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工務店におけるDX導入のメリット・デメリットと具体例

近年、オフィスワーク中心の企業だけでなく、さまざまな職種・形態の企業において導入されているDX。

DXとは何なのか、IT化と何が違うのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなDXについて、工務店での導入事例と合わせて紹介します。DXの検討している方必見の情報が満載です。

DXとは?

DXとは?

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」を意味し、ITの浸透が人々の生活をより良い方向に変革させていくことを意味します。

実際にさまざまな企業がクラウドやモビリティなどのIT技術を駆使し、オンラインとオフラインのハイブリット型のさまざまなサービスを提供しています。

近年は経済産業省がDXを推進していることもあり、工務店やリフォーム会社もデジタル変革を求められています。

ここからは、DXについての説明と建設業界におけるDXについて説明します。

DXとは?
  • IT化との違い
  • DX普及の背景
  • 建設生産プロセスを効率化できる
  • 次世代への技術継承
  • 省人化推進

IT化との違い

DXとIT化を混同される方も多いのではないでしょうか。

ITとは、「Information Technology」の略で、コンピュータ技術の総称です。IT化とは、デジタル技術を用いて作業や業務の効率化を行うことを意味します。これまで人の手で作業していたことをITに置き換えることにより、生産性を向上させることを目的としています。

一方、DXは、企業がデジタル技術を駆使し、企業やビジネスモデルを変革させていくことを意味します。つまり、組織をどうしたいのか、ビジョンを描くことが成否を分けるポイントとなるため、社内のIT部門だけが取り組むのではなく組織全体で取り組む必要があるのです。

IT化は生産性の向上を目的としてデジタル化を進めるのに対して、DXはデジタル化を手段として、ビジネスモデルの変革を行うことが目的です。つまり、IT化はDXにおける手段のひとつということになります。

DX普及の背景

経済産業省の発表によると、「2030年までに約58万人のIT人材が不足する見通し」とのこと。人材不足が加速する中、限られた人材をどのように配置するかが重要になっていきます。

また、老朽化・複雑化した既存のシステムのメンテナンスに費用割り当てるよりも、企業を変革させるためのビジネスモデルの構築などに力を入れるほうがいいでしょう。

そのため、人材の最適な配置を行うことができるDXの推進に注目が集まっています。

建設生産プロセスを効率化できる

建設生産プロセスの効率化につながるIT技術で挙げられるのは、BIMやCIMの導入です。

これは、従来2次元の図面を使用していた現場で、コンピューター上の3次元モデルを利用することです。計画、調査、設計、施工、管理の各工程を3次元モデルに書き加えることで、情報共有がしやすくなります。

2次元の図面を使用するのに比べ、工事に関わる全員が図面を理解しやすくなり、作業ミスの削減や作業効率の向上が期待できます。

次世代への技術継承

建設業界では高齢化が進み、熟練技術者が減少していますが、業務の新しい担い手が十分に確保できていません。生産性を維持することすら厳しい状況の企業もあり、これまでと同様のやり方で若手の育成をするには時間がかかりすぎてしまいます。
そのため、これまでとは異なる現場作業の進め方や技術の引き継ぎ方を検討する必要があります。

そこで、BIMやCIMを用いると、熟練技術者がどんな状況をどのように判断したのかがわかります。案件に関わっておらず直接話を聞くことができない場合でも、モデルを参照することで技術を学ぶことが可能です。

また、AI技術などを活用することで、作業の質が確実で安定化します。これまでは熟練技術者にしかできなかったような作業も、AIを使うことで誰もができるようになるでしょう。

省人化推進

情報通信機器を活用することで、従来は建設現場で行っていた施工状況や指定材料の確認作業、監督業務などを、遠隔地にある事務所や自宅から行えます。

電力会社によっては、夜間に電気料金が安くなるプランなどを用意しているところもあります。

また、現場では破砕や掘削、運搬、設置などの作業に重機の遠隔操作を導入している企業もあります。今後、技術が進歩すれば、遠隔操作または自動で行われる作業の範囲はさらに広がることでしょう。

遠隔操作や自動での作業を導入することで、危険な作業の回避や作業の効率化が可能です。残業時間の削減や作業員が安心して働くことのできる環境づくりにつながります。

DX導入のメリット・デメリット

ここからは、DXを企業が導入することによるメリット・デメリットを解説します。

DX導入のメリット・デメリット
  • 顧客満足度の向上
  • 生産性の向上
  • 新たなビジネスモデルを確立できる
  • 初期費用やランニングコストがかかる
  • 社内全体の協力が必要

顧客満足度の向上

業務の効率化や省人化ができ、業務負担の軽減や多様な働き方が可能となります。そしてそれは従業員の満足度向上にもつながります。従業員の満足度向上は、従業員が一人ひとり主体的に業務に取り組むようになるなど、顧客満足度にも良い影響を与えます。

また、顧客満足度を挙げるために、例えば自社のホームページにVR展示場のページを設置し、自宅に居ながらモデルハウス体感できるようにすることなどもできます。

電子契約を取り入れることで、印紙代などの費用や負担を減らしたりすることも顧客満足度の向上につながります。

生産性の向上

建設業界でも生産性を向上させるDXの取り組みは進んでおり、大手ゼネコンを中心にドローンやAI、AR・VRなどの先進技術が取り入れられています。

しかし、中小や零細の建設会社ではそのようなコストのかかる機械を導入することは難しいでしょう。中小の建設業は現場での仕事やアナログな慣習が多く、DX化を進めることは容易ではありません。

そのため、例えばワークフローの見直しや、新しい設計ソフトなどのITツールの導入、クラウドによるペーパーレス化、リモートによる拘束時間の削減など、そこまでコストがかからないDXからスタートすることで、生産性を向上させていくことが大事です。

新たなビジネスモデルを確立できる

先述の通り、DXはビジネスモデルの変革を意味します。

災害や感染症流行などの外部要因を含めた変化の著しい市場を生き抜くためには、既存のスタイルから脱却し、新たなビジネスモデルを確立することが重要です。

DXに取り組むことにより、企業の新たなビジネスモデルを発見できる可能性があります。

初期費用やランニングコストがかかる

DXに取り組むにあたり、ITツールなどを拡充する必要がある企業がほとんどです。導入には初期費用やランニングコストが発生します。

また、効果が出るまでには時間がかかる場合が多いため、それまでのランニングコストも想定する必要があります。経営者にとっては、この点が大きな課題となるといえるでしょう。

社内全体の協力が必要

DXは、状況によっては事業部ごとのIT化だけではなく、社内全体でシステムを統一することが求められることもあります。そのため、社内全体の協力が必要となります。

工務店のDX具体例

他の業界に比べDXの取り組みが少ない工務店ですが、実際に工務店がDXを活用している例を紹介します。

工務店のDX具体例
  • 集客のデジタル化
  • 顧客管理のシステム化
  • 予算管理のデジタル化
  • 働き方改革の推進

集客のデジタル化

営業や集客は勘や経験に頼りがちな分野ですが、DX実現のために活用されるMAツール、SFA、CRMなどを利用することにより、データを基にした根拠のある方法で効果的な営業や集客を実現できます。

工務店においては、営業が自動化できるSFAなどのシステムが導入しやすいでしょう。SFAは顧客管理に加えて案件や商談、プロセス、売上などの管理を行うツールも備わっているため、業務の効率化や人手不足の解消が可能となります。

顧客管理のシステム化

CRMなどの顧客管理システムを利用することにより、これまでエクセルや紙などのファイルで管理していた顧客情報を一元化し、全社的に共有することができます。

商談状況や顧客情報、見積もりや顧客との連絡状況など、社内の誰もが見られるようになるため、業務の属人化を防げます。業務を細分化できるため、ヒューマンエラーによるミスなども防ぐことが可能になります。

また、顧客の情報を深く分析し理解することができるため、営業活動の向上だけでなく、サービスやマーケティング、経営戦略などにも活かすことが可能です。

予算管理のデジタル化

経営管理業務のDXを導入する場合、予算編成業務などを行うクラウドシステムを使えば、予算編成・進行の統合管理や効率化、予測分析などが可能です。予測分析機能を活用することで、損益のシミュレーションなど、分析した情報を経営に活用することもできます

働き方改革の推進

DXに取り組むことにより、働く場所の制限が少なくなるため、リモートワークなど多様な働き方が可能となります。Web会議ツールを利用することで、会議や営業、接客など、コミュニケーションが欠かせない業務もリモートワークで対応が可能です。通勤時間を削減し、効率的に業務を行うことができます。

まとめ

今回は、DXのメリット・デメリットと、工務店における導入事例について紹介してきました。

DXとIT化は同じもののように感じるかもしれませんが、これらの違いを明確に理解することは、ビジネスを進めていくためにはとても重要です。

組織をどうしたいのかビジョンを描き、部分的にデジタル化するのではなく、組織全体でDXに取り組むことで、最先端のビジネスモデルを確立することが可能になります。

DX効果が出るまでには時間がかかる場合が多いため、すぐに効果が出なくても諦めずに取り組み続けることが大切です。

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