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工事現場の撮影は電子小黒板がおすすめ!その詳細を徹底解説!

電子小黒板は、工事現場を撮影する際に使用する手書きの小黒板を電子化したもので、撮影の省力化など、業務効率化のツールとして期待されています。
本記事では、電子小黒板の基本知識からその仕組みまで解説します。

電子小黒板とは

電子小黒板とは

建設業界では、工事現場の写真を撮る際、補足情報が書き込まれた小黒板と一緒に撮影します。

この小黒板を電子化したものが「電子小黒板」です。

電子小黒板は扱いも簡単で、従来の小黒板より作業時間が大幅に短縮できるため、注目されている技術です。

現在、国技建管第10号(平成29年1月30日)(改訂版:国技建管第21号令和3年3月26日)により電子小黒板が国土交通省から周知され、ほとんどの公共機関で使えるようになりました。

建設現場の工事写真は、年々撮影件数が増加傾向にあり、撮影者の手間も増えている現状があります。

電子小黒板を導入することで工数などを削減し、業務効率化を図ることが期待されています。

電子小黒板の詳細を説明する前に、建設現場で必要な小黒板とは実際どういうものか、下記に注目して詳しく説明します。

工事用小黒板の詳細
  • 従来の小黒板
  • 小黒板が必要な理由

従来の小黒板

電子小黒板が誕生する前は、手で持てるサイズの木製小黒板を使用していました。

この小黒板に、工事名や図、撮影する工事現場の詳細をチョークで書き込み使用します。
撮影する現場が複数あれば、それぞれに合わせて内容を書きかえなければなりません。

撮影時は、一人が小黒板を持ち、もう一人が撮影するなどして写真に写りこませます。
小黒板を置くなどして一人で撮影する場合もありますが、手動でおこなう作業のため手間がかかります。

また、撮影はデジタルカメラなどを使用しているため、会社のパソコンにデータを取り込み、フォルダに保存するアナログな作業も必要となっていました。

小黒板が必要な理由

工事用の小黒板は、写真だけではわからない情報を補足説明する重要な役割があります。建設会社により記載する情報は異なりますが、下記のような項目があります。

  • 工事名
  • 撮影日
  • 撮影箇所
  • 施工者
  • 立会者
  • 設計寸法
  • 実測寸法
  • 略図

上記のほかに必要事項があれば記載します。
手書きの小黒板の場合は、誰もが読めるように丁寧な字ではっきりと記載することが求められます。

電子小黒板のメリット

電子小黒板のメリット

建設業界は、労働力の慢性的な不足や、2024年に施行される働き方改革関連法の改正に合わせ、業務を効率化しなければならない、という課題があります。

建設業界の働き方改革に関しては、下記の記事を参考にしてください。

電子小黒板を利用することは、これらの問題を解決する手段になることが期待されます。どのようなメリットがあるのかを下記3点に注目して説明します。

電子小黒板のメリット
  • 撮影の省力化
  • 黒板作成が簡単
  • 写真の整理と管理を効率化

撮影の省力化

電子小黒板を利用すれば、撮影の省力化を期待できます。

従来の小黒板を使用すると、作成したものを誰かが持って一緒に写真に写りこむ場合があり、工数がかかります。
また、小黒板をチョークなどの道具と一緒に持ち運ぶうえ、工事箇所は平地とは限りません。
高所など危険な場所もあり、天候に左右される心配もあります。

このような工事現場で作業する従業員の労力、撮影にかかる時間や手間は、電子小黒板の利用で解決できるはずです。

黒板作成が簡単

従来の小黒板は、記載が手書きのため作成に時間がかかりますが、電子小黒板なら簡単です。

例えば、撮影場所が変わっても黒板内容を全て新しくする必要はなく、以前使用したものを一部書きかえるだけで使用可能です。
毎回記載略することが大変な略図なども、以前のものを登録しておけば、再利用できます。

「文字の癖が強くて読みにくい」といった手書き特有の問題も解消できます。
このように、今まで手書きで膨大な時間をかけていた黒板作成が、電子小黒板を使うと時間を短縮化できます。

写真の整理と管理を効率化

従来の小黒板は、デジカメなどで撮影しているため、パソコンにデータを取り込み、フォルダの整理や管理を手作業でおこなわなければなりませんでした。

しかし、電子小黒板なら撮影後、工種などの種類別に自動保存してくれる機能があるため、フォルダが自動的に整理されて便利です。

また、電子小黒板の内容は、台帳に自動転記もされるため、台帳管理も楽です。

工事写真は、数があればあるほど整理と管理に時間がかかってしまいます。

しかし、電子小黒板を利用することで、作業効率化につながります。

電子小黒板の信憑性確認(改ざん検知機能)

電子小黒板の信憑性確認(改ざん検知機能)

電子小黒板の場合は、従来の小黒板を利用した撮影方法と違い、後からデータを書きかえられる恐れがあります。

もし、撮影後に情報を入れ込む、消去するなど修正を加えると、写真に信憑性がなくなります。

そこで、国土交通省は電子小黒板に対し、信憑性確認(改ざん検知機能)を搭載することを義務づけています。
以下では、信憑性確認(改ざん検知機能)について説明します。

信憑性確認(改ざん検知機能)
  • 信憑性確認(改ざん検知機能)の仕組み
  • 信憑性確認(改ざん検知機能)検定

信憑性確認(改ざん検知機能)の仕組み

改ざんを検知する方式はさまざまですが、ここではJ-COMSIA(一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会)のExifを用いた改ざん検知の方法を簡単に説明します。

まず、工事現場を専用の端末やアプリを用いて撮影すると、写真はJPEG画像として保存されます。
このとき、撮影した画像にはExif(Exif:Exchangeable image file format)という写真のサイズや撮影日時、位置情報などの詳細が記録されます。

電子小黒板が作られ、工事写真に合成された日は、Exifの撮影日時と同じです。
つまり、電子小黒板が工事写真上に合成されるときは、撮影と全く同時であり、あとから手を加えて改ざんされていないことの証明となります。

電子小黒板の改ざん検知機能は、撮影したファイル画像とExifを「ハッシュ値」という数値にし、暗号化をおこない、Exifに追記します。
このハッシュ値は編集できません。

画像が改ざんされていないかチェックする際は、J-COMSIAの検知方式に対応可能なソフトウェアなどで暗号化したハッシュ値を読み取り、画像やExifと比較します。
ハッシュ値が同じなら画像の信頼性を担保し、異なれば改ざんの可能性を疑われます。

信憑性確認(改ざん検知機能)検定

国土交通省は、信憑性確認(改ざん検知機能)について、「電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC暗号リスト)」に記載している技術を用いることとしています。

この技術を利用して、信憑性確認(改ざん検知機能)を持つソフトウェアやアプリを作成したことが証明されたものを使用することを推奨します。

J-COMSIA(一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会)では、「電子小黒板のソフトウェア・アプリが信憑性確認(改ざん検知機能)を確実に実行できるか」の検定をおこなっています。この協会は、国土交通省が提唱する建設DXなど、建設分野の情報通信技術を支援する団体です。

電子小黒板を導入する場合は、このような検定に合格しているソフトウェアやアプリを選ぶことをおすすめします。

建設DXについては、下記の記事を参考にしてください。

電子小黒板対応機器とアプリ

電子小黒板を利用するためには、専用端末・アプリのどちらかが必要となります。自社の工事現場の環境などから使いやすいほうを選んでください。

双方の特徴について解説します。

専用端末とアプリ
  • 電子小黒板の専用端末
  • 電子小黒板用のアプリ

電子小黒板の専用端末

電子小黒板の専用端末は、工事写真用に機能が最適化されています。
ハードウェアと内蔵されるアプリが同じ会社のため、性能や仕様が全て電子小黒板のために統一されています。
このため、操作性に優れています。

特別な設定も不要で、メーカーからのサポートも受けやすく安心です。
専用端末は、メールなどの外部アクセス機能が限定されている分、情報漏洩の危険が少ないため、セキュリティ面でも優れています。

電子小黒板用のアプリ

アプリの場合は、スマホなどにダウンロードして利用できるため汎用性は高く、専用端末を購入するなどの経費が抑えられる点が大きなメリットです。
複数のアプリを無料体験版などで試してみることも簡単にでき、専用機器でないため、他の種類のアプリもダウンロードして利用することができます。

まとめ

電子小黒板は、従来の小黒板における業務効率の悪さを解決するツールです。

従来の小黒板は、チョークで手書きするため、写真を撮るたびに内容を書き直さなければなりません。

その点、電子小黒板なら履歴から一部を修正するだけで使用でき、利便性は高いです。
わざわざ誰かに小黒板を持ってもらい撮影する必要もなく、危険な高所に設置する必要もありません。工数削減や従業員の安全性確保にもつながります。

電子小黒板は、デジタル管理のため、改ざん防止の機能が重要となります。
電子小黒板のソフトウェアやアプリを導入する場合は、信憑性確認(改ざん検知機能)検定をクリアしているなど国土交通省が通知している機能を備えているか確認することをおすすめします。

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