太陽光発電システムの営業担当者として、トライブリッド蓄電システムを提案する機会が増えているのではないでしょうか。
導入を検討している施主から、まず質問される内容が導入費用についてです。
この記事では、トライブリッド蓄電システムの導入費用やその内訳、各種メーカーのトライブリッド蓄電システムの価格、費用を安く抑えるポイントを解説しています。
目次
トライブリッド蓄電システムのデメリットは導入費用の高さ
トライブリッド蓄電システムの導入において、最も大きなハードルとなるのが導入費用の高さです。
施主からも「導入したいけれど、費用が高額すぎる」という声をよく耳にします。
しかし、この初期費用の高さは、システムがもたらす長期的なメリットによって十分にカバーできます。
ニチコンメーカーサイトによると、ガソリン車を使用しており走行距離が月間1,000kmの場合、年間14万円のガソリン代が必要です。
しかし、トライブリッド蓄電システムを導入すれば、太陽光発電で電気自動車を充電できるため、この費用は0円に。
もちろん電気自動車だけでなく、家電も太陽光発電のエネルギーで賄えるため、電気代を大きく削減可能です。
さらに、現在は複数の補助金制度を利用することで、実質的な導入コストを大幅に抑えることができます。
V2H設備で最大75万円、工事費で最大40万円の補助金が利用可能であり、施主の実質負担額を軽減できる点も重要なポイントです。
トライブリッド蓄電システムの費用内訳
トライブリッド蓄電システムの導入費用内訳は、主に以下の3つに分類されます。
トライブリッド蓄電池システムの本体購入費用
トライブリッド蓄電システムの価格は、主に蓄電容量によって決まります。
4.9kWhの小容量タイプでも370万円からとなり、大容量の14.9kWhになると590万円以上の投資が必要です。
この価格差は、施主のライフスタイルや電力使用量に合わせて最適な容量を選択できるという意味では、むしろメリットともいえます。
たとえば、単身や2人世帯であれば4.9kWhで十分な場合が多く、初期費用を抑えた導入が可能です。
オーバースペックになりすぎず、適度な容量の製品を選ぶことで、コストパフォーマンスよくトライブリッド蓄電システムを導入できます。
設置工事費用
設置工事費用は、建物の状況や工事の複雑さによって大きく変動します。
基本的な設置工事費用は50万円〜70万円が相場です。
設置工事には、配線工事費用の5万円〜15万円、V2H設置工事費用の20万円〜30万円が含まれています。
注意すべき点として、既存の建物の状況によって追加工事が必要になるケースがあることを覚えておきましょう。
たとえば、配電盤の交換や、設置場所の補強工事などがあれば、工事費用が追加されます。
現地調査を慎重に実施したうえで工事費用を算出しましょう。
太陽光パネル本体・設置費用
トライブリッドシステムを最大限活用するためには、適切な容量の太陽光パネルの設置が不可欠です。
ソーラーパネルの設置費用は、購入価格を含めて1kWあたり26.1万円となっており、一般的な戸建て住宅に多い3〜5kWの容量の太陽光パネルの設置価格は以下のとおりです。
- 3kW:78.3万円
- 4kW:104.4万円
- 5kW:130.5万円
ただし、これらの価格はパネルの種類や屋根の形状、工事の難易度によって変動します。
施主には、まず電力使用量と屋根の形状から最適な容量を提案し、そのあとで具体的な費用を説明しましょう。
代表的なメーカーのトライブリッド蓄電システムの導入費用
日本の代表的なメーカーが発売しているトライブリッド蓄電システムの導入費用を説明します。
ニチコン
メーカー | 型番 | 容量 | 導入費用目安 |
---|---|---|---|
ニチコン | ESS-T3S1 | 4.9kWh | 370万円 |
ニチコン | ESS-T3M1 | 7.4kWh | 420万円 |
ニチコン | ESS-T3L1 | 9.9kWh | 490万円 |
ニチコン | ESS-T3X1 | 14.9kWh | 590万円 |
業界のパイオニアとして知られるニチコンは、4つの容量バリエーションを用意しています。
AI制御機能や全負荷対応など、高機能が特徴です。
価格は本体・工事込みで370万円から590万円となります。
パナソニック
パナソニックの「eneplat」シリーズは、AiSEG3との連携が特徴で、家電との連携がしやすいシステムです。
電気自動車への充電と蓄電池への充電を同時におこなえるなど操作性もよく、高機能のモデルです。
本体価格は3.5kWhモデルで280万円前後が導入価格の目安となります。
シャープ
シャープのEV用コンバータを使えば、太陽光発電と蓄電池、V2Hを連携できます。
後付けで蓄電池とV2Hの3つの機器を連動でき、トライブリッドを段階的に導入したい方に適しています。
EV用コンバータの価格は165万円が目安で、軽量かつ小型なので設置場所を取らない点がメリットです。
長州産業
長州産業のSMART PV EVOは、蓄電池と太陽光発電、V2Hの3つの機器を連携できるシステムです。
ハイブリッド型の特性を活かし、太陽光発電との相性がよいのが特徴です。
6.3kWhと12.6kWhの2種類の容量があり、それぞれ526万円、772万円で導入できます。
ダイヤゼブラ電機
ダイヤゼブラ電機「EIBS V」は、蓄電池と太陽光発電、V2H3つのシステムを連携できる蓄電システムです。
ハイパワー5.5kWでの放電が可能と、高出力で電気を使用できます。
なお、蓄電容量6.21kWhで430万円で導入が可能です。
トライブリッド蓄電システムの費用を抑えるコツ
トライブリッド蓄電システムは費用的にはかなり高額で、施主への負担も高いです。
少しでも費用を抑える方法を2つ紹介します。
施主へ提案し、より気軽にトライブリッド蓄電システムを導入できるようにアドバイスしましょう。
太陽光リースの利用
初期費用の負担を軽減する方法として、太陽光リースの活用が効果的です。
リース契約であれば、0〜数万円程度の初期費用で導入が可能です。
月々のリース料金も、電気代の削減分でカバーできるケースが多いため、施主の資金計画に合わせやすい利点があります。
太陽光リースの詳細については、以下の記事をご覧ください。
補助金の活用
現在利用可能な補助金制度を最大限活用することで、実質的な導入コストを大幅に抑えることができます。
- V2H設備費補助:最大75万円
- V2H工事費補助:最大40万円
- 蓄電池容量に応じた補助:1kWhあたり3.2万円
また、地域によっては自治体独自の上乗せ補助金も利用可能です。
これらの補助金を組み合わせることで、導入時の施主負担を大きく軽減できます。
トライブリッド蓄電システムに利用できる2024年最新の補助金情報は、こちらをご覧ください。
まとめ
トライブリッド蓄電システムは、確かに高額な初期投資が必要です。しかし、長期的な視点で見れば、電気代削減や停電対策、環境への配慮など、多くのメリットがあります。
施主への提案時には初期費用だけでなく、長期的な経済効果や補助金の活用方法も含めて説明することが重要です。
特に、具体的な数字を示しながら投資回収の見通しをわかりやすく説明することで、施主の理解を得やすくなります。
また、太陽光リースなど、初期費用を抑える選択肢があることも、積極的に提案していきましょう。
施主のニーズと予算に合わせた、最適な導入方法を提案することが、成約率の向上につながります。
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