ニチコンはV2H開発の第一人者であり、他メーカーに先駆けて商品を発売させました。
施主のなかにも、ニチコンのトライブリッド蓄電システムへ興味を示している人が増えているのではないでしょうか。
この記事では、ニチコンのV2Hシステムの概要や主な特徴、仕様についてまとめています。
そもそもV2Hとは何?という方は、こちらの記事もご覧ください。
目次
ニチコンのV2Hシステムとは
電気自動車の普及が加速する中、その大容量バッテリーを家庭の電力として有効活用するV2Hシステムが注目を集めています。
ニチコンは業界に先駆けてV2Hシステムを開発・実用化し、現在では国内シェア90%を占める主要メーカーへと成長しました。
2024年には第3世代となる新型モデルの発売を予定しており、さらなる技術革新を実現しています。
ニチコンの基本情報
ニチコンは1950年に京都で設立された電機メーカーです。
アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサ、電力用コンデンサなどのコンデンサ事業を中心に成長してきました。
ニチコンのフィルムコンデンサは、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載された実績を持つほか、現在は電気自動車にも多く使用されています。
2012年にV2Hシステムの実用化に成功し、その後NECSTは急成長事業となっています。
現在のニチコンは、資本金142億円、グループ28社で構成され、2023年3月末時点での連結売上高は1847億円、連結経常利益152億円、連結社員総数は5408人を擁する企業へと成長しています。(【参考】ニチコン公式サイト)
主力商品「EVパワー・ステーション」について
EVパワー・ステーションは、電気自動車(EV)のバッテリーを家庭用電源として活用できるV2H(Vehicle to Home)システムです。
電気自動車と家電をつなぐEVパワー・ステーションの導入で、太陽光発電や蓄電池、V2H単体の利用よりも大きな節電効果を得られます。
なおニチコンからは2024年春にはEVパワーステーションの第3世代となる新型モデル「VSG3-666CN7」が発売されています。
新型モデルでは、CLLC双方向コンバータを用いた新電力変換回路とニチコン独自の制御技術を組み合わせた新回路システムを採用しています。
この技術革新により、効率化を高めて発熱量を抑制し、外部ファンが不要となりました。
その結果、パワーユニット本体は470×620×200mmとなり、現行モデルの809×855×337mmと比較して大幅な小型化を実現しています。
さらに、パワーユニット本体と操作部をセパレート(別体)とすることで、設置の自由度も向上し、導入のハードルは大きく向上したといえるでしょう。
ニチコンのV2Hシステム「EVパワー・ステーション」の特徴
新型EVパワー・ステーションは、これまでのV2H技術を革新的に進化させた製品です。
小型・軽量化だけでなく、効率性や使いやすさの面でも大きな進化を遂げています。
主な3つの特徴を紹介します。
高効率な電力変換
EVパワー・ステーションでは、SiC MOS FET(シリコンカーバイト金属酸化膜半導体電解効果トランジスタ)の採用とインバータ回路の最適化による損失低減を図り、軽負荷時も現行モデル比で約10%の効率アップを達成しています。
SiC MOS FETとは…電流を扱うデバイスの1つで、電流のロスを最小限にできます。
このデバイスとインバータ回路の最適化をすることで、V2Hの課題であって電流の変換時に発生するロスを削減し、効率の良い電力活用・変換が可能です。
さらに注目すべきは新開発の「小型自動切替開閉器」です。
家庭で停電が発生しても自動的にEVからの給電に切り替わる機能を実現しており、自分での切り替えが必要ありません。
設置の自由度向上
パワーユニット本体と操作部をセパレート(別体)とし、設置の自由度と使いやすさを向上させています。
大幅な軽量化によって壁掛け設置にも対応し、「シルバーメタリック」と「ブロンズメタリック」の2色のカラーバリエーションから好きな色を選べる点も特徴でしょう。
さらに、沖縄など海が近い塩害地域への設置対応もオプションとして初めて用意されました。
太陽光発電やV2Hを使用するにあたり、塩害は機器の劣化を早めるとして、設置が向いていない場所といわれていました。
これにより、より多くの地域やシーンでの導入が可能となっています。
V2Hを設置するのに向いていない場所については、以下の記事をご覧ください。
充実した保証制度と信頼性
ニチコンは12年間のV2H販売で培ったノウハウにより、信頼性の高い回路システムを構築しています。
その高い信頼性を裏付けるように、業界最長クラスとなる10年保証を標準で提供しています。
長期間の使用を見据えた設計と、充実したアフターサポート体制により、安心して利用できる環境を整えています。
ニチコンのV2Hシステム「EVパワー・ステーション」の運用機能
EVパワー・ステーションは、様々な運用機能を搭載し、効率的な電力活用を実現します。
特に、電気自動車のバッテリー特性を考慮した細やかな制御や、スマートフォンを活用した利便性の高い操作性が特徴です。
電力管理システム
停電時でも6.0kVAの出力を実現し、200V機器を含む家庭内のほぼすべての電気機器に電力供給が可能です。
車両の消費電力に合わせて詳細設定ができ、効率的な電力運用を実現します。
さらに余剰電力充電停止機能により、車両のバッテリー残量に対して設定値を超えて残量が減少した場合、自動的に充電を停止するなど電力のロスは最小限です。
また、インテリ放電機能により、放電中に自宅の消費電力が小さい場合は放電稼働を停止し、効率的な電力運用を実現します。
スマート操作機能
専用アプリを利用することで、スマートフォンから制御とモニタリングが可能です。
家庭内であれば、充放電のスタート時間の設定やメンテナンス状態の確認などがスマートフォンから行えます。
リアルタイムで電力の使用状況を確認でき、より効率的な電力管理が可能となっています。
対応車種
EVパワー・ステーションは、国内外の主要メーカーの電気自動車やプラグインハイブリッド車に幅広く対応しています。
メーカー | 対応車種 |
---|---|
トヨタ | プリウス bZ4X RZ450e RZ300e UX300e、 クラウンSPORT RS クラウンセダンFCEV MIRAI |
日産 | アリア リーフ サクラ e-NV200 クリッパーEV |
三菱 | エクリプスクロス アウトランダー ekクロスEV、 ミニキャブEV i-MiEV ミーブバン ミーブトラック |
マツダ | MX-30 EV MODEL CX-30 ROTARY-EV CX-60 PHEV |
ホンダ | Honda e N-VAN e CR-V e |
SUBARU | SOLTERRA |
メルセデス・ベンツ | EQE EQE SUV EQS EQS SUV GLC 350 e C 350 e E 350 e EQA EQB |
BYD | ATTO 3 DOLPHIN DOLPHIN Long Range J6 K8 |
Hyundai | KONA |
車種によって充放電の許容値が異なるため、導入時には詳細な確認が必要です。
まとめ
ニチコンのV2Hシステム「EVパワー・ステーション」は、30年以上にわたる電力変換技術の研究開発から生まれた信頼性の高い製品です。
新型モデルでは、小型・軽量化と効率向上を実現し、より使いやすいシステムへと進化しています。
停電時の自動切替機能や詳細な電力管理機能により、安心で効率的な電力活用を実現しています。
導入時にはCEV補助金など各種補助金制度の活用が可能で、導入コストの軽減も図れます。
再生可能エネルギーの有効活用と災害時の電力確保を両立する、次世代の電力マネジメントシステムとして、今後さらなる普及が期待されます。
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