新型コロナウイルスが経済にもたらした影響は大きく、赤字になった工務店も多いのではないでしょうか。赤字になれば会社存続だけでなく社員の生活にも影響を及ぼすため、いち早く黒字にする必要があります。
「コロナが収まれば、元通りの経営に戻る」と思っている経営者も多いですが、赤字になる原因は他にもあります。
今回は、工務店が赤字になる3つの原因と経営者が失敗する事例、赤字の脱却方法を紹介します。経営方法の見直してはいかがでしょうか。
目次
工務店が赤字経営に陥る原因とは
工務店が赤字経営に陥る原因にはさまざまあるものの、主な原因は以下の3つです。
ウッドショックによる原価高騰
木材の原価高騰によって住宅の建築費も向上し、購入者の間口が狭まる要因となっています。ウッドショックは、木材不足による原価高騰が原因です。しかし、大元をたどるとコロナウイルスによる下記3つが主な原因と考えられます。
- 製材会社の減少
- コンテナ不足
- アメリカの住宅バブル
製材会社の減少
カナダではマツクイムシの害虫被害によって原材料が減少しました。その結果40社以上の製材会社が倒産・廃業。さらに、新型コロナウイルスによって労働者も減ったため、製材できる人が少なくなったことがウッドショックを引き起こした原因とされています。
コンテナ不足
コロナ渦により世界各国でネットショップ需要が高まり、流通が圧迫されたうえにコンテナ不足が続きました。日本への木材を輸入できない状況が続き、国産の木材を使わなるを得ない状況となりました。
アメリカの住宅バブル
2021年に米国中央銀行の利上げが見込まれると同時に、アメリカや中国の建築ラッシュが始まりました。金利が低いうちにローンを借りて住宅を建てようと検討している方が増えたためです。
需要のバランスが崩れたことにより、日本への木材が運ばれなくなったことでウッドショックにつながりました。
金融機関の金利上昇
米国中央銀行は、2022年に利上げを発表しました。この発表により世界各国で金利の上昇が発生しています。
日本では低金利時代が続き、日本銀行が利上げの発表をしていないものの、時間の問題ともいわれています。
金利の上昇は工務店が借り入れているローン返済にも影響を及ぼします。毎月の返済額が高額となり、赤字に陥るかもしれません。
売上高の低迷
赤字になる原因として最も多いのが、売上高の低迷です。
原価が高騰することで住宅の価格も上がるため、購入者の立場としては、「建築時期を見直す」「相見積もりで安い工務店を探す」などで対処するでしょう。その結果、契約につながらず、売上高が低迷し、赤字となってしまいます。
工務店経営者が失敗する3つの例
工務店経営者の手腕一つで、黒字・赤字が左右されます。赤字にしてしまう経営者の失敗例は以下の3つが挙げられます。
集客や受注を優先している
集客や受注は売上金に直結するため、一概に悪いとはいえません。しかし売上を優先するあまり、社員へのノルマを設定し、従業員のモチベーションを低下させている経営者が少なくありません。
もちろん、ノルマの設定でモチベーションが上がる社員もいますが、若手人材に向いているかどうかは見極めが必要です。場合よっては、社員の離職や赤字につながるかもしれません。
他社の成功事例を参考にしている
どのビジネスにおいても成功事例を参考に、独自のビジネスモデルを構築することが一般的です。
しかし、成功事例を真似するだけで、オリジナリティのない工務店は赤字になる可能性が高いでしょう。他社の成功事例を真似するだけで成功できるなら、どの工務店も黒字になるためです。
資金を管理できていない
資金を管理できておらず、赤字となっている工務店も多いです。
売上高や営業利益は把握している工務店経営者はいても、販管費や経費まで把握している方は少ないでしょう。
費用を見直すことでも利益率を向上させられるため、費用の内訳を理解しておく必要があります。
赤字経営から脱却する方法とは
赤字経営から脱却するためには、支出の見直しや社員育成が必要です。4つの脱却方法を紹介します。
原価・利益率の明確化
原価と利益率を明らかにしましょう。
利益を上げるには原価を圧縮することが大切です。建材に関してはウッドショックの影響もあるため、簡単に圧縮することは難しいかもしれません。他の原価を圧縮できないか検討してみてください。
利益率は工務店によって異なりますが、平成28年の「住宅市場整備推進等事業工務店実態調査アンケート報告書」では、工務店の利益率は「5~10%」が最も多い結果となりました。
一方で、15%以上の利益率を維持できている工務店は34.8%。高い利益率で成功している工務店がいることも事実です。
現場の利益率を確認し、原価を抑えて赤字脱却につなげましょう。
社内目標の統一
社内目標を統一し、社員のモチベーションを向上させ、一丸となって達成を目指しましょう。
赤字の脱却には、社員の活躍が欠かせません。社員の気持ちを高めるためにも、目標達成後の報酬を設定することが望ましいです。具体的には「ボーナスなどの賞与設定」「社員旅行」などが挙げられます。
もちろん、利益を考慮して設定することが大切です。しかし社員のやる気を上げるために必要な経費でしょう。
販売管理費の見直し
販売管理費は、主に以下の費用が該当します。
- 給与手当
- 福利厚生費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 通信費
- 消耗品費用など
このうち給与手当は販売管理費のウエイトが大きいものの、社員への影響が大きいため安易に圧縮してはなりません。
販売管理費を圧縮する場合は、接待交際費や通信費、消耗品費用を削ることが望ましいです。
コロナ禍で接待の機会も減り、予算を圧縮している会社も多く見受けられます。また、ペーパーレス化が主流となりつつある現代では、コピー機の台数削減や、クラウド化による情報共有が増え、販売管理費を圧縮する工務店も多いです。
クラウドシステムの導入
総務省が発表した「令和2年度通信動向調査の結果」によると、7割近くの企業がクラウドサービスを採用しています。
建築業はクラウドとの相性も良く、見積もりシステムによる利益率の安定化や工事管理・施工管理のシステム化が可能です。
さらに、クラウドシステム化で見積もりの作成者や施工管理者などの人件費削減にもつながります。クラウドシステムは毎月費用が発生するものの、社員一人の給与と比べれば安価です。
作業効率だけでなく販売管理費も抑えられるため、クラウドシステムについてもっと知りたい方は「建設業向けのクラウドシステムとは」をご覧ください。
まとめ
今回、工務店が赤字になる原因と脱却方法を3つ紹介しました。
新型コロナウイルスによって赤字となった工務店も多いですが、金利の上昇も今後考えられるため、より厳しい状態にもなりかねません。
売上高が上がれば黒字に直結できますが、どの企業も試行錯誤しており、オリジナリティあるビジネスモデルを構築しています。
しかし、方法が定まっていないため、赤字を脱却するためには原価や利益率の見直す必要があるでしょう。
原価を減らし、利益率を高めるためには、クラウドシステム(業務効率化システム)の導入が効果的です。
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