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建設キャリアアップシステムとは?利用方法やメリットを解説

2019年より本格的に運用が開始された建設キャリアアップシステム(CCUS)。
国土交通省は「5年ですべての技能者の登録を目標とする」と発表しています。

本記事では、そもそも建設キャリアアップシステムとはどのような制度なのか仕組みを知りたい方や、登録を検討されている方に向けて、利用方法やメリットを解説します。

建設キャリアアップシステムとは

建設キャリアアップシステムとは

建設キャリアアップシステムとは、以下の3点を業界共通で管理するシステムです。

建設キャリアアップシステムで管理するもの
  • 技能者の保有資格登録
  • 社会保険加入状況の登録
  • 現場での就業履歴の蓄積

技能者の保有資格登録

建設業の技能者は他業界従事者と比べ、様々な事業者のもとで現場経験を蓄積していくため、これまで業界共通の評価基準がありませんでした。
その結果、個人の技能レベルが公平に判断されず、ある程度の経験を積んでいる技能者の能力が待遇に反映されにくい状況を作り出していました。

そのような状況を改善するために、まずは技能者の保有資格を登録し、評価を行う際の一つの基準とします。

社会保険加入状況の登録

登録してある情報が正しいことを証明するため、加入社会保険等証明書類(有効期限ありのものは期限内)も登録します。
有効であると確認されると、建設キャリアアップシステムに「証明書類が確認できている人の情報である」という旨が登録されます。

証明書類の一覧は以下を参考にしてください。

【引用】建設キャリアアップシステム加入社会保険等 証明書類見本一覧第2.1版‐一般財団法人建設業振興基金

就業履歴の蓄積

技能者が保有している資格に加え、これまで様々な現場で積んできた経験も建設キャリアアップシステムに登録します。

現場での業務内容が多岐にわたっていても業界統一の基準で判断されるため、公平な評価を受けることができます。

建設キャリアアップシステムの利用方法

建設キャリアアップシステムの利用方法

ここでは、建設キャリアアップシステムにどのような情報を登録して、どのように利用されるのか、大まかな流れを解説します。

建設キャリアアップシステムの利用方法
  • 技能者・事業者情報登録
  • 建設キャリアアップカードの交付
  • 現場の登録と施工体制の登録
  • 就業履歴を蓄積し、経験値を見える化

技能者・事業者情報登録

まずは技能者情報、事業者情報の登録を行います。

技能者の情報としては前章で述べた通り、本人情報、保有資格、社会保険加入状況等を登録します。

事業者情報としては、商号、所在地、建設業許可情報等を登録します。

詳しく知りたい方は、建設キャリアアップシステムの登録方法について説明している記事をご参考ください。

建設キャリアアップカードの交付

技能者、事業者の登録が完了したら、本人確認を行った上で技能者に建設キャリアアップカードが交付されます。

受け取る技能者は登録の方法によって登録料を支払う必要があり、全項目を登録する『詳細型』で4000円、本人情報・社会保険・建設業退職金共済の登録のみの『簡略型』で2500円です。
途中で『簡略型』から『詳細型』に変更する場合、1500円を支払う必要があります。

ちなみに事業者側は、資本金によって支払う料金が異なります。

また専門工事業団体等が職種ごとの能力評価基準を策定しているため、経験を積んだり技能レベルが上がることによってカードも色分けされ、自分の技能レベルを客観的に示すことができます。

現場の登録と施工体制の登録

次に元請事業者の方は、現場を開設する際に現場名と工事内容などの契約情報を登録します。

またそれを受けて、下請事業者の方は現場ごとに施工体制を登録し、自社の技能者の請負次数や技能者情報を登録します。

就業履歴を蓄積し、経験値を見える化

すべての登録が完了したら、元請事業者の方は現場にカードリーダーを設置します。
技能者の方は、元請事業者の方が用意したカードリーダーに自分の技能者カードを読み込ませることで、就業履歴を記録していきます。

これで、技能者の方がいつどこの現場でどのような内容の業務を行ったかがシステム上に記録され、蓄積されていきます。

また、システム上には技能者の保有資格や社会保険加入状況等も記録されているため、技能者の経験値・レベルが”見える化”されている状態となります。

【事業者】建設キャリアアップシステムのメリット

【事業者】建設キャリアアップシステムのメリット

国土交通省が建設キャリアアップシステム登録を推奨している背景には、大きなメリットがあります。ここでは、建設キャリアアップシステムに登録することで事業者側にどのようなメリットがあるのかを解説します。

事業者におけるメリットは、大きく分けて以下の2点です。

事業者のメリット
  • 現場管理の効率化
  • 事業者としての評価アップ・人材確保

現場管理の効率化

現場に入る技能者の情報を確認する際、社会保険加入状況等の情報がシステム上に記録されているため、確認作業が効率的に行えます。

また施工体制台帳や作業員名簿等もシステムの情報を反映させられるため、作成の手間が省けます。

現在は技能者に交付する証紙を手作業で用意していますが、今後はシステムに蓄積された就業履歴を使って証紙請求書類を作成できるツールも開発予定です。
ますます現場での管理作業が効率化できるようになるでしょう。

事業者としての評価アップ・人材確保

建設キャリアアップシステムに対応することで「こんな資格を持っている人、こんな経験のある人が何人いる」というように施工先・取引先にアピールしやすいのみならず、技能者にも「労働環境が整備されている」といった良い印象を持ってもらうことができます。

また建設キャリアアップシステムの登録により、建設業界全体で定められた基準において技能者を育てて認める仕組みが出来上がるため、技能者の定着が見込める点もメリットです。

【技能者】建設キャリアアップシステムのメリット

【技能者】建設キャリアアップシステムのメリット

建設キャリアアップシステムのメリットは、もちろん技能者側にもあります。

ここでは、建設キャリアアップシステムに登録する技能者におけるメリットを解説します。

技能者におけるメリットは、大きく分けて以下の2点です。

技能者のメリット
  • 技能レベルを公平に評価してもらえる
  • 技能レベルに合った処遇が受けられる

技能レベルを公平に評価してもらえる

これまで現場ごとの基準によって評価を受けていたため、当たり外れが大きかったと感じている技能者の方も多いでしょう。
しかし建設キャリアアップシステムに登録することで、技能者一人一人のレベルが公平に評価されるようになります。

また評価基準が共通となることで、どのようにスキルアップしていけば良いのかも明確になります。

技能レベルに合った処遇が受けられる

先述の通り、技能者一人一人のカードには保有資格やこれまでの就業履歴が蓄積されています。これにより、これまで自身の働きぶりと評価が見合っていないと思っていた方も正当な評価・処遇を受けることができます。

またシステムに蓄積される情報により、カードがレベルによって色分けされるため、自分のキャリアを簡単に証明することもできます。

まとめ

今回は建設キャリアアップシステムとはそもそもどのような仕組みであるか、登録内容や利用方法を解説しました。

建設キャリアアップシステムは、登録・利用することで技能者・事業者の双方にメリットの大きいシステムです。

建設キャリアアップシステムの登録方法を確認したうえで、この機会にぜひ登録されることをおすすめします。