管理会計とは、自社の状況を把握するためにおこなう社内向けの会計です。
この記事では、管理会計の概要や混同しやすい財務会計との違い、導入によって得られるメリットなどについて解説します。
管理会計は義務ではありませんが、導入によって自社の業績管理がおこないやすくなるほか、コスト削減にもつながるなど多くのメリットがあります。
経営状況を把握したい経営者、業績管理を効率良くおこないたい現場の担当者は参考にしてください。
目次
管理会計とは
管理会計とは、経営計画や財務管理、予算策定などをするために作成するものです。主に経営者や部署の管理者などが自社、自部署の状況を把握し、コスト管理するために作成される社内向けの会計と考えてください。
企業は、お金の動きをできるだけ早く予測し、実行予算と実際のコストとの差異に対応する必要があります。そのため管理会計は丁寧さよりも素早い対応のほうが重要です。
手元にある注文書や納品書、工事日報といった資料を活用しながら、コストを削減につながる管理をおこなうことがポイントとなります。
ちなみに、コストの把握にあたっては多少の誤差があったとしても大きな問題ではありません。
財務会計との違い
管理会計と財務会計の一番の違いは、情報を誰に提示するかという点です。
管理会計は、社内向けの会計であるため、社外の人に提示することはありません。
財務会計は、株主や金融機関など自社の利害関係者が業績を把握するときに使用するため、社外の人も見ることとなります。
管理会計はデータの収集方法や作成時のフォーマット、記載方法などにルールはなく、自社で扱いやすい形で作成できます。期間にも定めがなく、週単位や月単位、年単位など任意で設定できます。
一方の財務会計は、金融商品取引法や会社法といった法律、会計基準などに基づいて算出されるものであるため、ルールの遵守は欠かせません。
そのほかにも、管理会計は現在のお金の動きを把握することを目的とするため、正確さよりも早さを重視します。しかし財務会計は公にするため、客観性と正確さを重視します。
このように、管理会計と財務関係は用途やルールなどにおいてさまざまな違いがあるため、間違えないように注意してください。
管理会計でおこなうこと
管理会計では、予算管理と原価管理をおこないます。
ここでは、それぞれの概要について解説します。
予算管理
予算管理とは、予算と実績を比較したうえで、コストの改善に取り組むことです。
予算を適切に管理することで、経営に活かしていく仕組みだと考えてください。ヒト・モノ・カネといった会社経営に欠かせない資源がどのくらい必要となるのかを把握できます。
また、予算と実績を比べて差異を把握することで、予算の達成度合いも確認可能です。もし予算と実績の差異が大きすぎるようなら、予算を計画する時点でなにかしらの間違いがあったと考えられるため、改善策を検討する必要があります。
予算には、主に年次予算・月次予算があります。多くの企業は、月次予算による管理を採用しています。
原価管理
原価管理とは、原材料費や人件費、設備費といった各種費用の原価を事前に把握し、コストを見える化することで、原価の改善を目指すことです。
原価管理をおこなうにあたっては、1つの工事でどのくらいの原価をかけるのか、目標値を設定する必要があります。
この目標値に対して、原価がどのくらいかかったのか差異を確認しながら適正価格を検討します。
管理会計導入のメリット
管理会計によって企業が得られるメリットはさまざまです。
ここでは、以下の4つのメリットをご紹介します。
業績管理をおこないやすい
管理会計を導入することで、部署ごとで掲げるべき目標設定が明確になるため、業績管理や評価をおこないやすくなります。
また、バックオフィスの管理もおこないやすくなるため、経営者は会社全体の状況を把握し、経営計画を立てやすくなるというメリットもあります。
経営判断に活用できる
管理会計の導入によって、部署別、現場別、担当者別など、さまざまな視点からお金の動きが把握できるほか、売上や経費、粗利などの管理もできるため、経営者は経営判断をしやすくなります。
また、新しいサービスの提供を開始する、事業強化のために人材を増やすといった施策を実施するときも、会計の状況に応じて適切なタイミングの検討が可能です。
従業員一人ひとりの経営感覚を養える
管理会計を導入すると、各部署の予算計画の達成度合いがはっきりと現れます。従業員一人ひとりが「自部署の予算計画はうまく進んでいるか」、「達成するためなにをすべきか」などと考えるようになるため、経営感覚を養うことが可能です。
また、たとえ予算と実績に差があったとしても「なぜ差が生まれたのか」、「結果を踏まえて次の目標はどうするか」を考えなければならないため、分析力や問題解決力を鍛えることもできます。
コスト削減につながる
管理会計によって目標を達成し利益を上げている部署や、逆に赤字を出している部署などが明確となります。余計なコストの発生源がわかり、コストカットも可能です。
会社の規模が大きくなると、部署の状況把握が難しくなりがちです。しかし、管理会計があれば経営者も状況を把握しやすくなります。
管理会計導入時の注意点
管理会計は、管理会計は法律などによってルールが定められているわけではなく、各社で定めたルールールで運営するため、チェック機能が働きません。導入にあたっては、自社内のチェック体制を整備しなければなりません。
管理会計の内容は経営陣が定期的にチェックするなど、客観的な視点が必要不可欠です。
また管理会計を導入すると、経理や会計業務の担当者の負担が増える可能性がある点にも注意が必要です。従来の業務に加え、管理会計作成のための情報収集や整理などが発生します。
より詳細な管理会計を作成しようとすると、やるべきことや作るべき書類も増えるため、さらに負担が大きくなるかもしれません。負担が大きくなると、従業員の不満が大きくなる可能性があるほか、別の業務に支障が生じるなどの弊害もあります。
経営者は管理会計導入にあたっては、担当者に負担がかかりすぎないようにし、サポートできる体制を整えることが大切です。
まとめ
今回は、管理会計の概要や財務会計との違い、管理会計によって得られるメリットなどについて解説しました。
管理会計は、自社、自部署の状況を把握し、コスト管理をするために作成される社内向けの会計です。財務会計のように社外の人に見せるものではないため、具体的なルールや期間の定めなどは特にありません。
必ず導入しなければならないものではありませんが、管理会計によって業績管理がしやすくなるほか、従業員に経営感覚が身につくなど、メリットはたくさんあります。
管理会計の負担を減らすためには、業務効率化ソフトの導入をおすすめします。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。
また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。