建設業の仕事はハードなイメージが強く、離職率も高いため「終わってるため働くことは難しい」という意見もあります。
そのため建設業界の経営者は、人手不足の課題を解決しなければ将来的に生き残りが難しくなる可能性も高いです。
当記事では、建設業が終わってると言われる理由から将来性、課題解決の方法まで詳しく解説します。
目次
建設業の概況
国土交通省が発表した「建設業を巡る現状と課題」によると、2013年ごろから建設投資額は増加傾向にあります。
一方で建設業の従事者は1997年の685万人をピークに緩やかに減少し、令和4年には479万人にまで減少しました。
つまり都市部を中心とした建設投資額の増加と反比例し、人手不足が発生しています。
また、建設資材の高騰化も進んでいるため、建設会社の負担は大きくなり、将来的に建設会社の運営を維持できなくなるリスクもあるでしょう。
2024年・2025年問題
建設業の大きな課題として、2024年・2025年問題があります。
まず2024年問題とは、働き方改革法案によって時間外労働の規制・賃金引き上げにおける対応をおこなわなければならない問題です。
建設業界では従業員の労働時間が長く、下請け業者は賃金が低いという課題の解決策として法案が可決されました。
ただし、人材不足が課題となっている建設業では、限られた時間のなかで業務をこなす必要があるため作業効率を向上させる取り組みが必要です。
次に2025年問題とは、従業員の高齢化によって医療費・介護費の負担が大きくなる問題です。
団塊世代が後期高齢者となることで医療費負担が増し、労働人口の減少により現役世代の負担が増えるリスクが懸念されています。
建設業の将来的な問題を解決するためには、作業効率を向上させるITツール・システムの導入やイメージの改善に力を入れる必要があるでしょう。
建設会社の倒産数
帝国データバンクが発表した調査によると、建設業の倒産件数は前年比38.8%増の1,671件(2023年1月1日~12月31日時点)となりました。
倒産理由として最も多かった要因は、人材不足や建設コストの増加、後継者不足などが挙げられました。
今後も建設業の倒産件数は増加傾向にあると予想されているため、早急に対策を考える必要があります。
建設は国の重要な作業であるため、国会では課題解決のために働き方改革法案の可決や中小建設業者に向けた対策を実施しています。
建設業が終わってるといわれる5つの理由
建設業が終わってるといわれる理由として、以下の5点が挙げられます。
1.少子高齢化による人手不足
建設業をはじめ、幅広い業界で少子高齢化による人手不足は大きな課題です。
総務省統計局のデータによると、2023年時点で日本人の人口は前年に比べて59万5千人減少しており、人口減少幅は12年連続で拡大し続けています。
日本全体の少子高齢化が進行し、労働人口が減っていくなかで、建設業は需要に応えるだけの人手を確保する必要があります。
しかし、建設業の悪いイメージは未だに根強く、若者から人気の職種とはいえません。
そのため、建設業では女性雇用の活性化や外国人労働者の雇用、若者にとって魅力的な職場環境の整備が必要です。
2.労働環境の悪さによる若者離れ
2024年から働き方改革法案が施行されましたが、現在でも建設業はブラックなイメージがついています。
働き方改革法案によって従業員の労働時間は改善されつつありますが、サービス残業が増加することに懸念を抱いている人も少なくはありません。
労働環境の改善に取り組み、より積極的にその面をアピールする必要があるでしょう。
3.教育指導体制の不足
中小企業の建設会社では、十分な教育指導体制が整っていない環境も少なくはありません。
現場から学んでいくスタイルを重視している企業も多いため、新入社員は抵抗を感じてしまいます。
また、建設現場では危険な作業も多く、管理者から大声で指導されることもあり、今の世代からは「怖い」と思われるリスクもあるでしょう。
大手企業では新入社員のために研修制度を設けていますが、リソースが限られている中小企業では環境の整備が難しいです。
結果的に新入社員の離職率が増加することになり、定着せず離職するケースもあります。
そのため人手不足の課題を解決するためには、教育指導体制を整えることが重要だといえるでしょう。
4.デジタル化の遅れ
各業界ではデジタル化が進んでいますが、建設会社によっては取り組みが遅れています。
AIやICTを活用すれば作業効率を大幅に向上できますが、建設業界には高齢者が多く新しい技術に抵抗がある人も少なくないでしょう。
建設業でデジタル化を進めるには、企業全体がDXの取り組みに向けて意識を統一することが大切です。
ITツールやシステムの導入には資金が必要になるため、予算確保が難しいときは補助金を活用するようにしましょう。
5.賃金の低さ
大規模なプロジェクトになるほど下請け構造は多くなり、下にいくほど賃金が低くなってしまうため、賃金の改善への取り組みは困難です。
必然的に従業員へ支払う給料も少なくなるため、従業員が労働時間に見合った報酬を得られなくなります。
仕事を行う上で従業員は正当な対価を求めるため、賃金が低いと働くメリットを感じられません。
下請け構造を避けるには、施工体系図や施工体制台帳を作成して客観的な判断のもと受注を検討する必要があります。
また、働き方改革法案の実施によって給料がどのように変化したのかを従業員に理解してもらえれば、離職率の増加を抑えられるようになるでしょう。
建設業の将来に期待できる理由
建設業の将来に期待できる理由として、以下のような4点があります。
建設需要の上昇
都市部の再開発や老朽化によるインフラの見直しなどから、建設需要は年々上昇を見せています。
とくに大阪では万博開催のために大規模な開発プロジェクトが進んでおり、建設市場は拡大しています。
また、住宅地や公共施設などの建設は常に必要となるため、建設需要は常に高いです。
建設需要の高まりに対応する人材確保ができれば、業界の未来は明るいでしょう。
働き方改革
2024年4月から働き方改革法案が施行され、徐々に建設業の環境は改善されています。
長時間労働の解消や賃金の引き上げが適用されると、従業員が働き続けられる環境を用意できます。
改善が進めば、建設業界のブラックなイメージが変わり、魅力的な業界として若者の入職希望者が増えるでしょう。
IT技術の導入
建設業界ではIT技術の導入が徐々に進んでいます。
IT技術の導入により省人化・効率化が進めば、労働環境が改善し、施工時の事故を防ぐ取り組みが可能です。
例えば、施工管理ツールの導入により作業員や施工管理者の業務負担を減らせます。
また、ウェアラブルカメラの着用での遠隔臨場が実現すれば、作業員の安全確保および施工管理者の移動時間削減にもつながるでしょう。
建設DXは国を挙げて取り組んでいる施策であり、今後も建設DXが進めば建設業界の労働環境は改善する見込みがあります。
外国人労働者の増加
建設分野に従事する外国人労働者が増加したことも、建設業の将来性に期待できる理由の1つです。
日本は世界的にも仕事の質が高いと評価されており、専門的な知識や技術を学びたい外国人労働者が増加しています。
建設分野における外国人材の受入れ状況によると、2023年10月時点の建設業に従事する外国人労働者数の合計は約11万人で、年々増加している状態となっています。
多様な人材確保に注力すれば、後継者に困らず将来性も期待できるようになるでしょう。
建設業の課題を解決する改善策
建設業の課題を解決するためには、以下のような改善策があります。
建設業のイメージアップ施策の実施
建設業の人手不足を改善するためには、若い人材に良いイメージを持ってもらうことが大切です。
建設業はほかの業界と比べてマイナスイメージを持たれがちなため、イメージアップ施策を実施すれば評価を改めてもらえるようになります。
例えば、昇給制度や有給など待遇面の良さをアピールすれば、若い人材に建設業の魅力を知ってもらえます。
ほかにも残業時間を減らすための施策や福利厚生の充実度などを紹介すると、人材確保のきっかけとなるでしょう。
教育体制の構築
建設業の人材確保には、教育体制の構築も大切です。
研修制度やマニュアルを用意することで、新入社員でも働きやすい環境となります。
また、資格取得を支援する取り組みをおこなえば、従業員のモチベーションアップにもつながります。
従業員のスキルがアップすれば生産性も向上し、建設会社としても大きなメリットです。
働きながら学べる環境を用意すれば、自然と人材の定着率も向上できるようになります。
どのように教育体制を構築すればいいのかわからないときは、建設業界に強いコンサルティング会社と相談すると良いでしょう。
労働環境の改善
建設業の離職率を低下させるには、労働環境を改善する必要があります。
労働環境が厳しいと、従業員は働くことにメリットを感じられなくなり他社へ流出する可能性があるためです。
労働環境の改善策として、労働時間と工数管理の2点を意識しましょう。
働き方改革法案によって時間外労働の規制があるため、従業員を労働時間内でどのように稼働させればいいのかを明確化することが大切です。
次に施工管理者は従業員の工数管理を徹底し、全体の負担を最小限にしながら建設作業を進めなくてはいけません。
労働者にこれからも働きたいと思ってもらうためにも、労働環境を改善するようにしましょう。
幅広い人材募集
建設業の人材不足を改善するためには、幅広い人材募集を行うことも1つの手段です。
建設業では若い男性従業員を求める傾向にありますが、外国人や女性を募集することで新たな人材を確保できるようになります。
とくに外国人労働者は日本の技術に興味・関心を持っているため、将来的な後継者として働き続けてくれます。
ただし、外国人を採用するときは在留カードをチェックし、外国人雇用状況の届出を提出しなければなりません。
特定の人材のみに注目するのではなく、幅広い人材募集をおこなうことで課題解決へとつながるでしょう。
ITツール・システムの導入
建設業の作業効率や生産性を向上させるには、ITツール・システムの導入が必要です。
従来のやり方をいつまでも継続していると、従業員の負担が大きくなる原因になってしまいます。
例えば業務管理ツールを導入すれば、進行中のプロジェクトを管理しながら現在の進行状況を把握できます。
また、スケジュール管理もできるため、クライアントからの要望に合わせて柔軟に対応可能です。
ただし、高齢者の従業員が多い環境では、ITツール・システムの導入はハードルが高くなります。
また、新しい取り組みをはじめるときは、導入するメリットや使い方について全体へ周知することが大切です。
建設業向け業務効率化システム「AnyOne」は、顧客管理をはじめ工事・施工管理、見積もり、入出金管理、アフター管理まで幅広く対応しています。
建設業ならではの課題解決へとつながるため、ぜひ導入を検討してください。
まとめ
今回は、建設業が終わってると言われる理由から将来性、課題解決の方法まで詳しく解説しました。
建設業は、少子高齢化による人手不足や労働環境の悪さ、教育指導体制の不足、デジタル化の遅れ、賃金の低さなどが終わっていると言われる理由です。
しかし、建設業は働き方改革法案の適用によって、環境は良い方向へと変わりつつあります。
社内の環境に変化を加えることで、従業員が働きやすい状態へとできるようになっていきます。
課題解決への取り組みとして、イメージアップ施策の実施や教育体制の構築、労働環境の改善、幅広い人材募集、ITツール・システムの導入などが必要です。
建設業として生き残るためにも、働く環境を変える施策をはじめるようにしましょう。
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