無料テンプレートはこちら

VE(バリューエンジニアリング)とは?基本の考え方と実施手順

VE(バリューエンジニアリング)を活用することで、成果物の品質を下げずにコストダウンを図れます。

しかし「VEの概念や具体的な取り組み方がわからない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

今回は、VEについて基本的な考え方や実施手順を解説します。
建築現場でのコストダウンを効率よく行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

VEとは?

VEとは?

VEとは「Value(価値)Engineering(工学)」の略称で、製品やサービスの「価値」を「機能」と「コスト」の観点から考え、既存の案よりも向上させる手法です。

主に製造業において用いられる手法ではありますが、建築業でも活用されています。

VEにおける価値を算出する数式は、以下の通りです。

VEの「価値」を算出する数式

「価値」=「機能」÷「コスト」

VEには、基本的に建築物などの機能性を下げないというルールがあります。
例えば、コストダウンを図るために壁を薄くすると隣の部屋の音が聞こえてしまうため、建物の機能性や価値を損なってしまいます。

過剰な機能を削減するなど、不必要な機能を削減することは問題ありませんが、顧客が求める機能は損なわないよう注意が必要です。

VEはなぜ必要なのか?

VEはなぜ必要なのか?

VEが必要な理由は、時代の変化とともに顧客のニーズが多様化しており、製品や建築物の価値を高めなければ顧客の要求を満たせないからです。

近年は新しいデザインや機能を備えた建築物が次々と登場し、顧客が価値を感じる基準も上がりつつあります。
そうした中で低コストな製品を生み出すだけでは、顧客のニーズに応えることは難しくなるでしょう。

また、企業を存続させるためには価値の高い建築物を提供するだけでなく、生産にかかるコストを削減することも欠かせません

顧客に価値のある建築物を提供しながらも、コストダウンを図る方法として、VEは建築業でも必要とされています。

VEにおける「機能」「コスト」「価値」の意味

VEにおける「機能」「コスト」「価値」の意味

ここでは、VEにおける「機能」「コスト」「価値」の意味について解説します。

VEの意味
  • VEにおける「機能」
  • VEにおける「コスト」
  • VEにおける「価値」

VEにおける「機能」

VEにおける「機能」とは、製品の働きや効果など、顧客のニーズを満たすもの全般を指します。
建築業での例を挙げると、断熱性や遮音性、耐久性などがあてはまるでしょう。

機能を考える上で重要なポイントは、既存の建築物において顧客の評価が高い機能は残し、顧客が必要としていない過剰な機能は排除することです。

VEにおける「コスト」

VEにおける「コスト」とは、総費用(ライフサイクルコスト)のことを指します。

ライフサイクルコストとは、製品や建築物の製造から廃棄までにかかるすべてのコストのことです。
生産者側のコストはもちろん、消費者側のコストも含めて考えていきます。

建築業におけるライフサイクルコストの例としては、建物を作るための初期費用(材料費・人件費など)や、その建物を使うためにかかる水光熱費や点検・保守費、修繕費などが挙げられるでしょう。

VEにおける「価値」

VEにおける「価値」は、製品や建物などを使用する際の価値を指し、ここまでに解説した「機能」と「コスト」によって決まります

価値は「機能÷コスト」という数式で算出されるため、コストを抑えながら機能性を向上させれば、その分価値も高まるでしょう。
逆に、高いコストをかけているにもかかわらず機能性の低い建物であった場合、価値も下がってしまいます。

機能とコストを改善することで価値が向上し、その恩恵は生産者側と消費者側の両方が受けられます。

VEの基本5原則

VEの基本原則

VEには、以下のように実施する上で守るべき基本原則が5つあります。

VEの基本5原則
  • 使用者優先の原則
  • 機能本位の原則
  • 創造による変更の原則
  • チームデザインの原則
  • 価値向上の原則

使用者優先の原則

「使用者優先の原則」は、消費者がどのような機能を求めているのか、ユーザー視点を優先して考える原則のことです。

つまり、建築する側の意向は可能な限り撤廃しなくてはなりません。

VEでは顧客の立場となり、ユーザーにとって価値が最大となるよう考えることが重要となります。

機能本位の原則

「機能本位の原則」とは、建築物が果たすべき機能を明確にすることで、機能評価を中心に実施していく原則のことです。

VEでは、機能をベースに価値を向上させていくことが重要となります。

創造による変更の原則

「創造による変更の原則」とは、アイデアや発想などを自由に出すことで、固定概念にとらわれることなく価値を創造していく原則のことです。

建築物に新たな付加価値をつけていくためには、既存の考え方から脱却する必要があります。

チームデザインの原則

「チームデザインの原則」とは、各専門分野に関する知見や技術を持った人を集め、チームとして行動・改善していく原則のことです。

建築物の価値を向上させるためには、それぞれの分野で優れた知識や技術を持つ人材が協力し合う必要があります。

チームとして行動することで、新たなデザインや機能を生み出せる可能性もあるでしょう。

価値向上の原則

「価値向上の原則」とは、名前の通り価値が向上することを前提にVEを実施すべきだという原則のことです。

VEにおける価値は、機能とコストの両面から向上を追求しなければなりません。

VEを実施する際に価値を高める方法は、主に以下の4つのパターンに分かれます。

VEで価値を高める4パターン
  • 機能は同じでコストを下げる
  • コストは同じだが機能を上げる
  • コストを下げ機能を上げる
  • コストは上げるが機能を大幅に上げる

いずれの方法においても、既存の製品・建築物よりも価値を向上させることがVEの目的です。

VEの実施手順

VEの実施手順

VEの実施手順は、大きく以下3つのステップに分かれています。

VEの実施手順
  1. 機能の定義
  2. 機能評価
  3. 代替案作成

1. 機能の定義

VEの対象となる建築物に関する調査を行い、顧客が求めるニーズや品質を満たすために必要な機能を定義しましょう。

具体的には、以下のようなステップを踏んでいきます。

機能の定義の実施手順
  • VEの対象となる製品・建築物の情報収集
  • 顧客が求める機能や価値を向上させる機能を定義する

収集する主な情報は、対象となる建築物を作るために必要なコストや技術レベル、材料、顧客の要求などです。

2. 機能評価

必要な機能を定義したら、その機能ごとに評価を行いましょう。
各機能の機能性や、実現するために必要となるコストなどを洗い出し、評価を行います。

具体的には、以下のようなステップで作業を進めましょう。

機能評価の手順
  • 機能別の評価・コスト分析を行う
  • 分析した「機能」と「コスト」をもとに、価値を算出する

3. 代替案作成

機能の評価を行ったら、代替案を作成します。

代替案を作成する際には、盛り込む機能を達成するためのアイデアを出し、そのアイデアを具体化するという流れで行います。

具体的な手順は、以下の通りです。

代替案作成手順
  • 機能達成のためのアイデアを発想する
  • 発想したアイデアを具体化させる
  • 具体化したアイデアのメリットやデメリットを分析
  • 建築物の価値を向上させるアイデアであるかを総合的に評価する

代替案を作成したら、提案書などに落とし込み顧客に提案を行いましょう。

電子帳票システムとは?システムの概要からメリット・デメリットまで解説

まとめ

VEを実施することで製品や建築物の価値向上が期待できるため、多様化する顧客のニーズに対応しやすくなります。

VEの基本的な考え方は、機能を落とさず価値を向上させることにあり、顧客に必要な機能を満たした上で、コストの削減を行い価値を向上させることが重要です。

VEを実施し、製品や建築物の競争力を高めることで、企業経営を発展させていきましょう。

また、自社の業務におけるコストカットを実現したい場合は、建築業界向けの業務効率化ソフトの利用がおすすめです。

建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。

エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。

また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。

大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。

AnyONEで効率化できる主な業務
  • 顧客管理
  • 工事・施工管理
  • 見積り・実行予算・発注管理
  • 入出金管理
  • アフター管理

AnyONE
【引用】AnyONE