建設国保は、組合員の保険料と国からの補助金で運営されています。
建設業に従事している方の中には、建設国保に加入している方も多いです。
一人親方などの個人事業主として働いている方の中には、建設国保に対して以下のような疑問を抱いているのではないでしょうか。
- 国民健康保険との違いを知りたい
- 建設国保の保険料を知りたい
- 建設国保のメリット・デメリットを知りたい
本記事では、建設国保の仕組みや保障内容、加入するメリット・デメリットについて解説します。
本記事を一読すれば、建設国保の基礎的な知識が身に付きます。
建設国保の加入に迷われている方は、最後まで読んでください。
目次
建設国保とは
建設国保とは、正式名称を「全国建設工事事業国民健康保険組合」といい、主に下記のような建設工事に従事する方のため1970年6月に設立された国保組合です。
- 大工
- とび
- 土木
- 造園
- 左官
- 板金
など
はじめに建設国保について理解するため、下記の4つについて解説します。
建設国保の仕組み
建設国保の運営は、組合員(被保険者)の保険料と国からの補助金で賄われています。
2024年2月時点での被保険者数は、下記の通りです。
組合員 | 55,700人 | |
家族 | 61,011 人 | |
合計 | 116,711 人 |
加入資格
建設国保の加入者は、従業員が5人未満の個人事業主と従業員です。
従業員が5人未満であっても株式会社などの法人事務所、常時5人以上を従業員を雇用している個人事務所は、建設国保に加入できません。
上記に該当する場合は、健康保険と厚生年金への加入が義務付けられています。
ただし、すでに建設国保に加入している方が法人事務所の設立や従業員を5人以上雇用した場合は、「健康保険適用除外」の承認を受けると引き続き建設国保への加入が可能です。
保険適用除外は、会社設立や5人目の雇用した日から14日以内に日本年金機構で手続きをおこないます。
申請の際には「建設国保理事長の証明」が必要となるため、最寄りの支部や出張所までお問い合わせください。
建設国保の保険料
建設国保の保険料は下記の4項目によって決まります。
- 加入者本人の年齢(4月1日時点)
- 就業形態
- 建設国保に加入する家族の人数(本人・協会けんぽ加入者・後期高齢者などは除く)
- 本人と加入する家族の中で40から64歳(加入月の時点)の方の人数
保険料のシミュレーションは、建設国保が提供しているこちらのページで簡単におこなえます。
本記事では下記の条件で保険料をシミュレーションします。
- 30歳(C区分)
- 一人親方(第四種組合員)
- 0人
- 0人
上記の条件でシミュレーションした結果、月額の保険料は8,800円で、年間の保険料は105,600円でした。
保険料は加入者の状況によって大きく変わってきます。
加入を検討されている方は、紹介したページでシミュレーションしてみてください。
国民健康保険(市町村国保)との違い
建設国保は、職種・業種によって加入します。
一方で国民健康保険(市町村国保)との違いは、エリアによって加入します。
建設国保は住んでいる場所や働いている場所に関係なく、先述した建設業に従事している方であれば加入が可能です。
国民健康保険(市町村国保)は、市町村が窓口になるため、加入を希望する地域に住んでいなければ申し込みすらできません。
建設国保の保障内容
建設国保の代表的な保障内容を下記2つ解説します。
医者にかかる際は、保険証またはマイナンバーカードを提示すると、支払いの負担が軽減されます。
負担割合は下記の表を参照してください。
義務教育就学前 | 義務教育就学時~70歳未満 組合員・家族 | 70歳以上 | |
---|---|---|---|
負担割合 | 医療費の2割 | 医療費の3割 | 医療費の2割 ※現役並みの所得がある方は3割負担 |
高額療養費も建設健保で対応しています。
高額療養費とは、医療費の自己負担額が一定の額を超えると払い戻される制度です。
払い戻しの対象になった診療月から3か月後に、建設国保組合から申請書が送られてきます。
自己負担額の目安は建設国保のホームページをご確認ください。
建設国保のメリット
建設国保のメリットは下記の2つです。
収入によって保険料が変動しない
建設国保のメリットは収入によって保険料は変動しないことです。
先日したように建設国保の保険料は、下記の4項目で決定します。
- 加入者本人の年齢(4月1日時点)
- 就業形態
- 建設国保に加入する家族の人数(本人・協会けんぽ加入者・後期高齢者などは除く)
- 本人と加入する家族の中で40から64歳(加入月の時点)の方の人数
収入は保険料を決める要素ではないため、高収入の方であっても低い保険料で保障を受けられます。
借り入れができる
建設国保では借り入れもおこなえます。
出産費用と高額療養費の借り入れが可能です。
出産費用は出産前でも、実際にかかる費用の8割相当額まで無利子で貸付を受けられます。
また高額療養費についても、高額療養費支給見込み額の8割相当額まで無利子で借入が可能です。
建設国保のデメリット
建設国保のデメリットは、下記の2つです。
家族分の保険料も納めなければならない
建設健保は加入しているも家族の分も保険料を納めなければなりません。
独身の方であれば、1人分の保険料を納めるだけで良いので負担は重くなりません
しかし家族が多い方は、加入している家族の分だけ保険料を納める必要があるため、負担が重くなってしまいます。
建設加入する際は、保険料のシミュレーションをおこない国民健康保険とどちらが負担が少ないか確認しましょう。
従業員の負担が大きい
建設健保は従業員の負担が大きいです。
建設国保の保険料は、従業員の全額負担です。
事業主との保険料の按分(あんぶん)がないため、他者と同じ給料を支払っていても従業員から「手取りが少ない」と不満が出る可能性があります。
一方で事業主負担が小さいメリットもあるため、建設国保に加入する際はメリットとデメリットをしっかりと比較してください。
まとめ
本記事では、建設国保の仕組みや保障内容、加入するメリット・デメリットについて解説しました。
建設国保のメリットは、企業がうまくいっている高収入の方でも保険料が増えないことです。
※ただし家族構成などが変われば、保険料は変動します。
一方で建設国保のデメリットは、家族分の保険料も納めなければいけないこと、従業員の負担が大きくなるのです。
そのため加入の際には、あらゆる条件をもとにシミュレーションが必要です。
本記事を呼んで建設国保に興味を持たれた方は、最寄りの支部にお問い合わせください