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建設業界に働き方改革が必要な理由!改善すべき労働環境と対策

近年、建設業界は働き方改革が求められるようになりました。

長時間労働など建設業界が抱える問題を改善すべく、政府主体で改革プログラムが提案され、法律も整備され始めました。

工務店などの建設企業は、2024年に始まる「働き方改革関連法」施行までに、自社の業務を見直さなければなりません。

本記事では、働き方改革が必要な背景と対策について解説します。

本記事は下記のような方におすすめです
  • 働き方改革について知りたい
  • 働き方改革が建設業に与える影響を知りたい
  • 働き方改革の対策を

建設業界の労働環境

建設業界の労働環境

建設業界に努めると体力勝負、休みを取れないなど、労働環境の過酷なイメージが少なくありません。

働き方改革が必要だといわれる代表的な理由は下記4つです。

働き方改革が必要な理由
  • 人手不足
  • 長時間労働
  • 離職率が高い
  • 賃金水準が低い

人手不足

少子高齢化社会の中、建設業界は深刻な人手不足に陥っています。

一般社団法人「日本建設業連合会」の調査によると55歳以上の就業者は約36%に上り、29歳以下の若手は約16.7%しかいないのが現状です。

年々増える高齢層の就業者に比べ、若手は減少の一途をたどり、ここ数年はほぼ横ばい状態です。

年齢層の高い順に引退すると全体の就業者数減少に加え、建設に関する専門的な技術継承が難しくなると懸念されています。

長時間労働

建設業界において、特に問題視されていることは長時間労働です。

他産業に比べると建設業界の方が労働時間は長く、しかもここ10年のうちに改善傾向が見られない点も課題として挙げられます。

出勤日数も他産業と比べると多いため、週休2日すら取れないケースもあるでしょう。

この長時間労働が、 建設業界で働こうとする若手減少の一因と考えられます。

離職率が高い

建設業界が働き方改革を求められる理由の一つとして、離職率の高さもあげられます。

下記「建設業(技術者制度)をとりまく現状 – 国土交通省」のグラフを見ると、特に高卒1年目の離職率は約42.5%と、他産業に比べて高い傾向があります。
せっかく新しい人材を確保しても、長く定着しない現状があります。

【引用】建設業(技術者制度)をとりまく現状 – 国土交通省

賃金水準が低い

建設業界の給与水準は、年々上昇しています。

しかし生産労働者(建設現場などで作業する労働者)の水準は変わらず低い傾向です。

また、生産労働者の賃金は40代半ばでピークを迎えることもあり、それ以降上がらないという問題もあります。

現場で仕事をおこなう労働者になると、体力のピークが40代中頃になり、賃金のピークと連動すると考えられるでしょう。

建設業働き方改革加速化プログラム

建設業働き方改革加速化プログラム

建設業界は人々の生活に必須の産業です。

国土交通省は、 建設業界すべての企業に向け「建設業働き方改革加速化プログラム」を作成しました。

この内容は、下記の3つのカテゴリーに分けた政策となっています。

建設業働き方改革加速化プログラムのカテゴリー
  • 長時間労働の是正
  • 給与・社会保険
  • 生産性向上

長時間労働の是正

長時間労働を是正し、週休2日を労働者が取れるようにする政策です。

建設業界は、長期にわたって建設投資が減少し、価格競争や過剰な受注によるダンピング(商品の投売り)が始まったことで、長時間労働などの問題が深刻化したといわれています。

そのため、適切な工期を設定し、受注者と発注者の協力を得る取り組みを重要視するようになりました。

これについて国土交通省は、「適正な工期設定等のためのガイドライン」を改訂し、指針を示しています。

給与・社会保険

建設業界で働く労働者の技能・経験に相当する給与が実現できるようにする取り組みです。

技能者のキャリアや資格などをシステムに登録・蓄積し、すべての技能者の加入を推進します。

また、社会保険加入の徹底にも取り組んでいます。

下請け会社まで社会保険の加入を必須とし、建設業界の労働環境を整えようとするものです。

社会保険に加入しない 建設企業には、 建設業としての許可・更新をしないというペナルティも科せられます。

生産性向上

労働時間の改善をする場合、生産性の向上は必須です。

国土交通省は、生産性を上げるため、「ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)」を使うことを推奨しています。

また、生産性向上について積極的な企業を表彰する「i-Construction」の推進も盛り込まれました。

業務効率化のために、「申請手続きの電子化」や「IoT(Internet of Things)」などの新技術導入も具体案とされています。

働き方改革関連法(改正労働基準法)

働き方改革関連法(改正労働基準法)

働き方改革を確実に促進するために、厚生労働省は2019年から順次、働き方改革関連法(改正労働基準法)を施行しています。

この法律には、残業時間の上限が設けられるなど罰則規定が存在します。

建設業界は、2024年4月1日から法律が適用されるため、工務店など 建設に関係する企業は内容を理解し準備しなければなりません。

それでは、働き方改革関連法の内容を下記に注目し、説明します。

働き方改革関連法の内容
  • 残業時間の上限
  • 年次有給休暇の確実な取得
  • フレックスタイム制
  • 労働時間の管理

残業時間の上限

国土交通省の政策にもある通り、 建設業界の労働時間は改善すべき問題です。

厚生労働省は、残業時間(時間外労働)に上限を定め、超過すると罰則規定を設定しました。

これまでは36協定があれば、残業に実質上限がありませんでした。

法律改正後は、月45時間以内で、年360時間の残業時間を原則超えることはできません。
特別な事情があって、労使合意の場合でも残業は年720時間以内でなければならないなど制限があります。

もしこの上限を超えて就労させると罰則規定があります。

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになるため、労働時間はしっかり管理すべきでしょう。

年次有給休暇の確実な取得

年10日以上の年次有給休暇を付与する労働者に対して、年5日取得させることが義務となります。

また、有給を取らせた記録は管理簿を作成し、3年間は保存しなければなりません。

確実に有給を取得させなかった企業は、30万円以下の罰金があるため、気を付けなければなりません。

フレックスタイム制

フレックスタイム制の導入は、仕事と家庭との両立ができると期待されています。

フレックスタイム制の利点は、時間外労働をした場合、別の日に早く帰るなど労働時間を調整することができる点です。

法改正前では、フレックスタイム制の清算期間が1か月までとされていましたが、法改正後は3か月に延長されます。

フレックスタイム制を導入するにあたり、「就業規則等への規定」「労使協定で所定の事項を定めること」というルールがあるため、企業はこれらをクリアすることが求められます。

労働時間の管理

労働時間が制限されるということは、労働者の状態を会社側はきちんと把握することを求められます。

労働時間の状況は、タイムカードやPCでの記録など客観的に確認できる方法でなければなりません。
この記録は3年間保存する必要があります。

建設業界がおこなうべき働き方改革への対策

建設業界がおこなうべき働き方改革への対策

2024年4月1日の法律施行まで、 建設業界は規模を問わず働き方改革を求められます。

工務店などのビルダーをはじめ、さまざまな 建設企業が、今までアナログだった業務を見直さなければなりません。

業務を効率化させるため、特にIT化に注目して対策を提案します。

業務効率化への対策
  • 工務店向けのシステムを導入
  • 勤怠をシステムで管理
  • アプリで建設後のアフター管理

工務店向けのシステムを導入

工務店などの企業でIT化を進めていない場合は、システム導入を検討してみるといいでしょう。

従来のアナログな業務、例えば紙資料の扱いがほとんどで、会社に行かないと業務確認ができない場合は特にシステムの導入をおすすめします。

デジタル管理ができれば、どこにいても資料を確認できます。

担当者に聞かないとわからないこともシステムで管理すれば、会社全体で情報共有が可能になり、業務効率化を図れます。

【2024年最新】工事管理・業務効率化システム13社比較!分類別のおすすめも
複雑な作業工程の管理

勤怠をシステムで管理

勤怠管理システムは、企業向けに多数あります。

残業時間や有給日数などを自動計算してくれるため大変便利です。

「労働時間の管理」の項目で勤怠の管理義務が会社側に求められると説明しました。

しかし労働時間短縮の必要があるのに勤怠管理に時間をかけては元も子もありません。

業務効率化のためにシステム導入をおすすめします。

アプリで建設後のアフター管理

工務店は、引き渡し後も入居者のアフター管理を求められる場合があります。

住宅は、数年・数十年後に傷んだ箇所を直す必要があるため、この管理にアプリを使うのがおすすめです。

入居者も住宅に問題が起きた場合、アプリを入れておけば、どこに問い合わせたらよいか迷わずに済みます。

工務店側も、修繕工事の時期などをシステム上で確認できるでしょう。

アラーム機能がついているアプリなら、うっかり忘れ防止にも役立ちます。

顧客一人一人に合わせてその都度確認する手間がなくなるため、労働時間削減につながります。

まとめ

建設業界は住宅建設工事やインフラ整備など生活になくてはならない業界です。
しかし、労働時間が長いことや休みの少なさ、低賃金など多くの問題を抱えているのも事実です。

国もこの問題を重要視しており、国策として「建設業働き方改革加速化プログラム」や「働き方改革関連法(改正労働基準法)」などが制定されました。

建設に携わる企業は2024年4月1日からが本格的に法律が施行されるため、今から働き方改革を進める必要があります。

建設業界の業務効率化は必須であり、システムの導入などIT化を検討することをおすすめします。

読者の中には、おすすめのシステムが知りたいと考える方もいるでしょう。

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エクセルのような操作感で、レイアウトもマウスで変更できるため、ITが苦手な方でも簡単にお使いいただけます。

また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。

大手・中堅企業様から一人親方様まで規模感を問わず、業務状況に合わせて様々な場面でご利用いただけます。

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  • 顧客管理
  • 工事・施工管理
  • 見積り・実行予算・発注管理
  • 入出金管理
  • アフター管理

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