2020年の後半に始まったウッドショック。
1年経過した現在も収束の兆しが見えません。
本記事では、ウッドショックの概要から今後の見通し、ウッドショックが長期化した場合の対策を解説します。
ウッドショックの影響がどこまで続くのか気になる方はご一読ください。
目次
ウッドショックとは
ウッドショックとは、2021年3月頃から木材の調達が困難になり木材価格が急騰した現象です。
1970年代のオイルショックになぞらえて名付けられました。
ローコスト住宅の台頭もあり、日本の住宅メーカーが使用する木材の7割近くが輸入材に頼っています。
住宅建材を輸入材に頼っていた状況にコロナウィルスの影響で木材価格の急騰が起こりました。
上記のことが同時に発生し、木材需要が急増したため日本は輸入材を調達できなくなり、ウッドショックが起こりました。
- 米国内では都心から郊外に住宅を建てる動きが加速した
- コロナウィルスの影響を素早く抑えた中国が需要を回復させた
木材価格の動向
「ウッドショックの影響で木材の価格が急騰した」といっても、実際どの程度価格が上昇したのか気になる方もいるでしょう。
木材の価格を下記2点に分けて紹介します。
輸入材の価格
上記のグラフは経済産業省が日本銀行の企業物価指数(輸入物価指数)を用いて作成しました。
グラフから読み取れることは下記の6点です。
- 木材・木製品・林産物全体の輸入価格は前年比末で69%上昇している
- 丸太の輸入価格は前年末比23%上昇している
- 合板は前年末比49%上昇している
- 集成材は前年末比149%(2.49倍)も上昇している
- 2021年9月時点では、集成材の情報幅が大きくなっている
- 製材は前年末比2.37倍の水準となっている
次のグラフは、価格の高騰が著しい製剤の輸入価格に着目したものです。
上記のグラフから読み取れることは下記の6つです。
- 米国からの輸入価格が前年末比2.75倍になっている
- ロシア(北洋)からの輸入価格も前年末比96%となっている
- 欧州からの輸入価格は8月までは上昇幅が42%だった
- しかし9月には前月比40%の急騰となった
- ①〜④を踏まえると、世界的な規模で木材の価格が上昇していることが分かる
国産材の価格
次は国産材の価格推移を確認しましょう。
下記のグラフは丸太の国内価格の推移を示したものです。
上記のグラフから読み取れることは下記の5つです。
- 丸太の国内価格は前年末比35%の上昇
- 輸入価格は23%の上昇だったため、国産材への切り替えが行われている
- ひのき材の丸太は前年末比76%も価格が上昇している
- ウッドショック長期化を見越して、国産材の調達が本格化している可能性が高い
- 杉材の丸太は前年末比29%も価格が上昇している
次のグラフは、木材・木製品の国内価格を示したものです。
上記のグラフから読み取れることは下記の3つです。
- 木材・木製品の国内価格は前年末比47%も上昇している
- 製材の国内価格は前年末比62%も上昇している
- 集成材の国内価格は2.27倍も上昇している
ウッドショックの今後の見通し
輸入材と国産材の価格はどちらも上昇基調となっており、短期間のうちにウッドショックが終息する可能性は低いでしょう。
経済産業省はウッドショックの状況に関して、次のような見解を示しています。
日本国内では、当面は、いわゆるウッドショックといわれる状況が継続する蓋然性が高く、今後の動向を引き続き注視していく必要があると考えています。
【引用】いつまで続くウッドショック;価格の高止まりが需要に影響?-経済産業省
経済産業省も現在の状況が続くと見ており、ウッドショックの長期化への対策は必須といえるでしょう。
国産木材では、丸太が2021年8月、製材が10月をピークに落ち着きを見せつつあります。しかしながら、輸入木材の品目によってはいまだに高止まりしています(2022年3月現在)。
さらに、2022年2月から始まったロシア・ウクライナ危機により、供給不安が広がっています。
ロシアは世界でも有数の木材輸出大国。木材市場に大きな影響を与え、ウッドショックが長引く恐れもあるでしょう。
ただし、ロシアから日本への木材輸入については、影響範囲が限定的と考えられます。
2022年1月1日からロシアは日本への丸太輸出を、資源保護を理由に禁止しているためです。また製材にも、輸出関税を課すようになっています。
今後、価格の上昇が落ち着いても、ウッドショック前の価格での取引は難しくなる可能性も高いため、製品への価格転嫁を検討する必要もあるでしょう。
ウッドショックの長期化への対策
ウッドショックが長期化した場合の対策は必要ですが「具体的にどのような対策をおこなえばよいかわからない」と悩んでしまう方もいるでしょう。
ここでは、ウッドショックの長期化への対策を3つ紹介します。
業務効率化システムの導入
1つ目の対策は業務効率化システムを導入して、1案件あたりの粗利率を高めることです。
材料の急騰により原価率が上昇してしまい「ウッドショック前よりも粗利率が下がってしまった」企業も多いでしょう。
そこで粗利率を高める有効な対策が、業務効率化システムの導入です。
業務効率化システムの主な機能は下記の6つです。
業務効率化システムの導入により、工務店業務全般を効率化できます。
どの業務効率化システムを選んだらよいかわからない方はこちらの記事をご覧ください。
ウッドショックによる、価格の急騰は自社だけで解決できる問題ではありません。
すぐに解決できない問題に労力を割くことは、非生産的です。
まずは、すぐに対策できる業務の効率化などからおこないウッドショックの長期化へ備えましょう。
顧客への説明と合意書作成
ウッドショックは長期化する見通しのため、顧客へ「どのような影響が出るのか」という説明と合意書の作成は欠かせません。
例えば、使用予定の木材が「調達できない」「価格が高騰している」などの理由で「樹種の変更」「工期の延長」を検討しなければならないような場合です。
上記のような状況に備え、事前に顧客との間で合意書を交わしトラブルを未然に防ぎましょう。
合意書には下記の項目を盛り込むとよいでしょう。
- ウッドショックの影響の影響による合意書であること
- 材料の価格や調達状況により、樹種の変更を申し込めること
- 工期の変更を申し込めること
- 請負代金の変更を申し込めること
上記の項目で顧客から了承を得ていれば、後々のトラブルは回避できるでしょう。
日本政策金融公庫へ事業資金相談
国土交通省は「ウッドショックによる資金繰りの悪化関しては日本政策金融公庫に相談を持ちかける」よう通知を出しています。
ウッドショックによって「住宅着工ができない」「木材の価格高騰によって事業資金では賄えない」など悩みのある方は、最寄りの日本政策金融公庫に相談しましょう。
また下記に該当する工務店も相談可能です。
- 今まで日本政策金融公庫から借入をしたことがない工務店
- 建設業許可を要しない規模の工務店
融資が実行されるまでには、一定の日数が掛かるため事業資金に少しでも不安のある方は、早めの相談が重要です。
まとめ
本記事では、ウッドショックの見通しと木材の価格推移、ウッドショックが長期化した場合の対策について解説しました。
現在の予想ではウッドショックが短期で収束可能性は低く、長期化する可能性が高いです。
またウッドショックが収束しても、木材も価格はウッドショック前には戻らないとの予想もあり、ウッドショックへの対策は必須といえるでしょう。
ウッドショックへの対策は、業務効率化システムの導入をおすすめします。
業務の効率化をおこない1案件あたりの粗利率を高めることは、ウッドショック時はもちろんウッドショックが収束してからも有効です。
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