工事現場の工程管理を、ひとつの工程表で管理することは大変です。
月間工程表を用いると、より限られた期間の作業と日程を管理できます。
月間工程表を用いれば、より効率的な進捗管理ができるだけでなく、作業員も納期への意識が高まるでしょう。
この記事では、月間工程表の概要と目的、作り方、作成時に意識するポイントを解説します。
目次
工事月間工程表とは
工事現場で使用する月間工程表の概要を紹介します。
月間工程表は、工程表の種類のひとつです。
ここでは、工程表の種類を詳細に説明します。
工程表の種類
工程表は総称であり、4つの工程表で構成されています。
- 全体工程表
- 細部工程表
- 月間工程表
- 週間工程表
4つの工程管理表を作成することで、詳細かつ精度の高い工程管理ができます。
それぞれの役割を念頭に置いて、工程表を作成しましょう。
全体工程表
全体工程表とは、工事期間全体の概要を把握するための工程表です。
すべての工程・工事期間を総合的に記載し、すべての工程を一覧で見える化します。
「いつまでに何をすればいいか」がすべて書いてあり、工事期間全体の概要を共有する時に使用する工程表です。
細部工程表
細部工程表とは、工事の中の細かな工程について管理するための工程表です。
工事の中で重要な部分や、工程が多い部分に使用します。
月間工程表
月間工程表は、工程の中で1か月の工程だけを記載した工程表です。
工期が長い場合は月をまたぐため、総合工程表より細かな工程を把握する目的で作成します。
1種類の工程表での工程管理は見づらく、また進捗の把握もしづらいため、期間に応じて月間工程表を活用するといいでしょう。
工事期間が1年以上になる場合は、3か月工程表を作成する場合もあります。
週間工程表
週間工程表とは、月間工程表をさらに細かくしたものです。1週間の工程と工期を書き込み、いつ何の作業をおこなうかを明確にします。
総合・月間工程表では把握しきれない、細かい日付と工程を把握できる工程表です。
月間工程表を作る目的は生産性の向上
月間工程表を使用した工程管理は、生産性の向上に役立ちます。
工事月間工程表で得られるメリットを把握し、工程表作成してみましょう。
細かな工程の把握
月間工程表を作ると、細かな工程の把握に役立ちます。総合工程表は工事期間全体を把握できますが、細かな工程把握には適しません。
全体のゴールに対し、1か月の作業と日数を抜き出した月間工程表を作ると、詳細な工程管理ができるでしょう。
無駄な工数の削減
月間工程表で日次進捗管理をおこなうと、詳細な工事の進み具合を把握できます。
そのうえで、予定よりも早く終わる作業と、予定通りに進まない作業を見つけられるでしょう。
予定より進捗が良い作業は、なぜ早く終われたか要因を追求してみてください。
また、予定より進捗が遅れた作業については、問題点を分析しましょう。
分析の結果を次の工事に活かせば、自社の工期管理や作業効率の向上につながります。
徹底的な納期管理
請け負う工事の規模が大きくなるほど、工期は長期にわたります。納期が先になるほど「まだ余裕がある」と思ってしまい、作業への意識が低くなるものです。
大きなゴールに対して小さなゴールを作った方が、効率的かつ期限を意識しながら作業できます。
総合工程表で全体を把握し、月間の工程表や週間工程表を作っておくことで、作業する人員も納期への意識を持って作業に取り組めるでしょう。
月間工程表作成時に意識するポイント
月間工程表を作成する際は以下のポイントを意識しましょう。
なんとなく月間工程を作成しても、目的を達成できず工程表の効果を実感できません。
月間工程表を作成する際に管理・共有しやすくするためにも、作成段階から使い勝手を意識しましょう。
工事項目を統一
月間工程表を作成する際は、工事項目を統一して作りましょう。総合工程表を作成してから、月間工程表を作るようにしてください。
毎月違う項目を作成して、月間工程表を個別に作成すると、全体工程表との整合性が取りづらくなります。
工程表の項目は統一し、細かな作業項目と日程を記載してください。
違う項目の工程表をひとつひとつ作成すると、工程表の数が増えて管理が大変になってしまいます。
月間工程表は項目を統一し、管理しやすくしましょう。
日次で進捗管理
工程表を作って満足してしまうと、工程管理の意味がありません。月間工程表を作成したら、全体工程表と照らし合わせつつ、毎日工程の進捗をチェックしてください。
工程表を日次で確認し、進捗の遅れなどに対して調整を入れていくことで、徹底した納期管理ができます。
また、進捗状況に応じて改善策を考えていくことで、工期遅れなく予定通りに工事を終えられるでしょう。
オンライン共有
月間工程表を作る際は、オンライン共有ができるようにしましょう。
オンライン共有ができれば、現場に出ている現場監督や作業員が、モバイル端末でいつでも工程表をチェックできます。
本社で作成した工程表をメールなどで共有する方法もありますが、修正内容の共有に遅れが生じたり、メール自体を閲覧しなければ情報が伝わらないためです。
本日の作業のTODOリストとしても使えるため、作業工程の連絡も楽になるでしょう。
工程表をオンライン共有するためには、オンライン共有機能がある工程表作成ツールを使用してください。
月間工程表を作成する方法
月間工程表の作成方法は以下の2つです。
作業人員が少なく、工事規模が少ない場合、手書きで共有することもできますが、オンライン共有ができない点からおすすめできません。
建設現場の作業をより効率的にし、また工程管理を楽にするためにも、デジタル化を進めていきましょう。
エクセル
月間工程表はエクセルで作成できます。
バーチャートやガントチャートは、工事作業と日数を入力するだけのシンプルな表のため、エクセルでも十分に作業できるでしょう。また、システム導入をせず即日から工程管理ができることもメリットです。
ただし、エクセルはオンライン共有ができないのが難点といえます。
Googleスプレッドシートを用いればオンライン共有可能です。
しかし、工事工程表は横に長くなりがちなため、モバイル端末では閲覧しづらく使い勝手は悪いでしょう。
工事期間が短く、まずは手軽に工程管理を始めたい方は、エクセルテンプレートを使うと便利です。
「AnyONE」が提供している無料工程表エクセルテンプレートを使うと、手間なく工程表を作成できます。
エクセルでの工程表作成については、以下の記事で詳しく紹介しています。
工程管理ツール
月間工程表作成に最も適している方法は「工程管理ツール」です。
工程管理ツールとは、ワンクリックで簡単に工程表を作成できるソフトウェア・アプリ。総合工程表・細部工程表・月間工程表・週間工程表をひとつのシステムで作成できます。
休日や土日祝日の自動判定機能がついており、カレンダーの設定ミスなどもありません。
何より過去の工程表を簡単に参照できたり、また作業現場の資料などを同じクラウドうえで保管しているため、資料の参照も簡単です。
アプリ版を提供している工程管理ツールであれば、オンライン共有も簡単にできます。
導入にコストがかかる点はデメリットといえますが、工程管理を効率化し、工程表を簡単に作成したいなら工程管理ツールを導入しましょう。
月間工程表を作成できる工程管理ツール選びをしたい方は、以下の記事を参照してください。
まとめ
月間工程表は、総合工程表をさらに細分化させたもので、目先の予定を把握して進捗管理できます。
大きなゴールに対して、細かな日程を共有しておくと納期の意識を持ったまま作業を効率的に進められるでしょう。
面倒に感じるかもしれませんが、総合工程表だけでなく、月間工程表を活用すれば生産性も向上します。
月間工程表を作るには工程管理ツールの導入がおすすめですが、どのツールが良いか迷う方もいるでしょう。
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また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
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