電気工事の見積もりの仕方は複雑ですが、見積書を作成することで業務内容における費用が明確化され、依頼を前向きに検討してもらえます。
現在では紙媒体の書類だけでなく電子ファイルとして見積書を作成することもできるため、簡単に施主へと提示することが可能です。
しかし、これまで電気工事の見積書を作成したことがない方は「どのようにして作成すればいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。
当記事では、電気工事に必要な見積もりの仕方や作成時のポイントなどを詳しく解説します。
電気工事の見積書作成におすすめのソフトもご紹介するため、ぜひ参考にご覧ください。
目次
電気工事の見積書作成に必要な知識

電気工事の見積書作成に必要な知識として、以下のような点について理解しておきましょう。
積算とは
積算とは、工事ごとの項目の定義や必要な材料・作業工程にかかる費用を計算するプロセスです。
積算を実施すれば、電気工事に必要な資材や人員、予算などが明確化されます。
見積書の金額の妥当性を検証し、適性な見積金額を提示することが積算の目的となっています。
また、工事業者は全体的な計画を正確に理解できるため、作業をスムーズに進めることが可能です。
積算が不正確になっていると、施主の予算オーバーや工事の品質に問題が発生します。
そのため電気工事のコストバランスや質を担保するためにも、積算は重要な役割があります。
歩掛とは
歩掛とは、作業完了までに必要な時間や工数を数値化した基準です。
電気工事の各作業に必要な要素(時間・日数・人数など)を一定の基準に基づいて数値化することで、どれくらいの時間で終わるのかわかります。
歩掛をもとに見積書を作成することで、施主に積算の根拠を具体的に説明できます。
歩掛を計算するためには、職人の技術レベルや資格、現場の条件、施工方法など時間で測れない要素を考慮することが大切です。
作業員ごとの歩掛が明確になっていれば、柔軟な人員配置や作業効率化ができるようになるでしょう。
労務単価とは
労務単価とは、作業員に対して支払う報酬の単価を指します。
給料や福利厚生費、社会保険などを含めた賃金が対象となっており、作業員ごとに労務費を算出します。
日当で労務費を決めることもできますが、歩掛を使う場合は労務単価×歩合で1人あたりの労務費を算出可能です。
給料をはじめ健康保険料や厚生年金料などの法定福利費を含め、8時間労働の基準で計算されます。
公共工事に関しては国土交通省が制定した「公共工事設計労務単価」を使用するため、こちらをもとに計算しましょう。
電気工事の見積もりの仕方

電気工事の見積もりの仕方は、以下の通りです。
類似案件の収集
電気工事の見積もりをはじめる前に、過去に似たような案件がないか収集します。
建物の用途や規模、設備から探し出し、物価や人件費の変動を考慮します。
最新の単価を積み上げることで、スムーズに積算を行うことが可能です。
国土交通省の公共建築工事標準単価積算基準や市販の積算マニュアルを参考にすれば、単価を設定しやすくなるでしょう。
設備の把握
施主から提供を受けた図面をもとに、建物の用途や規模に応じた設備を把握します。
違法工事になると罰則を受けるため、正確に設備を把握しておくことが大切です。
受電方式や建物特有の設備の有無もチェックし、不足している設備や改修も合わせて確認してください。
建築基準法や消防令、自治体の条例の改正情報もチェックしながら対応しましょう。
材料費の算出
設計図や施工図をもとに、必要な部材を特定しながら材料費を算出します。
電気工事の設計図や施工図は設備や部品の配置場所や配線を系統ごとに表しているため、ほかの工事に比べて複雑です。
ただし、部材の拾い出し作業を怠ると、工事の受注後にミスが発生する可能性も高いです。
図面の作成者であっても部材の数や長さは間違えやすいため、ほかの作業員がかかわるときは注意しなければなりません。
部材の拾い出し作業には手間と時間がかかりますが、間違った請求をしないためにも慎重に対応が必要です。
材料費を算出するときは、ロス率を考慮しながら料費を現場まで運ぶ運搬費も含めるようにしましょう。
施工費の算出
施工費は、工事を行うためにかかる技術的な費用です。
施工費と材料費はそれぞれ異なるため、算出時には含まれません。
施工費は労務費としても扱われることがあり、作業員ごとに労務単価を計算しながら工事全体の労務費を算出します。
建築業における施工費の計算式は、施工費=所要人数(所定の作業量×作業の歩掛)×労務単価(日額+割増賃金)で算出します。
国土交通省では毎年職種ごとに公共工事設計労務単価を公表しているため、民間の電気工事はこちらをもとに労務費を計算する流れが一般的です。
経費費用の算出
経費費用には、共通仮設費や一般管理費、現場管理費、法定福利費などがあります。
それぞれの詳細は以下の通りです。
- 共通仮設費:工事のための仮設建物や道路、環境・安全対策費
- 一般管理費:現場技術者の給与や現場事務所の通信・交通費
- 現場管理費:請負会社の管理部門の給与や光熱・通信費、広告料
- 法定福利費:企業が法律に基づき従業員に提供する保険や費用
上記経費は公共工事において計上が規定されているものの、民間工事には明確な基準はありません。
しかし、法定福利費を下請が元請に見積書を作成・提出する場合、民間工事でも内訳明示することが義務付けられている点には注意しておきましょう。
電気工事の見積もり作成時のポイント

電気工事の見積もり作成時には、以下のようなポイントをチェックしてください。
過去データの参照
過去の工事単価を参考にすることで、効率良く見積書を作成できます。
電気工事の場合、規模や使用材料などが似ている工事は参考になるでしょう。
注意点として、歩掛は変動していることが多いため、詳細をチェックしながら最新情報に更新することが大切です。
見積もり作成ソフトを導入すれば、自動更新によって過去の類似案件からデータを使って簡単に見積書を作成できるでしょう。
見積書の作成コストの算出
電気工事の見積書を作成するときは、作成コストを算出するようにしましょう。
積算の必要な見積書を作成する場合、細かな作業が必要です。
見積書の作成に対応する担当者の負担が大きくなるため、効率良く進めたいときは専用ソフトの導入をおすすめします。
見積書作成ソフトを導入すれば、コストを削減しながら電気工事の見積書を作成可能です。
一度作成した見積書は保存しておけるため、同じような案件を対応するときにも再利用できます。
そのため見積書の作成コストを軽減するためにも、見積書作成ソフトを導入するようにしましょう。
適切な価格設定
施主に内容を理解してもらうためにも、見積書を作成するときは工事内容や材料の種類・数量などを明確に記載しましょう。
公共工事では設計内訳書通りに見積もりを作成することが多いですが、民間工事は自社で見積書を提出しなければなりません。
例えば材料について記載する場合、名称や規格、品番まで細かく記載することが大切です。
価格設定では最新の市場価格を調査し、適切な見積書を施主に提出するようにしましょう。
工事規模を考慮した計算
電気工事の見積書を作成するときは、工事規模を考慮した計算が必要です。
工事規模によって必要な設備は異なるため、作業員数や機器などを把握しながら計算する必要があります。
特に大規模の電気工事になると見積書の内容は複雑になるため、ミスがないよう細かく計算することが大切です。
もし計算のミスをなくしたいと考えているなら、見積書作成ソフトを導入するようにしましょう。
【電気工事共通】基本的な見積書の書き方

電気工事の基本的な見積書の書き方として、以下の項目を記入します。
- 宛名
- 差出人の氏名
- 見積書の通し番号
- 発行日
- 見積もりの合計金額
- 見積もり内容
- 各項目の小計・消費税・合計金額
工事の見積書は一般的な書き方と同じなため、上記項目について記入すれば完了です。
工事内容について補足説明があるなら、見積書の備考欄に記入する流れが基本となっています。
施主へ見積もりについて伝えておきたい内容があれば、備考欄から説明するようにしましょう。
電気工事の見積書作成にはテンプレート利用がおすすめ

電気工事の見積書を一から作成するためには手間と時間がかかるため、テンプレートの利用をおすすめします。
ビジネスソフトとして利用されているExcelで見積書を管理するなら、無料テンプレートを利用して簡単に作成できます。
国土交通省が提供している無料のテンプレートを利用すれば、初心者でも簡単に電気工事の見積書を作成可能です。
サイトのページを開いて対象のテンプレートをクリックすればインストールされるため、手間は一切かかりません。
ただし、Excelは見積管理に特化したツールではないため、スムーズに作成したい方は専用の見積書作成ソフトを利用してください。
導入をおすすめする見積書作成ソフトについては、次項から詳しく解説します。
電気工事の見積書作成おすすめソフト3選

こちらでは、電気工事の見積書作成おすすめソフトを3つご紹介します。
各ソフトの詳細や特徴について説明するため、ぜひ導入を検討してください。
1.AnyONE

AnyONEは、建築業向け業務効率化ソフトです。
建築業に関する幅広い作業に利用でき、見積書の作成だけでなく顧客管理や工事・施工管理、入出金管理、アフター管理なども可能です。
見積書の作成では、Excelのような操作感で簡単に作成できます。
パソコンだけでなくスマホやタブレットでも利用できるため、場所を選ばずに使える点も特徴です。
大手・中堅企業から一人親方まで、規模感を問わず活用できます。
導入企業3,400社以上、ユーザー数14,000以上の実績があり、信頼と安心のソフトとなっています。
お役立ち資料も無料配布されているため、操作や使い方を迷わず利用可能です。
建築業の幅広い作業で利用できるソフトを導入するなら、AnyONEの利用がおすすめです。
2.でんきやさんV5

でんきやさんV5は、電気設備工事業向け積算ソフトです。
電気設備工事に関する積算・見積作業を簡単かつ正確に行うことができ、約11,000件の電気工事用材料マスタを標準搭載しています。
労務歩掛については、公共工事設計労務単価と材料単価による複合単価を搭載している点も特徴です。
電気工事の見積書を作成するための機能が豊富に搭載されているため、作業を効率良く進められます。
買取版と月額版の2種類を展開しているため、自社の予算に合わせて利用できます。
電気工事特化型の見積書作成ソフトを求めるなら、でんきやさんV5の利用がおすすめです。
3.建築業向け管理システム アイピア

建築業向け管理システムアイピアは、社内の情報を一元管理できるソフトです。
建築業務に必要な機能がまとめて搭載されており、煩雑になりやすい進捗状況や書類、ファイルなども一元化できます。
PCが苦手な方でも手軽に利用できるように、誰でも直感的に操作できるレイアウトやボタン配置となっています。
アイピアはクラウドシステムとなっているため、インターネットがつながる環境であれば場所を選ばず利用可能です。
企業の要望に合わせて、運営会社がオリジナルカスタマイズしてもらえます。
建築業に必要な機能が豊富に搭載されているソフトを求めるなら、築業向け管理システムアイピアの利用がおすすめです。
まとめ
今回は、電気工事に必要な見積もりの仕方や作成時のポイント、見積書作成におすすめのソフトなどを詳しく解説しました。
電気工事の見積もりは、積算や歩掛、労務単価をもとに作成が必要です。
材料費や施工費などの算出も必要になるため、見積書の作成には手間と時間がかかります。
効率良く見積書を作成したいときは、専用の見積書作成ソフトの導入がおすすめです。
ぜひ当記事でご紹介した電気工事の見積もりの仕方やおすすめソフトを参考にしながら、電気工事も見積書を作成してください。
建築現場博士がおすすめする工務店・建築業界の業務効率化ソフトはAnyONEです。
導入実績2,700社超の業界No.1基幹システムで、国交省「第一回 長期優良住宅先導的モデル事業」に採択されています。
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また、システムの導入後も徹底的なサポートを受けられるため、安心して運用できるでしょう。
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