして活用されています。
しかし、2次元の設計データを元に作成する3D CADは、施工上の問題が発生したりクライアントからの修正が入ったりすると多大な修正工程が発生します。
一部分を修正するために2次元の設計データから見直す必要があり、修正作業に多くの作業時間を必要とします。
また、3D CADで設計したデータでは施工コストや維持管理までシミュレーションすることはできません。
予定よりも施工コストがかかってしまうケースや完成後の維持管理費が膨れ上がってしまうことも。
BIMならこれらの問題を改善できます。
各オブジェクトを3次元で作成してモデリングを行うため、修正点は自動的に全体に反映され、全体を作り直すことなく整合性を保つことができます。
業務を大幅に効率化・省人化できるでしょう。
各オブジェクトには「幅」「奥行」「高さ」に加えて「素材」「組立工程」「維持管理コスト」などの情報を組み込み、全体の設計モデリングを行います。
設備機器なら「品番」「メーカー」「価格」などの情報を組み込むことも可能です。
これらのデータを用いることで工数や工程、施工コストを精密にシミュレーションでき、施工上の問題点を事前に発見できるでしょう。
建物完成後の維持管理シミュレーションできる点も注目を集めています。
普及の背景
良い所だらけに見えるBIMですが、導入コストや扱える人材が必要になる点など導入に関する課題もあり、日本は普及に遅れをとっていました。
しかし、日本のBIM元年とも飛ばれる2009年以降飛躍的に増加。
BIM活用実態調査レポートによると、全回答者480人中56%が「勤務先でBIMを導入している」と回答。今後も日本の建築業界では、導入が加速するであろうと予測できます。
また、2021年に発表された国土交通省の調査では、従業員数101~300人以下の企業で50.5%の導入率、2,000人以上の企業では80%以上という高い水準でBIMが導入されています。
導入コストと人材面をクリアしやすい大手企業では、すでに積極的にBIMを取り入れているということが分かります。
BIMの導入効果
BIMは今後も普及が広がると予測されています。
国土交通省の建築BIM推進会議は、今後のBIMが持つ役割として以下のような活用方法も検討していく余地があると発表しました。
- 生産性の向上を促すツールとしての活用
- 情報データベースとしての活用
- loT、AI連携のためのプラットフォーム
現在でも多くのメリットが謳われているBIM。すでに運用を始めている企業は以下のようなメリットを実感しているようです。
さらに詳しく、BIMの下記4つの導入効果について説明します。
コミュニケーションの円滑化
BIMを用いることで、設計図を読むことに不慣れなクライアントや細やかな要求を持つクライアントとのコミュニケーションが円滑化することも魅力の1つです。
3次元で精密に可視化し、さまざまなシミュレーションを行えるためクライアントにとっても設計図を理解しやすいです。シミュレーションを行うことで疑問も解決できたり修正を少なくできるでしょう。
また、3D CADと比較すると細かいデータを組み込むことができるため、説得力のあるプレゼンテーションが行え、クライアントに満足してもらいやすいです。
コミュニケーションを円滑にするという点において、BIMはとても優れているといえます。
各種シミュレーションが可能
BIMは細かなデータを組み込むことによって、建物が完成するまでのシミュレーションはもちろん、完成後のシミュレーションまで可能です。
施工工程における仕様やコストの計算、構造設計、環境性能のシミュレーション、効率の良い施工計画の立案などができます。
細かなデータが出揃うことで、より良い状態になるよう修正を加えられるでしょう。
良い建築物を建てるために必要な情報、計算、シュミレーションをサポートすることがBIMの真価だと言えます。
業務の自動化・省人化
従来の3D CADは、一度修正がかかると2次元の設計図を見直す必要があります。修正に多くの時間を費やすことで、他の業務を圧迫してしまい業務効率が低下するケースも珍しくありません。
BIMは自動で修正内容が反映されるため、修正に大きな時間を費やすことがありません。修正ポイントを基準にして自動で整合性を保つため、計算間違えなどの人為的なミスを防ぐことにも繋がるでしょう。
BIMは修正業務の自動化や省人化にも効果があり、本来であれば修正作業に人員を割くのが難しい中小企業にとっては業務を大幅に効率化できるシステムだといえます。
安全確保・防災
BIMの活用方法は、建築・施行に関することだけでなく、防災シミュレーションによる安全確保の面でも注目を集めています。
さまざまなデータから、災害が起こった際のシミュレーションすることも可能。建物完成後に災害が起こった場合、シミュレーションデータを元に企業や利用者の安全を確保できます。
BIMのデータ有用性や信頼性は国土交通省も注目しており、防災・省エネに対する効果性が期待されています。
中には、実際の災害時を想定し災害時に建物内で起こり得る事象(火災ならどのように火が回るか、津波なら水の流れ込み方、利用者が非常口に集まる様子など)をリアルに再現できるBIMも。
安全確保、防災面でも、BIMが活用されています。
まとめ
多彩なデータから、業務効率化・シュミレーションによる有用性・クライアントとのコミュニケーション効果などが期待できるBIM。
今後も導入する企業は増えていくことでしょう。様々なツールと併用することで、BIM単体での利用と比較すると業務自動化・省人化を飛躍的に向上できます。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。