V2H機器の導入を検討している施主から、設置場所の相談を受けて困った経験がある工務店担当の方も多いでしょう。
明確な規定はありませんが、充電ケーブルや分電盤との位置、さらに浸水の被害を受けない場所に設置しなければなりません。
この記事では、V2Hの設置におすすめの場所を4箇所、設置しない方が良い場所について解説します。
目次
V2Hの設置場所に規定はない
V2H機器の設置場所に、特別な規定や制限はありません。
V2H機器自体は防水加工が施されているため、特に設置箇所は制限されていないためです。
しかし、実際にV2H機器の利用を考えると、雨天時でも充電ができなければなりません。
また漏電などの事故を防ぐためにも、設置箇所は検討する必要があります。
V2Hの設置におすすめの場所4選
V2H設置におすすめの場所を4つ紹介します。
施主がV2H機器の導入を検討しており、おすすめの場所を聞かれた場合に提案できるよう、工務店側も知識をつけましょう。
V2Hの配線工事・機器設置スペースがある場所
V2H機器の設置スペースはもちろん、配線工事ができる空間も必要となります。
V2H機器を設置するスペースは、1平方メートル以上の空間が必要です。
また、分電盤への配線工事も同時におこなう必要があるため、作業スペースも確保しなければなりません。
屋根の下
原則としてV2H機器は、屋根の下に置くと良いでしょう。
V2H機器自体は防水加工されていますが、濡れた手で充電ケーブルに触れた場合は感電事故にもつながります。
また、漏電のリスクもあるため、雨の日でも安心して利用できるように屋根の下に設置しましょう。
基盤の高い場所
台風や水害で浸水した場合にV2H機器が水浸しにならないよう、基盤の高い場所へ設置しましょう。
万が一V2H機器に浸水すると、漏電や感電リスクがあります。
人体へ強い電流が流れ込んだ場合は生命の危険もあるため、水害を考えて基盤を高くしてから設置するケースが多いです。
この場合はV2Hの設置費用のほかに基盤工事費用がかかるため、費用面や補助金についても併せて提案しましょう。
V2H機器の補助金については、以下の記事でまとめています。
V2H対応車種に給電しやすい場所
V2H機器を設置すべき場所は、原則V2H対応車種に給電しやすい場所にしましょう。
V2H機器メーカーによっては、分電盤からの距離が設定されているケースもあります。
給電口が遠いとV2H自体が利用しづらいため、駐車スペースごとに給電しやすい場所を選ぶよう施主と検討してください。
1台のみ駐車している場合
自宅に一台の電気自動車のみ駐車している場合は、後部座席側にV2H機器を設置すると良いでしょう。
給電ケーブルが届く位置であれば、どこでも構いません。
乗降の邪魔にならない場所へ、V2H機器を設置してください。
この位置であれば電気自動車を乗り換えた場合でも、V2H本体の移動が必要ありません。
縦列で2台駐車している場合
2台の自動車を縦列駐車している場合は、以下の2箇所の選択肢があります。
- 2台の自動車の間(十分なスペースがある場合)
- 奥側に駐車している車の後方
左右のスペースがあまりない場合は、奥側の自動車の後方に設置するとスペースを確保し、また給電の際にも便利です。
ただし、充電ケーブルが手前に駐車している車の給電口に届きづらい可能性があります。
その場合は、充電の際に車を移動させる必要がある点に注意してください。
反対に左右のスペースが広く空いていれば、2台の自動車の間にV2Hを設置すると、給電口が双方の自動車に近くなり、車の移動をせずに充電ができます。
並列で2台駐車している場合
2台の自動車を並列駐車している場合は、双方の自動車の後方にV2H機器を設置してください。
2台の車の真ん中あたりに機器を設置しておけば、双方の充電口にケーブルが届くため、充電に支障が出づらいです。
V2Hを設置しない方が良い場所
V2H機器は設置箇所の制限はありませんが、設置しない方が良い場所があります。
上記5つの場所にV2H機器を設置した場合、充電や給電の際に非常に使い勝手が悪い可能性があるため、注意してください。
施主から相談があった際は、実際に現場を見ながら設置箇所を検討すると良いでしょう。
V2H機器のケーブル長を超える場所
自宅の分電盤からの距離がV2H機器のケーブル長を超える場所には、V2H機器は設置できません。
分電盤は一般的にブレーカーと呼ばれ、自宅内の電力の制御装置です。
たとえばV2H機器の最大手メーカー「ニチコン」の機器のケーブルは最長50mであるため、それ以上の距離があるとV2Hの仕組みを活用できません。
また機器によっては30mなどさらにケーブルの長さが短い場合もあるため、自宅の分電盤と機器のケーブル長を計測したうえで、設置箇所を検討しましょう。
電気自動車から7.5m以上離れた場所
電気自動車から7.5m以上離れた場所にも、V2H機器は設置しないようにしましょう。
充電ケーブルの長さは7.5mのものが多く、それ以上離れた箇所では自動車の充電ができません。
日頃電気自動車を通勤などに使う際に充電ができないと、日常的な仕様に不便が生じます。
電気自動車の充電に支障がないように、充電ケーブルの長さも検討しましょう。
浸水被害の可能性がある場所
V2H機器は浸水被害の可能性がある箇所には、設置しないでください。
V2H機器自体は防水加工が施されていますが、浸水によって漏電・感電事故が起きるリスクがあるためです。
水はけの悪い箇所や、一段高さが低い場所などは水が溜まりやすくV2H機器の設置には向いていません。
施主の自宅にV2H機器を設置する際は、水はけや浸水被害のリスクを考えて設置箇所を提案しましょう。
塩害地域
塩害地域もV2H機器の設置には向いていない場所です。
海岸から200〜500以内の場所は「重塩害地域」、海岸から2km以内の場所を「塩害地域」と呼びます。
またこの距離の規定は、地域によって異なるケースもあるため、施主の自宅付近の自治体に確認すると良いでしょう。
塩分濃度の高い塩水の流入、潮風によってV2H機器が腐食するなどの被害を受ける可能性があるためです。
せっかV2H機器を設置しても、塩害で故障するかもしれません。
太陽光発電設備も、塩害地域では腐食リスクがあるといわれています。
潮風があたりづらい場所に設置するなど、塩害地域の場合は対策が必要です。
またメーカーによっては、塩害対策が施されたV2H機器や太陽光発電設備があります。
施主の自宅が塩害地域の場合は、塩害対策を考えて設置箇所を検討してください。
メンテナンススペースがない場所
V2H機器のメンテナンスをおこなうスペースがない場合も、設置箇所の再考が必要です。
保守点検に必要なスペースは一般的に、幅160cm、奥行き90cmが必要だといわれています。
上記に満たないスペースしかない場合は、保守点検ができず、機器の劣化メンテナンスや点検ができません。
設置前にV2H機器のメンテナンススペースが確保できるかどうかも、しっかり確認しておきましょう。
まとめ
V2H設置場所に規定はありませんが、設置に適した場所とそうでない場所があります。
施主の自宅周辺環境を検討したうえで、適切な設置場所を提案しましょう。
またV2H機器の設置場所は、浸水などの影響を受けない屋根の下、そして給電口の近くに設置してください。
基盤が高い場所を選ぶなど、工夫も必要です。
施主が太陽光発電設備の設置も検討している場合、基盤工事や設置工事で費用が高額になる点がネックとなります。
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