「新人・若手が職場に定着しない」、「教育に課題を抱えている」などの悩みを抱えている工務店の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、新人・若手教育の基本や会社で実施する際のポイントなどについて解説しています。
どういう教育方法にすれば新人・若手が定着して成長するか知りたい、どのような教育方法が適切なのか知りたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
新人・若手教育の必要性
ここでは、なぜ、工務店に入社してくる新入社員や職歴の浅い若手社員の教育を行うべきなのか、その必要性について解説します。
建設業界の中には、人手不足、後継者不足に悩んでいる企業が少なくありません。この背景にあるのが、労働条件の悪さです。建設業は出勤日数が一般企業よりも多く、さらに残業もあり、それでいて給料はそれほど多くないという状況にあります。このような点から、せっかく若い人材が入社してもすぐに離職してしまい、人手不足、後継者不足に陥ってしまいます。
また、大工のような職人気質の強い職種に関しては、親方の仕事を見て技術を学ぶといったたたき上げのスタイルが習慣として残っているため、このようなスタイルが合わないと感じる若い世代の人もいるでしょう。このような点も、離職や建設業を避ける人が出てくる原因になっていると考えられます。
こういった事態を改善するためには、新人や若手に対して、適切な教育を行い、技術やノウハウを効率よく学べる仕組みを整えることが重要です。そうすることで、若手社員の定着にもつながるでしょう。
新人・若手教育の基本
ここでは、新人や若手社員を教育する際の基本的なポイントについて解説します。会社として仕組み化ができれば、適切な教育を行うことができるはずです。
マニュアル作成
新入社員や若手社員向けに業務マニュアルを作成することは社内教育の基本だといえます。マニュアルを作成するためには時間と手間がかかると感じるでしょうが、一度マニュアルを作成してしまえば、口頭で何度も業務の行い方を説明する手間と時間が省けます。結果的に業務効率化に繋がるでしょう。
また、業務に対する不明点が出てきても、マニュアルを読めば対応できるようにしておけば、新入社員や若手社員の業務に対する不安を取り除くことができます。つまり、働きやすい環境を作ることができるでしょう。
なお、マニュアルを作成する際は、文章だけのものを作るよりも、画像や動画を適宜活用することをおすすめします。画像や動画で説明された方が、より分かりやすいためです。特に現場での作業の説明は、読むよりも見た方が理解しやすい場合が多いため、適宜活用するようにしましょう。
OJTの導入
OJTの導入も、新入社員や若手社員の教育に効果的です。OJTとは、正しくは「On-The-Job Training」といい、それぞれの頭文字をとってOJTと呼ばれています。OJTでは、実務に実際に取り組むことで業務を学んでいきます。つまり、「業務をしながら覚える」ということです。
新入社員や若手社員に業務を教えるのは、同じチームや同じ部署、同じ現場の先輩社員や上司です。流れとしては、まず先輩社員や上司が実際に作業をやってみせ、手順を説明します。その後、新入社員・若手社員は教えられたことに実際に取り組んでみます。先輩社員・上司はそれを確認し、必要に応じて追加指導などを行います。
この、「やってみせる→説明する→やらせてみる→確認・追加指導する」という4段階がOJTの基本となります。
ちなみに、OJTの導入は社員の教育に効果的なだけでなく、採用市場にアピールする際の強みとなります。これから入社してこようとしている人たちは、「企業に教育制度があるかどうか」、「いきなり現場に1人で送り込まれたりすることはないのか」といった点をチェックしています。そういったときに、「入社後はOJT形式で先輩社員のもとで業務を覚えてもらいます。」といった触れ込みがあるだけで、他社との差別化になる可能性があります。
Off-JTの導入
OJTと共に導入したいのがOff-JTです。Off-JTは正式には「Off- The-Job Training」といいます。OJTが実践を通して学ぶのに対して、Off-JTは、座学や研修など実践とは別の場を設けて教育を行うことを指します。ビジネスマナーや工務店業務の仕組みと流れ、業界を取り巻く環境などについて、座学で学ぶイメージです。しかし、座学で学んだだけでは、実践で活かすことができないため、Off-JTで学んだことを活用するためにOJTを行います。
Off-JTは、基礎的な知識やスキルを体系的に学ぶことができるため、業務を行う上での土台作りになる点が大きなメリットだといえるでしょう。
新人・若手教育のポイント
ここでは、新人教育、若手教育をより効率よく行うためのポイントについて解説します。決して難しいことではないため、ぜひ試してみてください。
定期的に面談を設ける
教育を行なっている社員に対しては、定期的に面談の機会を設けるようにしましょう。面談は1対1で行うようにし、学んだことに対してわからないことがないか、仕事での悩みや不安はないかといったことを確認し、解決に向けて取り組むようにしましょう。また面談の際に、社員の個人目標を設定することで、仕事に対するモチベーションを維持することもできます。
業務の全体像を伝える
新入社員や若手社員は、指導を受け続けていると、目の前の業務をこなすのに精一杯になってしまい、全体像を見失う恐れがあります。そのため、指導する際は、何を達成するために必要な業務なのか、業務全体の中でどのような役割があり、なぜ今その業務を行う必要があるのか、といった業務の目的と背景を明確にすることが大切です。そうすることで、新入社員や若手社員は業務の全体像が理解でき、取り組みやすくなります。
固定概念を押し付けない
教育の際は、教える側の固定概念を押し付けてしまわないように注意が必要です。教える人の個人的な考えや古い考えを押し付けると、場合によっては教えられる側の社員が不快に感じることがあるかもしれません。相手のことを思って言っていることでも、相手が求めていないことや業務に関係ないことを押し付けてしまうと、ただの迷惑になってしまいます。
フィードバックを行う
新入社員や若手社員が業務に取り組む際には、定期的に先輩や上司からのフィードバックを与えるようにしましょう。業務の中で、どのような取り組みや考え方が良かったか、改善すべき点は何なのか、といったことをフィードバックしましょう。そうすることで、新入社員や若手社員は自分が行った業務を客観的に把握することができます。また、先輩や上司から褒めてもらえた部分があれば、新入社員や若手社員は自身の成長を感じられ、モチベーションがアップすることでしょう。
まとめ
今回は、工務店が新人や若手社員に対して教育を行う必要性から、教育の基本やポイントについて解説しました。人材の定着、後継者の育成は工務店にとって差し迫った課題だといえます。課題解決のためには、若手をしっかりと教育し、業務に慣れさせ、会社に定着させることが重要です。教育方法について悩んでいる工務店の担当者は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。