電力需給逼迫注意報とは、電力予備率が5%を下回ったときに発令されます。
盛んに電力予備率の低下がメディアで報道されていますが、実際注意報の概要がわからない方もいるでしょう。
また、節電意識の高まりから省エネ住宅、太陽光発電導入の相談が増え、問い合わせへの回答に困っている工務店の方もいるはずです。
本記事では、電力需給逼迫注意報の概要や警報との違い、電力逼迫で起きる影響や停電対策について解説します。
目次
予備率5%以下で発令|電力需給逼迫注意報とは
電力需給逼迫注意報とは、電力の需要と供給バランスの崩れが大きくなった場合に発令されます。
ここから、電力需給逼迫注意報と警報の違いや、発令された際に起きること、原因を解説します。工務店も電力使用者として、また施主から節電について質問されることが増えきた場合に回答できるようにしておきましょう。
電力需給逼迫注意報と警報の違い
電力需給逼迫注意報と警報は、以下の違いがあります。
電力需給逼迫注意報…電力予備率5%を下回ると予想された場合に発令
電力需給逼迫警報…電力予備率3%を下回ると予想された際に発令
電力予備率とは、電力需要に対して、供給する余力をパーセンテージで表した指標。
中部電力の「需要と供給のバランス」によると、安定した電力供給のためには、予備率は8〜10%が目安です。
注意報発令時の5%、警報発令時の3%はかなり低い基準といえます。
また、電力共有にはブレがあり、その数値は約3%です。
つまり、電力需給逼迫警報が発令される予備率3%の状態は、停電の危険がある状態です。
電力供給の予備率を復活させるため、注意報や警報を発令し、国民全体に節電を呼びかけます。
電力逼迫の概要や原因、対策をまとめた記事も併せて参考にしてください。
電力予備率が1%以下の場合は計画停電
電力予備率が1%以下になった場合は、計画停電がおこなわれます。
1%以下の数値はかなり低く、放置すると大規模停電を引き起こす可能性があるためです。
計画停電とは、輪番停電ともよばれ、地域ごとに順番に電力供給を止めることです。
電力供給を停止することで、電力の予備率を復活させる狙いがあります。
電力逼迫注意報が発令される原因
電力逼迫注意報が発令される原因は、電力供給量を需要が上回ることです。
電力の供給と需要には、「同時同量の原則」があります。
常に需要と供給の均衡が保たれていないと、電力の周波数が乱れてしまい、停電などの原因となります。
具体的には以下の原因が挙げられるでしょう。
- 夏・冬のエアコン使用量の増加
- 紛争などによる発電燃料の不足
- 原子力発電の再稼働問題
- 火力発電所の老朽化
資源エネルギー庁「2022年度の電力需給見通しと対策について」によると、2022年7月は、全国的に電力予備率がかなり低い状態になることが予測されました。
2022年夏に、メディアも盛んに節電を呼びかけていた理由は、このデータをもとにしています。
また2022年冬も予備率は低くなる見通しです。
特に東京は人口が多く、予備率は1.3%まで下がることが予想されています。
その他、紛争により発電燃料が輸入できないことも原因のひとつです。
また原子力発電所の再稼働問題も、電力逼迫の原因となっています。
東日本大震災をきっかけに、東北地方では福島原発が停止され、全国的に原子力発電所の点検や稼働への検査がおこなわれている状態です。
原子力発電所の再稼働には賛否あり、政府も再稼働に踏み切れていません。
そのため発電量を担保できず、電力供給が不足します。
また、現在の日本では火力発電を主力としていますが、老朽化で発電量が落ち、メンテナンスが必要なことも電力不足の原因です。
電力需給逼迫によって大規模停電の可能性
電力需給逼迫が起きると、大規模停電する可能性があります。
国民一人ひとり、また企業も節電に努めなければ、電気が急に使えなくなるリスクがあります
電力需給によって受ける影響を把握しておきましょう。
後ほど工務店の方が提案できる停電対策も解説していますので、その根拠付けとして頭に入れておいてください。
大規模停電
電力需給逼迫により、大規模停電が起きる可能性が高まります。
大規模停電とは、広範囲で起こる停電のことです。
記憶に新しいところでは、2011年東日本大震災の際に、東北電力および東京電力の管轄エリアで大規模停電が起きました。
大規模停電が起きることで、家電も使えず、気候によっては命の危険もあります。
最悪の場合はブラックアウトのリスク
電力需給のバランスが完全に崩れると、ブラックアウトが起こり得ます。
ブラックアウトとは、大手電力会社の管轄エリア全てで停電が起きる”全域停電”のことです。
日本では、2018年9月6日の北海道地震で、ブラックアウトが起き、約295万戸が停電しました。
地震発生から17分後に、苫東厚真火力発電所の2号機・4号機が停止。送電線事故の影響で、水力発電も同時に運転停止しました。
苫東厚真火力発電所1号機が停止し、その影響を受けた水力発電も運転不可能になり、全域で停電が起きています。
北海道の事例のように、停電はひとつの電力発電所が停止し、送電バランスが崩れることで起こります。
電力逼迫状態が継続し、送電周波数が乱れれば、またブラックアウトが起きる懸念はあるでしょう。
電力需給逼迫注意報発令時の対策
電力逼迫状態が続く危険性について理解したところで、具体的な注意報が発令された際の行動を紹介します。
電力を使用する個人、企業が対策しなければ、大規模停電や最悪の場合はブラックアウトにつながります。
電力需給注意報が発令されたら、まずはこの3つの対策を取りましょう。
注意報の対象エリアを確認
電力需給注意報は、電力予備率が5%を下回ると予想される前日の午後4時を目安に発表されます。
発表を見たら、注意報の対象エリアを確認しましょう。
電力逼迫注意報の詳細は、お住まいのエリアの各電気会社にて発表されます。
自宅・事務所が対象エリアに入っているか確認してください。
現在の電力需給状況の確認
電力注意報の詳細を確認し、現在の電力需給状況を把握しましょう。
例として東京電力の電力使用状況を紹介します。
以上のように、電力需給状態は安定していますが、注意報が発令された場合は予備率が5%を下回っているはずです。
3%を下回っている場合は、注意報ではなく警報級であるため、即座に節電対策を取りましょう。
早急な節電対策
自宅や事務所が、電力逼迫注意報対象エリアの場合は、即座に節電対策しましょう。
- エアコンの設定温度の調整
- パソコンの省エネ機能の活用
- リビングなどに集まり他の部屋を消灯
- 使用していない家電コンセントの抜き差し
- 事務所内の照明の間引き
具体的に、注意報発令後にすぐにできる節電対策は以上のようなものです。
環境省は、夏は28℃・冬は20℃を推奨しています。
必ずこの温度にしなければならないわけではありませんが、温暖化対策・節電のためにも目安としましょう。
また、パソコンを省エネモードで使用するだけで、消費電力を節約できます。
自宅の場合は、リビングなどに集まり、照明による消費電力をカットしましょう。
使用していない家電コンセントの抜き差しや、事務所・オフィスの照明間引きも効果的です。
電力需給逼迫注意報が解除されるまで、節電に努めましょう。
電力逼迫に備えた停電対策も重要
電力逼迫に備えた停電対策を5つ紹介します。
政府も発表している通り、2022年冬も節電対策が必要です。
メディアの報道により、節電意識が高まっている依頼主も増えるでしょう。
工務店側も、節電対策について知識をつけておいてください。
太陽光発電の導入
停電対策のために、太陽光発電導入が有効です。
ソーラーパネルの設置により、停電していても自宅の家電を動かせます。
蓄電池と併用すれば、太陽光で発電した電力をためておき、夜間も利用可能です。
施主も興味を持っている方が多いため、ソーラーパネル・蓄電池が停電対策として有効な旨を説明できるようにしておきましょう。
ガスコンロなどの用意
人気のオール電化住宅は、停電すると調理自体も難しくなります。
ガスコンロとボンベを自宅に備え、万が一の停電に備えましょう。
ガスコンロがあれば、インスタント食品を作ったり、簡単な調理が可能です。
オール電化住宅を検討中の施主から停電対策について聞かれたら、ガスコンロの準備を提案しましょう。
バッテリー購入
家庭用バッテリー購入も、停電対策に有効です。
大型のバッテリーに蓄電しておけば、夏は扇風機・冬は電気ヒーターなどの空調が動かせ、スマホ充電もできます。
小さめのバッテリーしか用意できない場合は、スマホ用のバッテリーなどを常備しておけば、停電時の情報収集に利用可能です。
水・食料の備蓄
日本は地震や台風など自然災害が多く、停電時に同時に水・ガスなどのライフラインが止まってしまうケースも多いです。
スーパーで食料や飲料水を買えなくなる可能性が高いため、日頃の備蓄をしておきましょう。
保存がきく保存食、水を加えるだけで食べられるアルファ米などがおすすめです。
乾電池の準備
停電時は懐中電灯、また情報収集のためにラジオを活用できます。しかし、乾電池の備えがないといざという時に動きません。
乾電池を多めに買っておき、自宅に保管しておくと便利です。
日頃使用する分だけでなく、備蓄用に乾電池を多めに購入しておくと良いでしょう。
停電対策についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
電力需給逼迫注意報は、電力予備率が5%以下になると発令されます。
3%を下回った場合は警報となり、大規模停電・ブラックアウトのリスクがあるでしょう。
電力逼迫は政府も懸念している状態であり、節電への意識が高まっている施主も多くなると様子されます。
節電意識の向上に伴い、太陽光発電についての問い合わせも増えることが予想されます。
工務店側で太陽光発電を案内できる業者、提携先がなければスムーズな案内ができません。
太陽光発電を依頼できる業者はどこが良いか、迷っている工務店の方も多いでしょう。
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