建築コスト管理士は、積算・見積り業務に携わる方にとって最上位の資格です。
積算・見積り業務に携わる方は、建築コスト管理士の取得を検討している方も多いでしょう
本記事では、建築コスト管理士の概要や仕事内容、取得するメリット、難易度・受験手数料などについて解説します。
建築コスト管理士の取得を検討している方は、ぜひ最後まで読んでください。
目次
建築コスト管理士とは?
建築コスト管理士とは、建築において設計段階からコストマネジメント業務がおこなえるプロフェッショナルのことです。
建築コスト管理士は、公益社団法人日本建築積算協会が認定している資格です。
建築コスト管理士には、以下の2つの能力が求められます。
建築コスト管理士は、設計や建築時にかかるコストだけでなく、建物の維持・管理費用などの幅広い知識が必要です。
建築積算士との違い
建築コスト管理士と似た資格に「建築積算士」があります。
建築積算士は、図面を基に工事費や材料の数量を算出するプロフェッショナルです。
建築積算士は建築コスト管理士の前段階にあたる資格です。
建築業界では、1980年代から図面から工事費の算定をするだけでは、適切なコストが算出できないと認識されるようになりました。
新たなにプロジェクト全体のコストマネジメントを行えるプロフェッショナルとして、建築コスト管理士が創設されました。
建築コスト管理士は、建築積算士としての知識や経験をもとにプロジェクト全体でコストマネジメントをおこなえる資格です。
建築積算士について詳しく知りたい方は、下記の記事をご確認ください。
建築コスト管理士の仕事内容
建築コスト管理士の仕事内容は、一般的には下記の3つであることが多いです。
- プロジェクト予算と想定される工事費を比較し、設計内容の調整や変更をおこなうこと
- 建築物の性能比較、工事費の算定を初期段階からおこなうこと
- 構造計画や設備の方式について、複数の案を提案すること
ただし建築コスト管理士の仕事内容は、会社や立場によって異なります。
建築コスト管理士のメリット
建築コスト管理士を取得するメリットは以下の3つです。
後述しますが、建築コスト管理士には受験費用だけでなく、登録費用・更新費用もかかります。
しかし費用以上のメリットがあるため、積算・見積り業務に携わっている方は建築コスト管理士の取得を目指してください。
建築工事におけるコスト管理のスペシャリストになれる
建築コスト管理士の取得で建築工事に受けるコスト管理のスペシャリストになれます。
建築コスト管理士は、積算・コスト管理における最高位の資格です。
建築コスト管理士は誰でも受験できる資格ではないため、建築に携わっている方しかそもそも受験資格がありません。
そのため建築コスト管理士の取得によって、経験だけでなく知識の面でも、積算・コスト管理のプロフェッショナルと認識されるようになります。
建築コスト管理士は積算や見積り業務を担当している方で、さらにスキルアップしたい方におすすめしたい資格です。
資格手当
会社によっては建築コスト管理士を取得すると、資格手当が支給されます。
月5,000円の支給であれば、年間で60,000円の収入アップです。
月10,000円の支給だと、年間で120,000円も収入がアップします。
そのため、すぐに収入アップを目指したい方は建築コスト管理士を始めとした資格取得が有効です。
ただし会社の規定に資格手当がないと、いくら資格を取得しても収入アップにはつながりません。
収入アップを目的に建築コスト管理士を取得する方は、会社の規定を確認し、建築コスト管理士の取得によって手当が支給されるのか調べてください。
転職時に評価されやすい
建築コスト管理士は、転職時に評価されやすい資格です。
建築コスト管理士は、自治体(発注元)によっては入札時の加点評価となる資格です。
例えば、沖縄県の建設工事入札参加資格審査、測量及び建設コンサルタント等業務入札参加資格審査では、主観項目(技術者)で2点の加点評価がされています。
そのため、公共工事に参加するゼネコン・工務店は入札を有利に進めるため、有資格者を優先的に採用する可能性が高いです。
また建築コスト管理士の取得によって、施工管理から内勤へ異動・転職したい方にもおすすめの資格です。
時に施工管理は「やめとけ」と言われるほど大変な仕事です。
そのため「内勤へキャリアチェンジしたい」と考えている施工管理者もいるでしょう。
建築コスト管理士を取得すれば、積算・見積り業務に対して一定の知識があると証明できるため、内勤への異動・転職の希望が叶いやすくなります。
建築コスト管理士の難易度・受験料
建築コスト管理士の試験を受けるためには、以下いずれかの条件を満たさなければなりません。
- 建築積算士を取得後、更新を1回以上をおこなった方
- 建築関連業務を5年以上経験した方
- 一級建築士に合格し登録している方
【参考】建築コスト管理士制度の概要-公益社団法人日本建築積算協会
試験は毎年10月下旬頃に実施され、筆記試験(学科と短文記述)によりおこなわれます。
試験時間の合計は4時間30分で、学科2時間30分、短文記述が2時間です。
過去5年間の合格率の推移は下記の通りです。
- 2018年:74.2%
- 2019年:82.6%
- 2020年:67%
- 2021年:63.3%
- 2022年:47.9%
【参考】建築コスト管理士-JQOS.jp
2022年以外は合格率が60%を超えているため、難易度の低い試験と思う方もいるでしょう。
ただし、建築コスト管理士の受験資格はある程度建築業界に携わっていないと満たせないため、そもそも受験者のレベルが高いと想定されます。
受験を予定している方は、油断せずにしっかりと試験対策をおこないましょう。
また建築コスト管理士の受験手数料は29,700円(消費税込み)です。
ただし、短文試験のみの受験手数料は16,500円(消費税込み)です。
また試験合格後の登録手数料は15,400円(消費税込み)となっています。
建築コスト管理士の年収
建築コスト管理士の年収は、大手求人サイトを確認すると530万円が平均です。
年収の幅はおよそ350万円〜900万円と、勤務する会社や経験年数などによって左右される部分が多いと言えるでしょう
建築コスト管理士を目指すべき人
建築コスト管理士の取得をおすすめする方は、下記に該当する方です。
- 現在積算・見積り業務に携わっている方
- 将来積算・見積り業務に携わりたい方
- 内勤にキャリアチェンジしたい方
- プロジェクトの統括責任者
- 発注者としてコスト管理に関わる方
まとめ
本記事では、建築コスト管理士の概要や仕事内容、取得するメリット、難易度・受験手数料などについて解説してきました。
建築コスト管理士は、建築プロジェクトの設計初期段階からコストマネジメント業務がおこなえるプロフェッショナルのことです。
建築コスト管理士を取得するメリットは以下の3つです。
- 建築工事におけるコスト管理のスペシャリストになれる
- 資格手当
- 転職時に評価されやすい
建築コスト管理士の合格率は6割前後のため、勉強せずに合格できる資格ではありません。
しかし建築業界は、労働時間が長く勉強時間を確保できないと悩む方もいるでしょう。
勉強時間を確保するためには、業務効率化システムを導入して会社全体の生産性を高め、労働時間を削減する方法がおすすめです。
ただ「自分では自社に合うシステムを選べない」と考える方もいるでしょう。
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