コロナウイルスの影響などにより、今注目を集めている住宅における換気システム。
実際にニーズとしても高まりを見せているため、今後施主への説明が必要となったり売り上げの重要な一要因となったりすることが考えられます。
今回は換気システムについて、なぜ今注目されているのかといった背景から換気システムの必要性、種類まで解説します。
目次
換気システムが“今“注目される理由
昨今、換気システムが注目を集めるようになった理由としては、コロナウイルスによって住宅での空気環境の質が重視されるようになったことがあげられます。
住宅の高気密化・高断熱化に伴い、そうした室内空気質への関心や対策といったものはコロナ以前より存在しますが、受注増加など明確なニーズとして明らかになったのはコロナ以降のことです。
ここでは換気システムが注目されるようになった背景と影響について解説します。
- 換気システムの必要性
- コロナ以降換気システムの受注が好調
換気システムの必要性
住宅に換気システムが求められるようになった背景としては、主に以下の2点があげられます。
- 住宅の高気密化・高断熱化による室内空気質の悪化
- コロナウイルスによる室内空気環境への関心の高まり
住宅の高気密化・高断熱化による室内空気質の悪化
室内空気質とは文字通り室内空気環境の質を表す言葉ですが、住宅の高気密化・高断熱化が進むにつれてこの室内空気質の悪化が問題となっています。
住宅の高気密化や高断熱化は省エネやヒートショックの防止につながるなど優れた住宅の進化である一方で、空気を逃がさないという性質上、室内空気質を悪化させるリスクを伴います。
室内空気質の汚染はシックハウス症候群や喘息のリスクを高めるため、2003年の建築基準法改正によって現在はすべての住宅へ24時間換気システムを導入することが義務づけられています。
このように住宅の高気密化・高断熱化により、コロナ以前からも住宅に換気システムを導入することは求められています。
コロナウイルスによる室内空気環境への関心の高まり
住宅の高気密化・高断熱化に伴って近年換気システムが求められていたことは事実ですが、実際に室内空気環境に対する人々の関心が高まったのはコロナ以降といえるでしょう。
コロナ以前に室内空気環境が重視される傾向はありませんでしたが、コロナ以降は多くの人が空気への関心を高めたり換気を実施したりするようになったことがわかっています。
ダイキン工業株式会社が全国の20代~60代の男女1,000人を対象に2020年に行った空気感調査によると、63.3%の人が「空気が以前よりも重要になった」と回答しており、また78.8%の人が「住宅で換気を行っている」と回答しています。
このようにコロナ以降は、法律上の義務だけでなく市場のニーズとして換気システムが求められています。
コロナ以降換気システムの受注が好調
人々から住宅における換気システムの導入が求められた結果として、コロナ以降は換気システムの受注・売り上げが好調となっていることがわかっています。
積水ハウス株式会社が提供する換気・空気清浄システム「スマートイクス」はコロナ以降月間の販売目標を大きく上回る受注がなされており、また同社換気システム搭載住宅の受注も2020年3月に前年同月比1.7倍に増えたといいます。
他にも積水化学工業株式会社の「快適エアリー」や三菱地所ホーム株式会社の「エアロテック」、三井ホーム株式会社の「スマートブリーズ」など、多くの換気システム・換気システム搭載住宅で同様に受注増加が見られました。
【参考】ニュースイッチ 住宅の換気システムが好調。「コロナ需要」を取り込めるか
このようにコロナ以降、実際に売り上げに大きな影響が出るほど住宅における換気システムのニーズは高まっています。
換気システムの種類
住宅における換気システムの種類としては、大きく分けて以下の2つがあげられます。
- 自然換気
- 機械換気
自然換気
自然換気とは、窓などを開けることで自然に給気・排気を行う方法です。
空気圧や温度差によって換気を行い、一般的に機械換気よりも換気量が大きいといわれています。
給気・排気できる空気の通り道を作ることが重要であり窓を2カ所開けると効率的ですが、この際窓に高低差があるとより効果的に換気を行えます。
「暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下に行く」という性質を利用し、床付近の低い場所と天井付近の高い場所に換気用の窓を設置することで風が吹いていなくても空気の流れを作れるためです。
また窓を2カ所設置できない場合でも、扉を開けて家全体で換気を行うことで空気の流れを作れます。
自然換気を行う際は、以下のような建材・建具を用いることで効率的に行うことが可能です。
- 上げ下げ窓・たてすべり出し窓
風を多く取り込める窓を採用することで換気量をアップ。たてすべり出し窓を活用した場合、通常の引違い窓と比べて換気量が22倍になるとの結果も。
【参考】YKK AP株式会社 ウィンドキャッチ連窓 - 採風ドア・採風シャッター
通風口・換気口など採風ができるドアやシャッターを用いることで、防犯やプライバシーを確保しながら換気が可能。通常のドアを採風ドアに変えることで換気量が6倍になるとの結果も。
【参考】YKK AP株式会社 自然換気を、窓で。 - 換気スリット付きサッシ
窓サッシに換気スリットを取り付けることで、窓を閉めたまま換気が可能。 - 窓・ドアのストッパー
通常の窓やドアであっても、ストッパーを用いて防犯に気を付けながら換気が可能。 - ルーバー付きドア・ランマ付きドア・デコマド
プライバシーを確保しながら住宅内での換気が可能。
機械換気
機械換気とはファンなどを使うことで機械的に給気・排気を行う方法で、さらに以下の3種類に分けられます。
- 第一種換気
給気・排気ともに機械によって換気する方法。
どちらも機械で行うためイニシャルコストやランニングコストが高くなる一方、最も安定的に空気の換気・管理が可能。 - 第二種換気
給気を機械で行い、排気を自然に行う方法。
室内の気圧が外部より高くなるため外気の侵入を防ぐことができるものの、建築物の気密性が低い場合は結露の発生により家を傷めるリスクがあるため一般的に住宅では用いられない。 - 第三種換気
給気を自然に行い、排気を機械で行う方法。
第一種換気よりもコストを抑えられる一方、住宅の気密性が低い場合は想定外の隙間から外気が侵入し室温や室内空気質に影響を及ぼす可能性がある。
これらのうち住宅で最も一般的に用いられるものはコストのかからない第三種換気ですが、給気の際に熱損失を抑えられるほかフィルタリングによって取り入れる空気を綺麗にできる第一種換気も今後需要が高まる可能性があるといえるでしょう。
(※第一種換気がコロナ対策となりうるかどうかについては、導入する個別の換気システムの確認が必要です。)
まとめ
今回は住宅における換気システムについて、なぜ今注目されているのかといった背景から換気システムの必要性、また換気システムの種類まで解説しました。
換気システムをしっかりと理解しておくことで、機械的な換気システムを導入して機械換気を行う提案をしたり、自然換気を行いやすい設計の住宅を提案したりすることができるようになるでしょう。
そのためには取り扱う建材や提供できる設計について十分に把握しておくことが重要となりますが、工務店向けのソフトウェアを導入することでそういった管理が簡単に行えるようになります。
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