太陽光の屋根貸しは魅力的なモデルに思えますが、実はリスクもあります。
施主に軽率に太陽光の屋根貸しを勧めると、後から施主との関係が悪化するかもしれません。
この記事では、太陽光の屋根貸しとPPAの違い、太陽光の屋根貸しのメリットとリスクを解説します。
最後に、太陽光の屋根貸しのデメリット解消できる太陽光リースについても触れています。
そもそも太陽光の屋根貸しとは?
太陽光の屋根貸しとは、企業が人の家の屋根で発電した電力を売電し、収益を回収するモデルのことです。
屋根を貸す代わりに物件所有者は企業から、賃料収入を受け取ります。
簡単にいえば屋根を貸して賃料を安定的に得られる点が、屋根貸しのメリットです。
PPAとの違い
屋根貸しと類似のモデルがPPAです。
PPAとは屋根貸しと非常に似ており、企業が民家の屋根を借りて太陽光発電設備を設置します。
ただし、PPAの場合は賃料は発生せず太陽光発電設備の設置業者から、通常よりも安く電気を購入できます。
PPAモデルの概要やメリット、デメリットはこちらの記事でご覧ください。
太陽光の屋根貸しのメリット
太陽光の屋根貸しのメリットを3つ紹介します。
固定資産税がかからない
発電量が10kWを超える太陽光発電設備は固定資産とみなされ、課税対象となります。
しかし、屋根貸しの場合は太陽光発電設備の所有者はあくまで設置事業者であるため、固定資産税の支払い義務はありません。
初期費用なしで太陽光発電を設置できる
太陽光の屋根貸しを利用すれば、初期費用なしで太陽光発電設備を設置できます。
ただし、あくまで初期費用なしで設置するだけで、PPAのように電気を利用できるわけではありません。
安定した賃料収入を得られる
太陽光の屋根貸しのメリットは、安定的に賃料収入を得られる点です。
自宅の屋根を有効活用して賃料を得ることができることは、太陽光の屋根貸しの大きなメリットでしょう。
契約期間終了後に太陽光発電設備を譲渡してもらえる可能性がある
太陽光の屋根貸しの契約期間が終了した後は、太陽光発電設備を屋根の所有者へ譲渡する契約が多いです。
初期費用なしで太陽光発電設備を手に入れられる点は、施主にとってもメリットといえるでしょう。
太陽光発電の設備導入に必要な初期費用の金額を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
太陽光の屋根貸しに伴う8つのリスク
太陽光の屋根貸しに伴うリスクを8つ紹介します。
賃料の相場が低めに設定されている
太陽光の屋根貸しのデメリットは賃料相場が低いことです。
屋根貸しの相場は1平方メートルあたり年間100〜300円が相場です。
一般的な民家の屋根面積は80〜100平方メートルであるため、年間8,000〜30,000円程度の賃料しか得られません。
そのため、収益を目的とした屋根貸しを契約しても期待外れとなる可能性があります。
売電ができない
屋根貸しで設置した太陽光発電設備の所有者は、あくまで設置事業者であり、発電した電力を屋根の所有者が自由に利用できません。
もちろん売電もできないため、賃料以外の収益源がない点はデメリットです。
一方で太陽光発電を自己所有した場合に、年間で得られる売電収益を計算してみましょう。
賃料収入が3万円だと仮定しても、屋根貸しよりも自己所有の方が経済的なメリットは大きいです。
契約期間終了後のメンテナンス費用負担が必要である
太陽光の屋根貸しの契約期間終了後は、設置事業者から太陽光発電設備が譲渡されるケースが多いです。
しかし、その後のメンテナンス費用の負担は建物の所有者が負います。
太陽光発電設備のメンテナンス業者へ連絡して予約をとり、万が一故障した場合は撤去や修理の費用を払わなければなりません。
初期費用は節約できるものの、契約終了後に負担が増えるリスクがある点は施主に伝えておきましょう。
契約期間が長く途中解約の場合はペナルティがかかる
太陽光の屋根貸しの契約期間は20年など長期にわたります。
20年の間に物件を売却する場合は設置事業者の許可が必要など、一般的な物件売却よりも手間のかかる手続きが発生します。
もちろん契約期間中の解約は可能ですが、その場合は設置事業者から中途解約のペナルティとして違約金を請求される可能性が高いです。
太陽光パネルの反射光や熱トラブルのリスクがある
屋根貸しに限ったことではありませんが、太陽光パネルの反射光や熱トラブルにより、近隣トラブルになるリスクがあります。
屋根貸しにおいては太陽光発電設備の所有権は設置事業者にあるため、所有者が勝手に太陽光発電設備を撤去できません。
設置事業者に相談しても撤去や角度の調整をしてもらえない場合、近隣からのクレームでその家に住みにくくなるリスクがあるでしょう。
太陽光発電設備の種類を柔軟に選べない
将来的に太陽光発電設備を譲渡してもらうことを考えて、希望の設備を指定したいと考える施主もいます。
しかし、太陽光の屋根貸しでは、太陽光発電設備の種類を自由に選べません。
設備の内容は事業者側ですでに決めているケースがほとんどです。
自治体の補助金利用ができない
太陽光の屋根貸しを利用する場合に、太陽光発電設備に関する補助金は利用できません。
そもそも太陽光発電設置の初期費用負担は、設置事業者がおこない、物件所有者は屋根の賃貸人に過ぎないためです。
撤去費用が自己負担になるケースが多い
太陽光の屋根貸しを利用した場合に契約途中で撤去する場合は、その費用は物件所有者が負担します。
また、契約期間終了後に太陽光発電設備を譲渡してもらった後すぐ故障した場合の撤去費用も、物件所有者の責任で撤去が必要です。
太陽光の屋根貸しは契約期間が20年と長いため、譲渡されたときにはすでに設備が故障している可能性も否定できません。
その場合は、壊れた太陽光発電設備を受け取り、撤去費用を負担しただけで終わるリスクがあります。
太陽光発電を活用して収益を得たいなら太陽光リースがおすすめ
太陽光の屋根貸しは無料で太陽光発電設備を手に入れられる可能性があり、賃料収入が得られる点は魅力です。
しかし、得られる賃料の少なさや売電収益の少なさを考えると、他の方法で太陽光発電設備を導入した方が良いでしょう。
施主が初期費用を無料にしたいと要望しているなら、太陽光リースがおすすめです。
太陽光リースのメリットを6つ紹介します。
初期費用0円で太陽光発電設備を設置できる
太陽光リースであれば、屋根貸しと同様に初期費用0円で太陽光発電設備を設置できます。
リース期間中はリース料を支払いますが、設置に関する工事費や設備費を施主が負担する必要はありません。
なお、リース期間終了後は太陽光発電設備を買い取るか、撤去するかを選択できます。
売電や自家消費など電力の使い道が自由である
太陽光の屋根貸しでは、発電した電力を物件所有者が自由に売電したり、自家消費したりできません。
そのため、屋根貸しの契約期間中に得られる利益は賃料収入のみです。
一方で太陽光リースでは、発電した電力の使い道は自由であり、売電も自家消費もできます。
自家消費した余剰電力を売電して収益を得れば、リース料を支払ってもプラスになる可能性があります。
メンテナンスの手間がない
太陽光リースは屋根貸しと同じように、太陽光発電設備のメンテナンスの手間がありません。
屋根貸しと同じように、リースされた設備の所有権は事業者が持つためです。
リース期間中のメンテナンスや破損時における対応は事業者が対応するため、施主としても手間なく太陽光発電を設置でき、そのメリットを受けられます。
自由に太陽光発電の設備を選べる
太陽光リースの場合は屋根貸しと異なり、施主が希望する太陽光発電設備を選べます。
屋根貸しよりも設備選択の自由度がある点は、太陽光リースの方が優れているといえるでしょう。
リース事業者により提供している太陽光発電設備の種類は異なります。
自治体の補助金が利用できる
太陽光リースを利用する場合は、自治体の補助金が利用できます。
たとえば東京都の「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」では、太陽光リースの利用契約後に利用料の割引や一括キャッシュバックという形で、助成金が還元されます。
一方で屋根貸しでは補助金は利用できない場合が多く、施主の負担を軽減するという意味では、太陽光リースの方がおすすめしやすい契約形態といえるでしょう。
撤去の費用がかからない
太陽光リースは契約期間終了後に、設備を返却するか、買取するかを選択できます。
設備を返却する場合はリース事業者が撤去を実施し、その費用はかかりません。
太陽光リースの契約期間は一般的に10年間であり、その期間中に解約する場合は中途解約の違約金が必要です。また、その場合の撤去費用は施主が負担します。
太陽光リースの概要やメリット、契約について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
太陽光の屋根貸しは初期費用無料で太陽光発電設備が設置でき、賃料が得られる魅力的なモデルです。
しかし、賃料の安さや契約期間が20年と長く中途解約時に高額の違約金がかかるなど、リスクがある点も把握しておきましょう。
太陽光発電設備のメリットを最大化するなら、初期費用無料で利用できる太陽光リース契約がおすすめです。
太陽光リースであれば、太陽光発電の魅力である節電や売電収益を得られるメリットはそのままに、施主の負担を最低限にして太陽光発電設備を導入できます。
しかし、どの太陽光リース事業者と提携すれば良いか迷っている工務店担当の方もいるでしょう。
建築現場博士がおすすめする太陽光発電システムは『ダブルZERO』です。
太陽光発電システムの設置と災害対策を初期費用0円でおこなえます。
ダブルZEROを提供しているSolaCoe株式会社は、新築住宅向けに4,000件の太陽光発電システムを設置した実績とノウハウを持っています。
太陽光発電システムの申請代行もおこなっており、太陽光発電システムの経験がない工務店様でも心配はありません。
またオンライン・オフライン形式での勉強会開催や提案ツールの提供をおこなっており、太陽光発電が未経験であっても安心して施主様に提案が可能です。
5kwの太陽光発電設備を導入している場合の年間発電量:6,515kWh
一般的な家庭では上記のうち7割を売電に回すというデータを元に計算すると、売電電力量の合計は4,560kWhとなります。
2024年の売電価格が16円であるため、以下の金額が年間の平均的な売電収入です。
4,560kWh×16=72,960円