総務省テレワークマネージャー相談事業とは、テレワーク推進の課題や不安に対して、アドバイスや支援をおこなうサービスです。
コロナ禍の影響により、建築現場でもテレワークの必要性や現場の省人化の必要性が高まっています。
しかし、建築業界は「テレワークは無理だ」と考える風潮があり、導入がうまく進んでいないのが現状です。
この記事では、総務省テレワークマネージャー相談事業の概要や、実際に建築業界から上がった相談とアドバイスの事例を紹介します。
目次
総務省テレワークマネージャー相談事業とは

総務省テレワークマネージャー相談事業とは、働き方の変化におけるテレワーク導入の支援をしてくれるサービスです。
専門家のノウハウを聞いたり、システム導入の相談などをおこなっています。
概要を以下の表にまとめました。
実施期間 | 2021年4月1日〜2022年3月中旬 |
費用 | 無料 |
支援方法 | WEB会議電話派遣訪問 |
支援上限回数 | なし ※派遣の場合は1企業3回まで |
支援上限時間 | 1回あたり6時間まで |
対象企業 | 民間企業(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・特定非営利活動法人) 都道府県・市町村などの地方公共団体およびそれに準じる法人 |
無料でテレワーク導入の相談・アドバイスなどの支援を受けられます。
支援上限回数は基本的にありませんが、派遣を利用する場合は3回までのため注意しましょう。
具体的に相談できる内容
総務省テレワークマネージャー相談事業では、以下のような内容を相談できます。
- テレワークをおこなうシステムの相談
- 勤怠管理や労務関係の相談
在宅勤務を開始するには、基幹システムの入れ替えやワークフローの抜本的な変更、また勤怠や労務管理が課題となりやすいです。
建築業界では特に、電話・FAXなど口頭や紙で取引先とやり取りをおこなう風潮があり、テレワークの普及が難しいと言われていました。
しかし、テレワークマネージャー相談事業を利用すれば、自社の課題を解決して、スムーズにテレワークへの移行を進める足がかりとなるでしょう。
テレワークを行うためのシステムの相談
総務省テレワークマネージャー相談事業では、以下のようなシステム導入の相談や支援をおこなっています。
- システム導入の効果
- システム導入の方法
- 導入に向けての具体的な支援
まずシステム導入をすれば、どのような効果を得られるのか、そのメリットの説明をしてもらえます。
そのうえで、導入を決定した企業には導入の方法や、具体的な支援が可能です。
実際に現場に専門家を派遣しての支援もできるので、IT部門が自社にない企業でも、システム導入を安全かつスムーズに実行できるでしょう。
勤怠管理や労務関係の相談
また、テレワークの導入において課題になるのが勤怠管理や労務管理の方法です。
在宅で仕事をおこなうにあたり、以下のようなフローを見直す必要があります。
- 打刻管理
- 有給などの申請・承認フロー
- 残業時間
特に打刻時間などは重要です。
厚生労働省が打ち出した基準によれば、テレワークなどの止むを得ない事情においては、従業員は自己申告で労働時間を報告できます。
しかし、残業時間の過少申告あるいは過大申告をおこなうような、不正報告のリスクがあるでしょう。
そのほか、有給などの各種申請を紙ベースでおこなっていた企業は、申請書の作成・提出、承認フロー自体を見直さなければなりません。
総務省テレワークマネージャー相談事業を利用すれば、課題の解決や適正なシステムの紹介・またはテレワークにおける勤怠管理方法のアドバイスがもらえます。
総務省テレワークマネージャー相談事業の使い方

テレワークの導入にあたって、総務省テレワークマネージャー相談事業を使いたい方のために、利用方法を簡単に解説します。
- 支援フォームからの申し込み
- 企業団体とマネージャーのマッチング
- 電話・現地での支援
- 報告書の提出
在宅勤務や働き方改革を進めるために、支援を受けたい企業担当の方は参考にしてください。
支援フォームからの申し込み
まず総務省テレワークマネージャー相談事業のホームページから、支援フォームに申し込みしましょう。
まず、利用登録が必要のためアカウントを取得していない方は登録を済ませてください。登録完了後に、詳細の申請をおこなえます。
企業団体とマネージャーのマッチング
申請後しばらくすると、企業の担当者から、メールの返信が来ます。
まず自社の課題や不安点、相談したいポイントをまとめて伝えましょう。
具体的な支援の日にちをマネージャーと決めてください。
電話・現地での支援
テレワークマネージャー相談事業のマネージャーと決めた日時に、電話または現地でのテレワーク支援がおこなわれます。
相談内容に応じて、電話でアドバイスをもらえたり、システム導入のサポートが可能です。
報告書の提出
支援を受けたあとは、支援の内容についてや、テレワーク導入状況についてのレポートを提出して、支援が完了です。
テレワークマネージャー相談事業の利用事例

実際に建設業界でも、総務省テレワークマネージャー相談事業を利用し、テレワーク導入に成功した事例があります。
- 株式会社タケダ造園
- 株式会社クラフト
- 相日防災株式会社
どのような相談ができるのか、またサービスの利用でどのようなアドバイスを受けられるのか、わかるでしょう。
株式会社タケダ造園
株式会社タケダ造園は、小規模建築業に分類される企業で、個人邸宅の庭園設計・施工をおこなう会社です。
データ管理のDXを進めていたものの、システム使用方法やセキュリティ、労務規定の変更などに課題を抱えていました。
総務省テレワークマネージャー相談事業へ相談をおこなったところ、以下のようなアドバイスがあったそうです。
- データ管理に使っているシステムが複数あり、管理が非効率
- 社外アクセス制限をかけたことで、業務が停滞
- 作業員向けARグラスの提案
- 社外からのアクセスを安全におこなうためにVPN接続を提案
- テレワークの定義・就業規則の制定に向けた記載内容を提示
上記のアドバイスを受けて、「やるべきことを明確化でき、就業規則についても他社の事例を示してもらえたことで、具体的に規則の変更をおこなう方法が理解できた」というレポートが提出されています。
株式会社クラフト
株式会社クラフトは、サインや看板、ディスプレイ広告の企画設計・製作・施工を行う会社です。
テレワークにおいて、コミュニケーション不足や環境整備のトラブルが起きてしまい、情報収集を目的として、総務省テレワークマネージャー相談事業を利用しました。
相談については以下のようなアドバイスがあったそうです。
- Web会議ツールを2種類紹介し、テストをおこなって使いやすいものを導入するようアドバイス
- 勤怠・労務管理についてヒアリングを実施、統合できるソフトを紹介
上記のアドバイスを受けて、「丁寧に社員にヒアリングを実施するなど、誠実な対応だった。システムの一元化が課題と分かったので、その点を改善できるようにテレワーク環境の整備に取り組みたい」と、株式会社クラフト側は報告書を提出しています。
相日防災株式会社
相日防災株式会社は、消防や防災設備の設計・施工点検・販売などを行う会社です。
テレワーク推進のプロジェクトを指導したものの、ペーパーレス化に向けて、また勤務規定や労務管理で課題を抱えていました。
相日防災株式会社に対して、テレワーク相談事業側が送ったアドバイスは以下の通りです。
- 既にツール導入は進んでいたので、ペーパーレス化するための運用方法のアドバイスを実施
- 厚労省の規定について、労務管理の基本について解説
- 情報セキュリティについても、会社のルールの制定方法やセキュリティ対策を提案
アドバイスに対して相日防災株式会社は「既にツール自体は揃っていることが確認でき、また今後の運用方法が分かってよかった。DXによって人材の獲得ができた事例を紹介してもらったので、弊社でも同様の効果を期待したい。」というレポートを提出しています。
建築業界でも、総務省テレワークマネージャー相談事業は活用されています。
また、大手ゼネコンを中心として、既に省人化・業務効率化を目指して、DXの導入は加速している状況です。
テレワークやシステムの導入に不安がある企業担当の方は、ぜひ総務省テレワークマネージャー相談事業を利用してみましょう。
まとめ
総務省テレワークマネージャー相談事業を利用すれば、テレワークの推進に課題を抱えている企業も、自社でなすべきことを明確にし、アドバイスを受けられます。
無料でコンサルを受けられ、電話やWeb通話であれば回数も無制限のため、不安があればぜひ活用しましょう。