エクステリアは満足のいく家づくりのためには欠かせない要素ですが、初めてマイホームを購入する方の多くがエクステリアまでじっくり考えている余裕がないことが多いです。
しかし、家づくりのプロとしてエクステリアを疎かにする訳にはできません。
本記事では、エクステリアの概要やデザイン方法、エクステリア検討のポイントについて解説します。
施主にエクステリアの重要性を説明する自信のない方は、ご一読ください。
目次
エクステリアとは?
はじめに、エクステリアの概要など下記2つを解説します。
エクステリアの概要
エクステリアとは、外壁や屋外工作物、庭などの建物の外観全体を指す言葉です。
ソファや椅子・テーブルなどを表すインテリアの対義語として使われています。
外溝との違い
「エクステリア」と同様に使われる言葉として「外構」がありますが、2つの言葉には違いがあります。
外構とは、フェンスや塀など屋外工作物を指す言葉として使われます。
外構がいくつも集まった空間をエクステリアと呼ぶことが多いです。
つまり、エクステリアはいくつのも外構で構成されている空間ともいえるでしょう。
エクステリアの構成物
主なエクステリアの構成物として、下記5つ紹介します。
門扉・門柱
門扉(もんぴ)とは出入口に設ける門の扉のことで、敷地外と敷地内を分ける役目があります。
開閉方法には下記の3種類があり、デザインだけでなく門扉に使用できるスペースを考慮して決めなければなりません。
- 片開き:前後に開けるスペースが必要
- 両開き:前後に開けるスペースが必要
- スライド:横に引き込むスペースが必要
門柱(もんちゅう)とは、玄関先に設ける独立した壁状の構造物のことです。
ポスト・インターホン・表を取り付け、門扉と同様に敷地外と敷地内を分け防犯の役割も担います。
フェンス
フェンスとは、柵や囲いのことです。
敷地外からの目線を切りプライバシーを守る役目や、敷地外から簡単に敷地内へ侵入させないといった防犯の役割があります。
フェンスの高さや形状は、デザインだけでなく防犯の観点からも重要です。
プロとして施主にアドバイスをおこなう場合は「防犯の観点から家がどのように見えるのか」といった視点を交えると、信頼を得られるでしょう。
フェンスの素材は主に下記の4種類です。
- アルミ
- アルミ鋳造
- アルミと樹脂の組み合わせ
- 木製
素材選びは、家のデザインとの調和を考えフェンスだけを見て選ぶことは避けましょう。
アプローチ
アプローチとは、門扉から玄関までの通路のことをいいます。
アプローチの主な素材は下記の5つです。
- コンクリート
- タイル
- レンガ
- インターブロッキング
- 自然石
機能面から考えると、コンクリートなど雑草の生えない素材を選んだ方が手入れが簡単でランニングコストも掛かりません。
しかし施主の中には、アプローチの周りに「花壇を用意する」「木を植える」などを植栽を楽しみたい方もいます。
施主がこれから建てる家でどのようなことをおこないたいのかを、ヒアリングしたうえでの提案を心がけましょう。
デッキ・テラス
デッキとテラスはどちらもリビングとつながった、外部リビングのようなイメージです。
リビングの床高さと同じ高さの場合とデッキと呼び、木製のデッキをウッドデッキといいます。
天然木のウッドデッキはデザイン面から人気がありますが、メンテナンスに手間と費用が掛かり、怠ると変色などが発生しやすい点には注意が必要です。
ウッドデッキのデメリットが気になる場合は、風合いは天然木より劣りますがメンテナンスフリーの人工木を提案してはいかがでしょうか。
リビングの床高さより一段低く、外部の地盤面より高い場合がテラスと呼びます。
レンガやタイルで作ることが一般的です。
カーポート
カーポートとは、屋根と柱だけで構成された車庫のことです。
カーポートの仕様は下記の要素を考慮のうえで、施主に提案しましょう。
- 車の台数
- 車の大きさ
- 積雪量
- 防火・準防火地域に該当するか
- 道路への接し方
エクステリアのデザイン方法
先述したように、エクステリアの構成物は多種多様です。
エクステリアの方向性を決めずに、構成物を選んでしまうと全体の調和が取れずチグハグな印象になる恐れがあるため注意しましょう。
失敗を避ける方法として、エクステリアデザインを先に決定してから構成物を選ぶ方法がおすすめです。
エクステリアデザインの方法下記3つ紹介します。
- オープンデザイン
- クローズデザイン
- セミオープンデザイン
オープンデザイン
オープンデザインとは、門扉やフェンス、塀で建物を囲まないデザインのことをいいます。
建物を囲まないため、開放感を持たせられることがメリットです。
特徴は表札や郵便受け・インターホンを大きくせず、より開放感を演出することにあります。
都会のような、敷地が狭く庭が広くない場所におすすめです。
囲う物がないため、立ち入り防止などの防犯面やプライバシー保護の面で対策が必要となります。
クローズデザイン
クローズデザインとは、オープンデザインとは対照的に建物を門扉やフェンス、塀で囲むデザインのことをいいます。
建物を囲うデザインのため前面道路など敷地外からの視線を遮ることが可能で、プライバシーをしっかり保護できます。
敷地が広い場所におすすめのデザインです。
敷地が狭い場所でクローズデザインを採用すると、圧迫感を覚えやすいため注意しましょう。
また外からの視線を遮れるメリットはありますが「室内から外が見えづらいため敷地内に人が入ってきても気付きにくい」デメリットもあります。
クローズデザインを採用する場合は、監視カメラの設置など防犯面への対処も怠らないようにしましょう。
セミオープンデザイン
セミオープンデザインとは、オープンデザインとクローズデザインの特徴を併せ持ったデザインをいいます。
フェンスや塀は高さの低い物を設けて開放感を出す、駐車スペースに障害物を設置せずオープンにするなどデザインのバリエーションが幅広いです。
また外から見られたくない場所、例えば浴室には背の高い障害物を設置してクローズな空間を作るといった方法も考えられます。
エクステリア検討のポイント
エクステリアを検討する際のポイントは、下記3つです。
しっかりと理解し、プロとして施主にアドバイスできるようになりましょう。
将来を見据えた計画を立てる
エクステリアの計画は、現在だけでなく将来も考慮しておこないましょう。
一度家を建てると長期で住み続ける方がほとんどです。
長期で住んでいると「子供が生まれて家族が増える」「子供が独立する」など家庭環境も変化します。
将来を想定せずに計画を立てると、家庭環境に合わせて都度リフォームをおこなう必要が出てくるなど定期的に多額の費用が掛かってしまうかもしれません。
またデザインだけで計画を立てることも後悔してしまうポイントです。
建物は徐々に劣化していくため、快適に住み続けるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
計画段階でメンテナンスの費用や頻度、ランニングコストを考慮していないと思わぬ出費で家計が苦しくなってしまいます。
家づくりのプロとして理想のマイホームに住み続けてもらうために、将来を見越した計画を提案しましょう
防犯性を意識する
警察庁が公開している「令和2年度の犯罪情勢」によると、令和2年度の侵入犯罪認知件数は5.6万件で、1日あたりに直すと153件となり、被害に遭わなためには防犯対策は必須です。
侵入犯罪の定義は、警察庁のホームページをご確認ください。
特にクローズデザインは侵入者に気付きにくいため、防犯灯や監視カメラの設置など防犯面での対策を検討は重要です。
周囲の環境に配慮する
周囲の環境に配慮してエクステリアを決めましょう。
- 人通りの多さ
- 周りの家のデザイン
上記のような要素もデザインを決定するうえで重要です。
人通りの多い場所でオープンデザインを採用するとプライバシーが守られづらくなります。
希望しているデザインが周囲の環境に適合するのかは、しっかりと検討して施主が後悔しない家づくりの提案をおこないましょう。
まとめ
本記事では、エクステリアについて解説しました。
初めてマイホームを建てる方は、インテリアを考えるだけで頭がいっぱいになってしまい、エクステリアまで頭が回らないことが多いです。
後悔のない家づくりのためには、インテリアのだけでなくエクステリアも重要な要素となります。
本記事の内容を参考にして、家づくりのプロとして施主に対し、エクステリアの重要性やデザイン方法、検討のポイントを説明できるようになってください。
また堅実に売上や利益を残すためには施主から信頼されることも大切ですが、業務の効率化をおこなうことも重要です。
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