太陽光発電パネルの発電効率が最も下がる季節は夏です。
施主のなかには夏の発電効率をネックと考え、設置をためらう方も多いでしょう。
工務店の営業担当の方は、夏の発電効率低下の原因や対策を理解し、施主に説明できるようにしておく必要があります。
この記事では、太陽光発電設備の設置で夏に得られる省エネ効果、夏の発電効率低下の概要と対策について解説します。
目次
太陽光発電設備の設置で夏に得られる効果は遮熱効果
太陽光発電設備の設置により、遮熱効果を得られます。
特に暑い夏は、遮熱効果を実感できるはずです。
夏に得られる太陽光発電設備による遮熱効果の概要を解説します。
屋根の過熱防止
夏に太陽光パネルを屋根に設置すると得られる効果は、屋根の加熱防止です。
屋根に直射日光があたると室温が上がり、冷房効率を下げます。
太陽光パネルが屋根にあたる太陽光を反射、または遮ると夏の室温が2〜5℃程度下がり、快適に過ごせるでしょう。
エアコン代の節約
太陽光パネルの設置により、エアコン代の節約も期待できます。
先述した遮熱効果により室温が下がり、冷房の設定温度を低くしなくて良くなるためです。
また、太陽光発電で発電した電力の自家利用が可能となるため、電気料金を低くする効果も期待できるでしょう。
「家庭でできる節電アクション|環境省」によると、エアコンの設定温度を1℃あげるだけで、約13%(約70w)の節電できます。
暑い夏でも太陽光パネルの設置により、省エネの実現が可能です。
夏は太陽光発電の発電量が低下
太陽光パネルの設置により、夏は遮熱効果が期待できるものの、発電量は低下します。
暑い夏は発電量が増えると思われがちですが、実は発電効率が下がりやすい季節です。
施主に説明しておきたい夏の発電量が下がる理由について解説します。
太陽光パネルの温度特性
夏の発電量が下がる理由として、太陽光パネルが熱に弱いことがあげられます。
上記は神奈川県小田原市に設置された、太陽光発電設備の通年発電量のグラフです。
春に比べて、夏の発電量は下がっていることがわかります。
夏は太陽光パネルの表面温度があがりやすく、発電量が下がる傾向にあります。
特に結晶シリコン素材で作られた太陽光パネルは熱に弱く、発電効率が下がりやすい点を施主に伝えておくべきでしょう。
気温による熱損失の影響
太陽光パネルの発電量は以下の計算式で算出できます。
太陽光パネルの性能に記載されている発電量は、気温25度での計測が統一基準です。
「エネチェンジ」によると、気温が1℃上昇すると-0.4〜0.5%の熱損失が発生すると発表されています。
夏は気温が25℃になる日が連日続くため、熱損失が大きくなる点も施主へ説明できるようにしておきましょう。
春に最も太陽光発電量が安定
国立研究開発法人 産業技術総合研究所「実環境における発電量」によると、1年を通じて太陽光発電量が最も安定している季節は春です。
春は日照時間が安定しやすく気温も低いため、熱損失が夏ほど発生しません。
夏は確かに発電効率は下がりますが、春は発電量も安定しやすいなど季節によって発電量の効率が変わる旨を施主に理解してもらいましょう。
熱損失が最も低い季節は冬
1年のうちで熱損失が最も少ない季節は、気温が低い冬となります。
冬は日照時間が短いものの、パネルの温度上昇が少ないため熱損失は最も低い季節です。
発電量は日照時間の関係で下がりますが、効率が著しく悪いわけではない点も施主へあわせて説明しましょう。
太陽光発電効率が下がりやすい夏への対策
施主のなかには、夏の発電効率低下を気にする方も多いでしょう。
夏の気温上昇への対策を取れば、発電効率の著しい低下を避けられます。
冒頭で解説した遮熱効果とあわせて、夏に太陽光発電効率をあげる対策方法も施主に説明してください。
パネルの清掃
太陽光発電効率を維持するため、パネルの清掃は欠かせません。
パネル表面が汚れていればパネル表面で受ける日光量が減るため、当然発電量が下がります。
夏に限らず定期的にパネルを清掃すれば、通年の発電量を維持できるでしょう。
一般住宅での太陽光パネルは高所に設置されることが多いため、施主自らの清掃は困難です。
定期的に専門業者へメンテナンスを依頼し、点検と清掃をおこなうように説明しましょう。
太陽光パネルの清掃を含めたメンテナンスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
日陰対策
太陽光パネルの発電効率をあげるため、日陰対策も欠かせません。
日陰があれば当然パネル表面にあたる日光の量が減り、発電量に影響があるためです。
具体的には、以下のような日陰対策が考えられます。
- 専門業者による設置角度のチェック
- 日陰に強いソーラーパネルの設置
太陽光発電設備を設置する前に業者と入念に打ち合わせし、なるべく日陰が干渉しないよう設置しましょう。
また、日陰に強いソーラーパネルの設置もおすすめします。
結晶シリコン素材のソーラーパネルは流通量が多く安価です。
ただし一部分に日陰ができると、パネル全体の発電量が大幅に下がるデメリットがあります。
CIS系太陽電池は日陰があっても、日があたっている部分でしっかり発電がおこなえる日陰に強い太陽光パネルです。
このように立地を検討し、パネル選びで太陽光発電効率を少しでも上げあげられます。
熱に強いパネルの使用
結晶シリコン素材で作られた太陽光パネルは、熱に弱い性質をもちます。
従来の太陽光パネルの弱点を補うために開発されたパネルが、アモルファスシリコンを用いた太陽光パネルです。
パナソニックによると、アモルファスシリコン製パネルは高音に耐える性質をもち、パネル表面温度があがっても従来製品より13%も発電量があがったと発表されています。
夏に気温があがりやすい地方での太陽光パネル設置の場合は、高温に強いパネルを選ぶことも大切です。
施主がパネル選びに迷っている場合は、パネル素材を提案してあげてください。
冷却システム
太陽光発電パネルの表目温度を下げる、冷却システムの導入もおすすめです。
たとえば、屋根にスプリンクラーを設置し、パネル表面温度を下げて発電効率を維持できます。
専門業者への設置依頼が必要となりますが、適切な量の水を散布し発電効率の維持が期待できるでしょう。
直接ホースなどで水を撒くと、以下のリスクが考えられます。
- 日光反射の分散による発電効率低下
- 感電リスク
上記のリスクは、必ず専門業者と相談するよう施主に伝えましょう。
太陽光発電による感電リスクについては、以下の記事で解説しています。
まとめ
太陽光発電は夏にはコスパが下がってしまうと思っている施主は多いようです。
しかし、夏は太陽光発電効率が下がるものの、パネルによる遮熱効果で省エネ効果も期待できます。
適切なパネル選びや日陰対策、必要であれば冷却システムの導入で夏の太陽光発電効率をあげられます。
そのためには工務店側としても、施主の不安に寄り添える太陽光発電設置業者を選定する必要があるでしょう。
「どのような太陽光発電設置業者と提携すれば良いかわからない」、とお悩みの工務店担当の方もいるはずです。
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