住宅業界は、人口減少や賃金の伸び悩みを背景に、新築住宅の販売個数は長期的に低迷すると予想されています。
また時間外労働の制限やインボイス制度の導入なども、住宅業界に大きな影響を与えるでしょう。
読者の中には、「住宅業界が厳しいと言われる理由をすべて把握しておきたい」と考える方もいるでしょう。
本記事では、住宅業界が厳しいと理由5つと生き残る方法を3つ紹介します。
目次
住宅業界が厳しい5つの理由
住宅業界が厳しい理由は以下の5つです。
薄れる新築信仰
以下の理由で新築住宅の価格が上昇しており、新築で住宅を購入できる方が少なくなっています。
- ウッドショック
- ロシアとウクライナの紛争
- 記録的な円安
- 人手不足
また空き家の増加が問題視されており、住宅が余っている状況も新築信仰を薄れさせる原因です。
新築信仰が薄れると、家を建てる方が減ってしまい住宅メーカーや工務店の業績に悪い影響を与えます。
収益源が新築住宅のみの会社は、新たな収益源を作る必要があります。
新設住宅着工戸数の長期的な減少
また人口や子育て世帯の減少で、新設住宅着工戸数が長期的に低迷するといわれています。
株式会社野村総合研究所によると、新設住宅着工戸数の推移は2030年度は70万戸、2040年度は49万戸と減少する見込みです。
2021年の新設住宅着工戸数は約86万戸のため、20年後には現在の3/5程度にまで落ち込んでしまいます。
時間外労働の上限規制
これまで残業時間に法的な規制はなく、無制限に残業がおこなえる環境でした。
しかし2024年4月からは、建設業界も時間外労働の上限規制の対象となります。
大体1日の残業時間は2時間以内に抑えなければなりません。
上限を超えて働かせてしまうと、雇用主は「6か月以下の懲役または 30 万円 以下の罰金」が科せられる可能性があります。
人手不足
人手不足により、住宅を建てる方がいなくなることも住宅・建設業界の課題です。
国土交通省によると、建設業就業者数は1992年の619万人をピークに右肩下がりをとなっています。
また建設業従事者の高齢化も著しく、2016年時点で3割以上が高齢者です。
さらにこれから、団塊の世代が引退を迎えるとベテラン技術者の大量離職により、人手不足が進行します。
インボイス制度
インボイス制度の導入でも、人手不足が進行する恐れがあります。
インボイス制度は、課税事業者・免税事業者どちらになっても大工などの一人親方にとってデメリットがあります。
- 課税事業者:消費税率分の収入が減少する
- 免税事業者:既存の取引先から取引を打ち切られる可能性がある
特に高齢の職人は、インボイス制度に対応してまで仕事を続ける必要性を見出せず、引退時期を早めることも考えられます。
インボイスに関して詳しく知りたい方は、下記の記事を参照してください。
厳しい住宅業界でビジネスチャンスがある分野
厳しい住宅業界の中でも、ビジネスチャンスがある分野は存在します。
新たな収益源の構築を考えている方に向けて、これから伸びると思われる3分野を解説します。
介護対策
日本は高齢化社会が進行していくため、バリアフリーといった介護のおこないやすい住宅の需要が伸びると予測されます。
また親・子・孫世帯が住むための2世帯住宅や3世帯住宅も普及すると考えられるでしょう。
特に現在は介護を意識した住宅になっていない方の、リフォーム需要が高まる可能性があります。
空き家対策
空き家対策も需要が増加すると見込まれます。
空き家の増加は社会問題となっており、総務省によると、平成25年時点で空き家は820万戸となっており20年で2.1倍に増加しました。
空き家の所有者に、活用方法を提案できる工務店の需要が伸びる可能性が高いです。
例えば現在は、働く場所に制限がなくなり都心を離れて田舎で働きたい方が増えています。
上記のような方向けに、空き家を改装してワーキングスペースとして貸し出す・売りに出すなどが考えられるでしょう。
また空き家対策には地方自治体が補助金を出していることも多いため、補助金を絡めた活用方法を提案できる工務店に需要が高まる可能性があります。
省エネ住宅
地球温暖化対策のため、省エネ住宅の需要が高まっています。
ZEHとは、太陽光発電によって生み出されたエネルギー量と年間のエネルギー消費量の収支を「0」にすることです。
国は2030年までに「新築平均でZEHを目指す」目標を掲げており、需要は底堅いでしょう。
ただし住宅をZEH基準に適合させるためには、高断熱や省エネ設備などが必要で費用がかかるため、施主様に提案しても断られる可能性もあります。
詳しくは、ZEH住宅について解説した記事をご確認ください。
今後厳しい住宅業界で生き残る方法
今後住宅業界で生き残る方法は、以下の3つです。
業務効率化システムの導入
1つ目の方法は、工務店に特化している業務効率化システムの導入です。
工務店向けの業務効率化システムは、以下の工務店業務を効率化します。
- 顧客管理
- 見積作成
- 実行予算作成
- 原価管理
- 工程管理
- 発注管理
- 入出金管理
1つのシステムであらゆる業務を効率化できます。
また、システムによってはエクセルと親和性があるため、エクセルに蓄積されたデータを簡単に移行可能で、過去のデータも問題なく引き継げます。
ただし、業務効率化システムの導入には費用がかかります。
費用負担が気になる方は、IT導入補助金の活用がおすすめです。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務の効率化をおこなえるツールの導入する際に活用できる制度です。
ツール導入費の一部が補助されるため、資金余裕のない会社でも費用負担を抑えてツールの導入が可能です。
気になる方は、無料でプレゼントしている「IT導入補助金 申請まるわかりBOOK」をダウンロードしてください。
業務の幅を広げる
2つ目の方法は業務の幅を広げることです。
例えばリフォーム業に参入し、新築で住宅を建てた顧客に対しリフォームの提案をおこなうことが考えられます。
またリフォーム対応できれば、先述したこれからビジネスチャンスのある分野に業務を広げることも可能です。
さらに太陽光発電に参入すれば、新築・リフォームどちらの施主様に対しても、追加の提案がおこなえ、1案件あたりの単価を増やすこともできます。
これからの事業戦略を検討の上、事業の幅を広げることをおすすめします。
ネット集客
3つ目の方法は、ネット集客の挑戦です。
現在は多くの方がスマホを持っており、日常的にネットを見ています。
そのため、ネットで情報を発信するネット集客は非常に有効です
ネット集客のメジャーな方法は、以下の2つになります。
- YouTubeの動画コンテンツ
- InstagramやTwitterなどSNSの活用
ネット集客では、自社や自社商品のPRよりは、顧客に役立つ情報の発信をおこなうのがおすすめです。
例えば以下のような情報になります。
- 工務店・住宅メーカの選び方
- コスパの良い設備
- 損しない住宅ローンの組み方
上記のような、顧客に役立つ情報を提供しファンができてから、自社商品のアピールをおこなうのがおすすめです。
まとめ
本記事では、住宅業界が厳しいと理由5つと生き残る方法を3つ解説しました。
住宅業界が厳しい理由は以下の5つです。
- 薄れる新築信仰
- 新設住宅着工戸数の長期的な減少
- 時間外労働の上限規制
- 人手不足
- インボイス制度
またこれからの厳しい住宅業界で生き残る方法は以下の3つです。
- 業務効率化システムの導入
- 業務の幅を広げる
- ネット集客
上記の方法で最もおすすめの方法は「業務効率化システムの導入」です。
システムの導入は、導入に手間がかからず最も早く効果を実感できます。
しかし「自社に合うシステムがわからないから、システム導入に二の足を踏む」と考える方もいるでしょう。
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