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次世代ZEH+実証事業とは?事業内容から申請の流れまで解説!

省エネや環境政策の主軸の1つとして推進されているZEH支援事業ですが、ZEH支援事業の中でも特に先進的な取り組みである「次世代ZEH+実証事業」を知っていますか?

ZEH自体が先進的な住宅の形ですが、次世代ZEH+はZEHよりもさらにエネルギー面や環境面から見て高性能な住宅といえます。

今回はそんな次世代ZEH+の普及を目指す取り組みである次世代ZEH+実証事業について、事業の背景から目的、内容や利用条件、そして申請の流れとスケジュールまで解説します。

次世代ZEH+実証事業とは

次世代ZEH+実証事業とは

次世代ZEH+実証事業とは、省エネや再エネの強化によって需給一体型を目指したZEHである次世代ZEH+を新築、購入または改修した個人を対象に補助金を交付する事業です。

ZEH関連の支援、推進は環境省・経済産業省・国土交通省の3省連携で行われていますが、次世代ZEH+実証事業は経済産業省主導のもとで実施されています。

詳しくは後ほど「次世代ZEH+実証事業の事業内容と利用条件」で解説しますが、次世代ZEH+は従来の住宅よりも省エネ性能が高いZEHの中でも高性能なZEH+に、さらに再エネなどの性能を加えた住宅です。

このためZEH支援事業の中では要件も厳しい事業ですが、その分補助額も大きくなっています。

まずは次世代ZEH+実証事業が始まった背景とその目的・目標について解説します。

次世代ZEH+実証事業とは
  • 事業の背景
  • 事業の目的と目標

事業の背景

次世代ZEH+実証事業をはじめとしたZEH支援事業の背景には、国が進める以下2つの目標があります。

次世代ZEH+実証事業の背景
  • 2030年までに新築住宅の平均でZEH実現
  • 2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す

ZEHとは「Net Zero Energy House」の略で、断熱性能などの向上や高効率な設備システム、再生可能エネルギーの導入などによって一年間のエネルギー消費量が概ねゼロ以下となる住宅のことです。

ZEHは断熱性や省エネに優れるため導入が推進されており、「地球温暖化対策計画(2016年)」および「第5次エネルギー基本計画(2018年)」において「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という政策目標が設定されています。

「2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」という政策目標も同時に掲げられています。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素排出量を削減して「人の活動から発生する二酸化炭素」と「森林などによって吸収される二酸化炭素」の量をプラスマイナスゼロにすることです。

これらの目標のもと環境省・経済産業省・国土交通省の3省を中心にZEH支援事業をはじめさまざまな政策・事業が行われていますが、経済産業省が「住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業」のうちの一事業として実施しているのが次世代ZEH+実証事業です。

ZEH支援は3省がそれぞれ役割を持って取り組んでいます。
中でも次世代ZEH+は「将来のさらなる普及に向けて供給を促進すべきZEH」とされており、このため次世代ZEH+実証事業は「省エネルギー投資促進事業」の中の「実証事業」という位置づけとなっています。

このように次世代ZEH+実証事業は、地球温暖化対策やエネルギー・環境保全といった背景に留まらず将来への投資という側面を持つ積極的な事業といえます。

事業の目的と目標

経済産業省資源エネルギー庁は、次世代ZEH+実証事業を含む住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業の目的を以下のように設定しています。

大幅な省エネ実現と再エネの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅・ビルのネット・ゼロ・エネルギー化を中心に、民生部門の省エネ投資を促進します。

【引用】資源エネルギー庁 令和3年度予算案の概要 省エネルギー課関係

次世代ZEH+実証事業の観点からすると、要するに(補助金を通して)住宅の次世代ZEH+化を中心とした省エネ投資を促進するということです。

また成果目標としては以下のように設定しています。

・令和3年度から令和7年度までの5年間の事業であり、令和12年度省エネ見通し(5,030万kl削減)達成に寄与します。

・令和12年度までに新築住宅の平均でZEHの実現と新築建築物の平均でZEBの実現を目指します。

【引用】資源エネルギー庁 令和3年度予算案の概要 省エネルギー課関係

次世代ZEH+実証事業を含む住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業では、国が掲げる省エネ政策目標の「2030年度までの5,030万㎘エネルギー消費量削減」に寄与することを目標の1つとしています。

また先ほど「事業の背景」でお話した「2030年までに新築住宅の平均でZEH実現」も目標としています。

これらの高度な目的・目標からも、次世代ZEH+実証事業が積極的・先進的な取り組みの主軸とされていることが見て取れるでしょう。

5,030万㎘は、「家庭部門全体のエネルギー消費量」や「日本全体の50日間のエネルギー消費量」、または「東京都、埼玉県、神奈川県合計での1年間のエネルギー消費量」に相当します。

【参考】経済産業省資源エネルギー庁 ビジネス拡大につながる徹底した国の省エネルギー政策

次世代ZEH+実証事業の事業内容と利用条件

次世代ZEH+実証事業の事業内容と利用条件

次世代ZEH+実証事業では、次世代ZEH+の新築、購入または改修をZEHビルダー/プランナーの関与のもとで行った個人に対して1戸あたり105万円の補助金が交付されます。

また定額の補助金に加えて、蓄電システムをはじめとした再エネに寄与する機器の導入に対して追加補助があります。

次世代ZEH+実証事業について理解を深めるため、補助対象者と補助対象住宅について詳しく見ていきましょう。

ZEHビルダー/プランナーとは、一定以上のZEH普及目標を掲げその実現に努めているSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)登録の事業者を指します。

補助対象者

次世代ZEH+実証事業の補助対象者は、以下3つのうちいずれかが該当する個人です。

次世代ZEH+実証事業の補助対象者
  • 新築戸建住宅の建築主
  • 新築戸建建売住宅の購入予定者
  • 既存戸建住宅の所有者(居住者に限る)

【参考】SII 令和3年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業

なお補助申請者もこれらの者が該当しますが、ZEHビルダー/プランナーなどの第三者による代行申請が可能であり一般的です。

補助対象住宅

次世代ZEH+実証事業における補助対象住宅および補助額は以下の通りです。

次世代ZEH+実証事業の補助対象住宅

「ZEH+」または「Nearly ZEH+」に以下のいずれか1つ以上を導入

  • 蓄電システム(定置型)
    2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額
  • 燃料電池
    2万円
  • V2H充電設備(充放電設備)
    補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低い額
  • 太陽熱利用温水システム
    【液体式】1戸あたり17万円 【空気式】1戸あたり60万円

【参考】SII 令和3年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業

ZEH+とは、以下の表に定義されるような省エネ、創エネ性能を強化したZEHを指します。

次世代ZEH+実証事業における申請の流れとスケジュール

次世代ZEH+実証事業における申請の流れとスケジュール

最後に次世代ZEH+実証事業における申請の流れとスケジュールを確認しておきましょう。

申請の流れ

次世代ZEH+実証事業における申請の流れは以下の通りです。

次世代ZEH+実証事業における申請の流れ
  1. 交付申請
    必要書類(郵送)をもとに申請者からSIIへ交付申請
    SIIによる審査を通過した場合交付決定
  2. 事業遂行
    交付決定番号を得た後に事業に着手
    取得したBELS評価書の写し提出などの中間報告
    事業および支払い完了
  3. 完了実績報告
    申請者からSIIへ完了実績報告書を提出
    SIIによる確定検査、補助金支払い
  4. 定期報告アンケート
    補助事業終了後から2年間、6カ月ごとに定期報告アンケートへ回答

【参考】SII 令和3年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業

SIIとは、次世代ZEH+実証事業を執行している「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」のことです。

スケジュール

次世代ZEH+実証事業には「新築戸建注文住宅および既存住宅の改修」「新築戸建建売住宅」「TPOモデルを活用するもの」の3項目に分けて公募がありますが、いずれも先着順で行われます

また公募スケジュールは以下の通り三次公募まで用意されていますが、一次公募終了後予算に達しなかった場合に二次公募を実施し、三次公募の実施に関しては一次、二次公募の申請状況に鑑みて決定するとしています。

次世代ZEH+実証事業のスケジュール
  • 一次公募:5/17~8/20、事業期間1/21まで、完了実績報告1/28〆
  • 二次公募:8/27~11/19、事業期間2/3まで、完了実績報告2/10〆
  • 三次公募:11/29~1/7、事業期間2/10まで、完了実績報告2/17〆

【参考】SII 令和3年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業

まとめ

今回は次世代ZEH+実証事業について、その背景から目的や目標、内容と利用条件、そして申請の流れとスケジュールまで解説しました。

次世代ZEH+実証事業はZEH支援事業の中でも特に先進的で積極的な取り組みといえますが、現在ZEHの普及が推進されているようにZEH普及が実現した後は次世代ZEH+が平均的な住宅の形として求められる可能性も考えられます。

今から次世代ZEH+までカバーしておくことで、今後建築業界の中で一歩先を歩くことができるでしょう。

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