V2H機器とは電気自動車の電流を、家庭で使用する際に使う機械です。
停電対策や電気料金の節約で注目されていますが、まだ新しい仕組みのため工務店担当者の方にも知識がなく、施主からの質問に答えられない場合があるでしょう。
そこで本記事では、V2H機器の概要や主要メーカーについて、機器の選び方や価格を抑える方法について解説します。
目次
V2H機器とは
V2H機器の概要と主要メーカーについて解説します。
施主からV2H機器の問い合わせがあったらスムーズに回答できるよう、知識をつけておきましょう。
EVバッテリーを利用した電力確保方法
V2Hとは電気自動車に搭載されているバッテリーを、家庭用電源として使用するためのシステムです。
通常は電気自動車の電流を、家庭用にそのまま使用することはできません。
しかしV2H機器を用いて電流を変換すると、家庭で電気自動車に蓄電したエネルギーを、家庭で使用できます。
V2H機器の主要メーカー3社
V2H機器の主要メーカーを3社紹介します。
現在日本でV2H機器を取り扱っている有名メーカーはこの3社です。
それぞれどのような製品を販売しているか解説します。
ニチコン
ニチコンは世界で初めてV2Hシステムを開発し、2012年に市場導入した企業です。
高機能かつ比較的安価なV2H機器を販売するなど、V2H市場では大きなシェアを獲得しています。
スタンダードモデルとプレミアムモデルと2つのランクの製品があり、価格帯を分けているため、予算に合わせて製品を選びやすいです。
ニチコンのスタンダードモデルは希望小売価格498,000円(税抜)からと、安価な製品の品揃えが豊富です。
またプレミアムモデルは85万円以上の費用がかかりますが、全負荷型かつ200V対応で、一軒家の電力を丸ごと賄える程のエネルギー供給が可能です。
他社に比べて取り扱い製品が圧倒的に多く、選択肢が広いため施主におすすめしやすいでしょう。
東光高岳
東光高岳は電力流通システムを開発している電気機器メーカーです。
東京電力パワーグリッドの関連会社であり、特に急速充電器分野の開発に長けた企業です。
急速充電器の技術を生かして作られた製品が「SmanecoV2H」という製品。
価格は825,000円(税込)とやや高価ですが、停電時3,000Wの高出力が可能など、非常用電源として注目されています。
デンソー
デンソーはニチコンのOEMとして、V2Hシステムを販売しています。
性能はニチコンと同等であり、信頼して使用できるV2H機器を購入可能です。
デンソーで現在取り扱っているV2H機器は「DNEVC-D6075」という製品で、簡単な施工と小型のサイズが人気。
価格はオープン価格で、110万円から販売されています。
V2HとEV充電器の違い
混同しやすいV2HとEV充電器の違いにも触れておきます。
V2Hは電流の変換で、家庭用と電気自動車の電力を相互に活用する仕組みです。
一方でEV充電器は太陽光発電で発電したエネルギーを、電気自動車へ充電するための機器。
太陽光発電で発電したエネルギーを無駄なく使用する目的で、導入されます。
V2H機器は相互に電流を使用できるよう変換しますが、EV充電器は家庭から自動車への充電を目的としています。
「V2Hシステム導入次にEV充電器が必須か」という質問は多いですが、必須ではありません。
家庭用V2H機器の選び方
家庭用V2H機器の選び方を説明します。
V2H機器選びに迷う施主は多いため、工務店側でも知識をつけたうえで、製品選択のサポートをしましょう。
V2H機器の価格
V2H機器の価格相場は、50万円程度から100万円以上のものまで幅広いです。
リーディングカンパニーであるニチコン製品は価格帯が広く、スタンダードモデルの製品であれば498,000円(希望小売価格)から購入できます。
販売店によっては割引をおこなっているケースがあるため、40万円程度から手に入る場合もあります。
別途設置費用が必要
V2H機器の設置には機器の購入価格に加えて、設置工事費用が必要です。
設置工事費用は30〜40万円が相場となっているため、80〜130万円程度の予算を用意しておかなければなりません。
V2H機器の設置費用目安や利用できる補助金については、以下の記事で解説しています。
V2H機器のサイズ
V2H機器を選ぶ際は、サイズにも注目しましょう。
大きなサイズのV2H機器を選ぶと設置場所がなかったり、外での作業時に邪魔となります。
V2Hは駐車場に設置しますが、駐車時に邪魔になる場合があるため、設置場所に合わせてサイズを選びましょう。
停電時における電力供給の種類
V2Hは停電時の電力供給種類が2種あります。
- 全負荷型
- 特定負荷型
全負荷型とは停電時にすべての部屋や家電に電力を供給するシステムで、バッテリー容量内であれば停電でもすべての家電を使用できます。
一方で電力消費が激しいため、停電時に蓄電したエネルギーが早くなくなってしまう点に注意しましょう。
特定負荷型とは優先する家電の供給先を限定し、一部の部屋や家電のみに電力を供給する仕組みです。
一部の回路に限定して電力供給するため、電力を節約しながら使えます。
ただし回路が限定されるため、使用する家電が限られます。
停電時の電力供給方法も検討したうえで、V2H機器を選ぶように施主に伝えてください。
メーカー保証期間・内容
V2H機器にはそれぞれ、メーカー保証期間が設けられています。
メーカー保証期間中は定められた充電可能容量を下回った場合は、無償修理や交換が可能です。
例えばニチコンの「EVパワー・ステーション® スタンダードモデル」の場合、保証期間は2年間。
万が一メーカー保証充電容量50%を切った場合は、無償で修理や交換できます。
V2H機器は高額であるため、保証期間やサポートがついているか確認して選びましょう。
系統連系か非系統連系か
V2H機器の電力供給方法は、系統連系と非系統連系の2種類です。
系統連系は電気自動車、電力会社、太陽光発電で作られたエネルギーを3つ同時に利用できます。
すべてのエネルギーを効率的に使えるため、主流となっている給電方法です。
非系統連系は上記3つを同時に利用できず、どれかひとつしか利用できません。
また停電時に太陽光発電のエネルギーを電気自動車へ供給できないなどのデメリットがあります。
停電時に全ての部屋で家電を動かしたいのか、節約しながら使いたいかを聞き取りしたうえで、V2H機器をおすすめしましょう。
操作パネル
V2H機器の操作パネル設置場所を、しっかりチェックしましょう。
通常は操作パネルを使うことはありませんが、停電時に切り替え操作で使用します。
操作パネルの設置場所は製品ごとに異なり、V2H機器本体についている場合や家の中にモニターを設置できる場合があります。
屋外にパネルがある場合、自然災害発生時に外に出てパネルを操作する必要があるため、操作時に事故に遭うリスクがあるでしょう。
パネルの設置場所はどこが良いかを考えたうえで、V2H機器を選ぶようアドバイスしてください。
太陽光との連携可否
V2H機器と太陽光発電が連携できるかも確認したうえで、V2H機器を選びましょう。
現時点ではV2Hのみの導入を考えている施主でも、後ほど太陽光発電の導入を検討する可能性があります。
その際に連携不可の機器を購入した場合は、再度V2H機器を買い直さなければなりません。
太陽光発電とV2H機器の併用は電気代の節約メリットを最大化できるため、併用を視野に入れて連携可能な機器を選びましょう。
V2Hと太陽光発電の併用メリットは、以下の記事で詳しく説明しています。
V2H機器の購入価格を抑える方法
V2H機器本体の購入価格は安いもので50万円程度から、高価なものは100万円以上と高価です。
施主の負担を軽くするために、V2H機器の購入価格を抑える2つの方法を覚えておきましょう。
上記2つの方法を使えば、施主の費用負担を軽減してV2Hを導入できます。
工務店の営業担当側でアドバイスできるよう、概要を理解しておいてください。
補助金の利用
V2H機器の購入には、補助金が使えます。
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金を利用すれば、V2H機器の購入価格を上限75万円までの1/2、設置工事費用を40万円まで全額補助してもらえます。
また、太陽光発電設備の導入や電気自動車購入についても補助金制度が利用できるため、あわせて活用しましょう。
リースでの導入
予算面でV2H機器の購入が難しい施主には、リースをおすすめしましょう。
V2H機器や太陽光発電設備を購入すると、数百万円単位の予算が必要ですが、リースなら初期費用を抑えて導入できます。
例えば「Solacoe」の太陽光リースは初期費用0円で始められ、簡易型V2Hを無料で設置可能です。
施主の初期費用負担を大きく抑える効果があるため、選択肢として提案してみましょう。
まとめ
V2H機器は電気自動車を家庭で使用する際に必須の、電流変換システムです。
停電対策や電気の有効活用、電力料金の節約に大きな効果があります。
しかし、V2H機器はまだ新しいシステムのため機器選びが難しく、高額な費用がネックとなって購入に踏み出せない施主が多いはずです。
そのような時は工務店の営業担当が、V2H機器の選び方や安価に導入する方法をアドバイスしてあげてください。
特におすすめの方法が、初期費用0円のリースでの導入です。
どのリース業者を使って良いかわからないという工務店の方には、「Solacoe」をおすすめします。
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