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一級建築士を取得するメリット3選|二級建築士との違いも解説

一級建築士は、規模を問わずあらゆる建築物の設計が可能となる資格です。

「あらゆる物件を設計したい」と考えている方にとっては、必須の資格と言えます。

しかし設計をしている方の中には、「自社で扱っている物件は小規模物件ばかりで、一級建築士を取得するメリットがない」と考えている方もいるでしょう。

一級建築士には、設計できる物件が増える以外にも3つのメリットがあります。

本記事では、一級建築士の概要や取得するメリット・デメリットについて解説します。

本記事は下記のような方におすすめです
  • 一級建築士を取得するメリット・デメリットを知りたい
  • 二級建築士との違いも知りたい

一級建築士とは

一級建築士とは

一級建築士とは、建築物の希望を問わず設計・工事管理業務がおこなえる資格です。

1級建築士になるためには、国家試験に合格し国土交通大臣の免許を取得しなければなりません。

一級建築士について理解を深めるため、下記の4つを解説します。

一級建築士とは
  • 二級建築士の違い
  • 受験資格・受験の流れ
  • 合格率
  • 一級建築士の収入

二級建築士の違い

一級建築士と二級建築士の最も大きな違いは、設計できる建築物の規模です。

先述したように、一級建築士は設計できる建築物の規模に制限がありません。

二級建築士は下記に該当する建築物は 設計できません。

二級建築士が設計できない建築物
  • 高さ13mまたは軒高9mを超えるすべての構造の建築物
  • 木造以外の延べ面積が300㎡を超える建築物
  • 木造の場合は延べ面積500㎡を超える特定建築物
    ※特定建築物とは、学校・病院・劇場・映画館など、大人数が集まる施設や衛生・防火上を規制すべき建築物を指します。
【引用】建築士の種類と業務範囲-公益財団法人 建築技術教育普及センター

また免許の交付先も異なります。

一級建築士は国土交通大臣より免許が与えられるため、交付元は国土交通省です。

一方で 2級建築士の免許は都道府県知事から交付されるため、都道府県が交付元です。

受験資格

一級建築士の受験資格は、2020年3月1日より緩和されました。

一級建築士の受験資格を持っている方
  • 大学・短期大学・高等専門学校の卒業者かつ入学式が2009年度以降で指定科目を納めて卒業している方
  • 二級建築士・建築設備士を保有している方
  • 国土交通大臣が上記の方と同等の知識や技能を有すると認められた方

また試験に合格しても、免許が交付されるためには下記の実務経験を満たす必要があります。

学歴(卒業学校)・保有資格など実務経験
大学2年以上
短期大学(3年)3年以上
短期大学(2年)・高等専門学校4年以上
二級建築士二級建築士として4年以上
建築設備士建築設備士として4年以上
国土交通大臣が認める者所定の年数以上
【参考】新しい建築士制度の概要について-国土交通省

合格率

一級建築士の試験は、学科と設計製図の2段階に分かれています。

国土交通省によると、2022年度(令和4年度)のそれぞれの試験の合格率は下記の通りです。

  • 学科試験の合格率:21.0%
  • 設計製図試験の合格率:33.0%
  • 試験全体の合格率:9.9%

【参考】令和4年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定~3,473人の合格者、33.0%の合格率~-国土交通省

一級建築士の収入

2019年の一級建築士の収入は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータによると、およそ700万円前後です。

全体の平均従業員10〜99人規模の会社の平均
決まって支給する現金給与額47万3,000円/月40万1,900円/月
年間賞与その他特別給与額150万4,900円/年109万4,400円/年
平均年収718万0,900円591万7,200円
【参考】賃金構造基本統計調査-厚生労働省

一級建築士の収入は、所属企業によって異なります。

一級建築士の平均収入は700万円を超えています。

しかし所属する会社によっては、平均年収に届きません。

従業員10〜99人規模の会社の平均は591万7,200円と、600万円を下回っています。

一級建築士の3つのメリット

一級建築士の3つのメリット

一級建築士を取得するメリットを下記の3つです。

一級建築士の3つのメリット
  • 年収アップ・昇進につながる
  • 施主から信頼を得られる
  • 構造設計一級建築士・設備設計一級建築士に挑戦できる

年収アップ・昇進につながる

一級建築士を取得すると、収入アップ・昇進につながります。

会社によっては一級建築士を取得すると、資格手当が支給され年収がアップします。

資格手当の額は会社によって異なりますが、月5万円支給されるケースも珍しくありません。

月5万円だと、年間では60万円収入がアップします

また、一級建築士の取得が昇進の要件になっている会社も少なくありません。

昇進の要件に一級建築士の取得があると、資格を取得するまではいくら実力があっても昇進はできません。

施主から信頼を得られる

一級建築士を取得すると、施主からの信頼を得られやすいです。

建設業界に詳しくない方でも、一級建築士には下記のようなイメージを持っているケースが多いです。

  • 設計の専門家
  • いろいろな提案をしてくれる
  • ミスなく仕事をしてくれる

そのため、20代の若手でも一級建築士を取得していると、初対面でも専門家として扱ってもらえるケースが多くなります。

構造設計一級建築士・設備設計一級建築士に挑戦できる

構造設計一級建築士と設備設計一級建築士に挑戦できることもメリット です。

上記の資格に挑戦するには、1級建築士として構造設計または設備設計の実務経験が5年必要です。

そのため、一級建築士を取得しないと受験資格すら得られません。

一級建築士の2つのデメリット

一級建築士の2つのデメリット

一級建築士には、収入アップや施主からの信頼が得られやすいといった メリットがありますが、下記2つのデメリットについても把握しておきましょう。

一級建築士の2つのデメリット
  • 資格取得までに時間と費用がかかる
  • 仕事の責任が重くなる

資格取得までに時間と費用がかかる

一級建築士は資格取得までに時間と費用がかかります。

一般的に一級建築士を合格するのために必要な勉強時間は、1,000時間以上と言われています。

また先述したように合格率は、10%を切る年もあり、勉強期間中はプライベートの時間はなくなると考えるべきです。

また 一級建築士は独学が不可能な資格ではありませんが、多くの方は専門の資格学校に通います。

資格学校への費用は100万円以上かかることは、珍しくありません。

また試験に不合格で何年も受験する場合は、さらに費用がかさみます。

そのため試験に合格できなければ、多くの時間と費用が無駄になるリスクがあります。

仕事の責任が重くなる

一級建築士を取得すると仕事の責任が重くなります。

一級建築士は、図面に管理責任者として自身の名前を記名可能です。

そのため建築物に問題が生じると、管理責任者として責任を問われます。

また一級建築士を取得すると、担当する案件の規模が大きくなったり 難しくなったりすることも考えられます。

さまざまな案件を経験して成長したい考える方にはデメリットにはなりません。

しかし、「あまり難しい案件を担当したくない」と考える方には デメリットになりえます。

一級建築士を取得する上では、収入アップなどメリットをだけを見るのではなく、デメリットも考えた上で一級建築士の取得を目指しましょう。

まとめ

本記事では一級建築士の概要や取得するメリット・デメリットについて解説しました。

一級建築士を取得するメリットは下記の3つです。

1級建築士を取得するメリット
  • 年収アップ・昇進につながる
  • 施主から信頼を得られる
  • 構造設計一級建築士・設備設計一級建築士に挑戦できる

一級建築士は、年収アップや待遇改善につなげたい方、さまざまな案件に挑戦したい方におすすめできる資格です。

一方で下記2つのデメリットもあります。

一級建築士のデメリット
  • 資格取得までに時間と費用がかかる
  • 仕事の責任が重くなる

一級建築士は取得までに時間と費用がかかるため、合格するためには会社のバックアップが必要です。

特に試験勉強の時間を捻出するためには、業務を効率化し短い時間で業務も終わらせることが重要です。

工務店業務を効率化するためには、業務効率化システムの導入をおすすめします。

しかし「どのシステムを選んだら良いかわからない」と悩む方もいるでしょう。

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  • 入出金管理
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【引用】AnyONE

この記事の監修者

中島崚真 (一級建築士 日本建築学会 会員)

1976年生福岡県出身。空間は人の感情に共鳴する。揺れ動く心と高鳴る胸の鼓動、揺り動かされる感情のデザインを意識して設計活動をしている。
design creation office FIVE COLOR[S] INK 一級建築士事務所