工事管理システムは、建設企業の業務を一元管理でき、業務効率をアップさせることができます。システムにはさまざまな機能があり、自社に合うものを導入する必要があります。
本記事では、工事管理システムの代表的な機能と導入時のポイントを解説します。
目次
工事管理システムとは
工事管理システムは、建設会社に必要な管理機能を搭載しており、業務を一元管理できる特徴を持ちます。
管理機能は、工事の受発注管理・工程表管理・図面管理・入出金管理など多岐に亘ります。
建設会社のさまざまな業務をシステム上でこなすことができ、業務効率向上や経営陣の素早い判断をサポートします。
工事管理システムの導入利点
実際、工事管理システムを導入するとどのような利点があるのでしょうか。
下記に注目して解説します。
- 工事管理の業務効率化
- 作業状況の把握と共有
- 迅速な経営陣の意思決定
工事管理の業務効率化
工事管理システムを導入する大きな利点のひとつは、業務効率化できる点です。
今まで使用していた紙資料はデジタル化されるため、建設現場からでもタブレットやスマホがあれば必要な資料を確認できます。また、現場から受け取った情報も、社内外で即座に共有ができるため効率的です。
従来の管理方法では、建設現場ごとに多くの紙資料を持ち運んでいました。会社に戻らないと必要な資料が閲覧できない、作業ができないなどの問題があり、多くの時間を費やすこととなりました。
また、建設業界は長時間労働が問題視されており、働き方改革が求められています。2024年に「働き方改革関連法(改正労働基準法)」が施行されるため、労働環境の是正や労働時間管理は欠かせません。
従来のアナログな方法ではなく、システムなどにより業務をデジタル化することが注目されています。建設業に関するデジタル化は、以下の記事を参考にしてください。
作業状況の把握と共有
建設工事は、必ず工期が定められています。設定された工期を確実にクリアすることは、会社の信用に直結します。そのため、作業状況の把握と関係者への情報共有は、素早く対応しなければなりません。
工事システムで管理すれば、工程表や進捗状況もすぐに共有可能です。
作業内容の確認や変更、連絡もシステム内で管理できるため、紙資料などのアナログ管理より「重要な連絡が抜けてしまった」などのミスが起こりにくくなります。
迅速な経営陣の意思決定
工事管理システムで一元管理できることの利益は、従業員だけにもたらされるものではありません。
経営陣が、自社の業績をいち早く知るツールにもなります。経営陣がリアルタイムで会社の状態を把握できることは、必要な場面での迅速な舵取りにつながります。
特に予算や原価、入出金など経理関係の管理がシステムで可能なため、時間をかけずに自社の利益を把握可能です。
見積りや実行予算など、それぞれの段階で利益の推移がわかることも工事管理システムの特徴といえるでしょう。
工事管理システムの主な機能
工事管理システムの代表的な機能を8つ説明します。
- 顧客管理
- 受発注管理
- 入出金管理
- 工事原価管理
- 工程表管理
- 現場情報管理
- 作業日報管理
- 顧客アフター管理
顧客管理
顧客情報をシステムで社内共有することにより、担当者しかお客様の詳細がわからないという状況を防ぐことが可能です。
対応履歴も残せるため、担当者不在時のお客様対応や、引継ぎも楽になります。
顧客情報は、システム上にデータ化されるため、会社に戻らなくてもスマホから確認でき、便利です。
受発注管理
建設業界では、受発注は見積りや契約書のやりとりを何度も紙資料で行い、捺印や郵送の事務作業に手間がかかります。
システム上で受発注ができれば、煩雑な書類作業が簡単になり、進捗状況も確認画面で見ることができます。
発注状況もシステム上の画面ですぐにわかるため、発注忘れも防ぐことができます。
入出金管理
請求書の発行は、見積りに紐付かせることができます。
情報がシステム上にまとまっているため、請求書内容のミスを減らし、スピーディーな作成が可能です。入金予定をアラーム設定でき、忘れずに状況を確認できます。
万一担当者がいなくても、状況は共有できるため、現在どのような段階か確認することが可能です。
経営陣も収支の状況をリアルタイムで確認でき、利益の推移をいち早く知り、その後の判断を迅速にできます。
工事原価管理
現場ごとの原価管理が可能です。工事予算と工事原価の差で利益が決まるため、収支状況をシステムでいち早く把握できます。
今後発生する見込みの支払いや売上全体の原価率も管理可能です。
予定外の費用が発生した場合も収支バランスを即座に見られるため、経営陣が早い段階で赤字を回避するよう方針転換できます。
工程表管理
工程表をシステム管理すれば、担当者や作業工程の一覧が一目でわかります。
工事現場が複数ある場合も、一覧表にできるシステムなら一括管理できて便利です。
日程変更も簡単に入力でき、関係者に共有できます。現場の職人にも、最新の工程表を常に提供できます。
現場情報管理
工事現場では、記録を残すため写真を撮ることがあります。
デジカメで撮ると画像データをアップしに会社に戻らなければならない手間がありますが、システムで管理できればスマホで現場写真を撮り、その場でアップロードできます。
また工事現場の詳細を記録するため、黒板に記入した内容をデータで管理できる機能を有すシステムもあります。
電子黒板は改ざんを防止できる機能を搭載しているため、信頼性も担保しながらデータを即座に共有できます。
作業日報管理
日々の進捗状況を報告する場合、工事現場から会社に戻ってわざわざ作成する必要はありません。
システム上なら現場で日報作成が可能です。
仕上がった作業報告書は関係者に共有できるため、問題点や作業の進み具合もすぐに把握できます。
顧客アフター管理
工事が完了し、顧客に物件を引き渡したら終わりではなく、その後のメンテナンスも重要です。
一度完成した物件は、数年〜数十年先に修繕などの大規模な工事もあるため、システムで管理すると便利です。
アラーム機能を持ったシステムなら、お客様にメンテナンス時期の通知忘れを防げます。
また万一リコールがメーカーから出ても、品番などでどの案件が対象かすぐにわかり、クレームを未然に防ぐことも可能です。
アフター管理を充実させることは、顧客満足度を向上させることにもつながります。
住宅の修繕工事などアフター管理については、以下の記事を参考にしてください。
工事管理システム選びのポイント
工事管理システムは、ひとつではなく複数種類あります。
実際に導入したい場合、当然どのシステムでもいいわけではなく、自社に合ったシステムを選ばなければなりません。
ここでは、システム選びのポイントを説明します。
- 業務に合ったシステムを導入
- 提供形態の確認
- サポート体制の充実
業務に合ったシステムを導入
まずは、自社のどの業務を重点的に効率化したいかを確認してください。
システムには得意分野が存在します。幅広く業務をカバーしたいのか、特定の分野に範囲を絞りたいのかによって選ぶシステムは変わります。
またシステム導入前に、すでに別のシステムを利用している場合は、機能が被らないようにする必要もあります。
提供形態の確認
工事システムを導入する場合、自社サーバーを利用する「オンプレミス型」と、インターネットを介する「クラウド型」のどちらを採用するか考えなければなりません。
オンプレミス型は、自社の中にサーバーやネットワーク機器などを置いて運用します。サーバー機器やシステム導入費用に加え、稼働していないリソースにもコストが発生しますが、システムのカスタマイズをしやすい特長があります。
クラウド型は、自社にサーバーを置く必要はないため、導入費用は比較的安く済みます。基本的に決まったものを購入するため、カスタマイズはしにくいです。
2つの提供形態から、どちらが自社に適しているかメーカーに相談することをおすすめします。
サポート体制の充実
せっかく工事システムを導入してもサポート体制が無ければ、問題があったときに解決できず、業務効率がかえって上がらない可能性があります。
できるだけサポートを受けられるシステムをおすすめします。導入時の使い方講習や自社の用途に合わせて説明会を開催してくれるシステム会社もあります。
きちんとサポート体制が整っている会社からシステム導入を検討してください。
まとめ
工事システムは、建設会社の業務を一元管理できるシステムです。
システムには、さまざまな機能があり、自社の状況に合ったシステムを導入することが大切です。
自社に合ったシステムを導入すれば、受発注から入出金まで一元化して管理できます。
事務処理で膨大に使用していた紙も減り、ペーパーレスと業務効率アップにつながります。情報共有もリアルタイムにできるのが工事管理システムの特長です。
経営陣の判断も迅速になり、会社の利益向上にも役立つため、システム導入がまだの企業は、一度検討することをおすすめします。
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