施工管理を行うに当たって全体の進行の基盤となる工程表。
見やすい工程表を作成できるかどうかで現場管理の効率や正確さが変わります。
「見やすさ」にはさまざまな要素があり、デザイン面や盛り込む内容などの観点から作成のコツをつかむことが大切です。
今回は見やすい工程表が必要な理由をあげたうえで、工程表作成のコツと方法を解説します。
目次
施工管理に見やすい工程表が必要な理由
施工管理に見やすい工程表が必要な理由は主に3点です。
見やすい工程表の作成は現場管理において大切な部分を担うことを理解したうえで、作成に励みましょう。
工期に遅れを出さないため
見やすい工程表があると、現場関係者の役割や工期が明確になり、現場がスムーズに進みます。
また、作業員が他の工種の作業を理解できるため段取り良く調整でき効率をアップできます。
工種によっては、違う工種同士でも時間をずらせば同日に作業ができるものや同日に行ったほうが効率的に進む工事もあります。工程表で工種の兼ね合いを確認しましょう。
工程表が見やすければ作業員がより効率的な段取りに気付いて、事前に調整の提案をしてくれる場合もあります。
イレギュラー対応を適切に行うため
トラブルなどが生じてスケジュールや人員配置を調整しなければならないとき、見やすい工程表があれば、適切な修正をすることが可能です。
準備していても現場でイレギュラー事項が発生してしまうことはあります。
例えば、天災によるスケジュールのずれや発注物の不足、追加工事の発生などです。
レギュラー事項が発生した際は、工程表で全体を見て適切に調整し、工期に納めましょう。
人員や作業の全体スケジュールと進捗状況を把握できていれば、工程をずらせる部分・縮められる部分・人員を増やせる部分などが分かるため、協力業者と相談しすぐに対応できます。
協力業者では調整できない場合は予算を見て他の業者にお願いするという選択を取ることもできるでしょう。
また、予定の工程と実際の工程を比べてずれが生じた部分の原因解明を行うことで、次の現場でさらに有効なスケジュールを立てることに役立ちます。
お客様が準備をしやすくするため
工程表は施工現場の現場作業員だけのために作成するものではありません。
お客さまにも工事の計画を共有し現場で行われることを明確にすることで、安心して工事を任せてもらえます。
なお、騒音作業や塗装の臭いが発生する作業については、事前に工程表に注意書きを入れるとより不信感をなくすことができるでしょう。
また、施工する際にはお客さまにも準備があります。施工箇所や施工内容が分かることで、スペース確保や近隣住民への告知など準備を行いやすくなり、近隣住民からのクレームが減ります。
関係者全員にとって気持ちの良い現場とすることが工事をスムーズにするためには重要です。
見やすい工程表の特徴
見やすい工程表を作るためには、デザイン面や書き方などにコツがあります。
あくまで「誰が見ても見やすい」工程表にすることが目的であるため、凝ったデザインや専門的な用語を使えば良いわけではない点に注意しましょう。
全体スケジュールと詳細スケジュールを分けて作成
工程表は基本日単位で作業内容を記載しますが、現場で作業をしない関係者にとっては日単位の工程を把握する必要はありません。
特に、工期が長い一年を通してのプロジェクトであれば週単位や月単位で全体を把握したい場合があります。
現場作業用の日単位の工程表と別に広い範囲で確認できる工程表を用意しておきましょう。
エクセルの別タブに作成したり、単位を切り替えて表示ができるようにセルを設定しておくことがおすすめです。
内容を詰め込みすぎない
内容を詰め込みすぎないことも見やすい工程表を作るポイントです。
「工事場所」や「作業内容」ごとに項目を分けて作成すると内容が整理されてシンプルになるでしょう。
情報がシンプルに読み取れることで、「どの作業員がどのようなタスクを抱えているのか」や「施工箇所ごとの進捗状況はどのくらいなのか」を明確に把握できるようになります。
また、各項目の進捗を俯瞰的に把握できることにより、同時進行で行える作業内容が見えてくることもあり、更なる作業効率化につながります。
誰もが分かる表現に統一
先に述べたように、工程表を見る人は現場作業員だけではありません。
お客さまや建物の入居者も見ることがあります。
現場でのみ使うものであれば専門用語を使っても問題ありませんが、関係者全員が見るものであれば、誰もが分かる用語を使う必要があります。
見る人全員の立場に立って、認識のずれが生じないように表現したいことを分かりやすく記載しましょう。
普段何気なく使っている用語も専門用語かもしれないので注意が必要です。
見やすいデザインや仕様
工程表は、知りたい内容をすぐに確認できることが大切です。
そのため、内容を多く盛り込んだり、凝ったデザインにする必要はありません。
必要最低限の枠に必要事項を記載し、工種や施工段階によって色分けすると分かりやすくなることが多く、おすすめです。
また、「引き渡し前社内チェックの日」や「引渡し予定日」といった関係者共通で把握しておくべき事項は目立つデザインにしましょう。
簡単に見やすい工程表を作成する方法
先に述べたコツを押さえて工夫することで、エクセルで見やすい工程表を作成することができるでしょう。
しかし、時間単位の切り替えや休日情報の表示・非表示を設定するためには非常に手間がかかります。
また、デザイン面も考慮して作成すると思いのほか工数がかかってしまいます。
そのため、工程表作成に工務店向けの書類作成・管理システムを活用することも一つの手です。
例えば、AnyONEというシステムを使えば、テンプレートを利用して簡単に工程表の作成が行えます。
また、どこかの工程に遅れが生じた際にワンクリックで関連工程をずらせる機能があるため、スケジュールの変更に即座に対応することが可能です。
工程表以外の関連書類と紐付けもされているため、プロジェクトごとの書類の一括管理にも役立ちます。
まとめ
今回は見やすい工程表が必要な理由をあげたうえで、作成するコツや方法について解説しました。
工程表は、工事全体をスムーズに進めるための土台です。
作業員の作業効率を上げるだけでなく、イレギュラー事項に対応しやすくなり、お客さまからの信頼にもつながります。
関係者それぞれの立場に立って分かりやすい工程表の作成を目指しましょう。
また、工程表作成ツールを活用することで簡単に分かりやすい工程表を作成・更新できるため、使用を検討してみてはいかがでしょうか。
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