「トライブリッド蓄電システムのパワコンとは?」
「パワコンは壊れやすいと聞いたが、施主にデメリットをどう説明すれば良い?」
トライブリッド蓄電システムにおいてパワコンは、全ての機器を動かすために絶対に必要な設備です。
この記事ではトライブリッド蓄電システムのパワコンの概要とパワコンでできること、デメリットを解説。
さらに後半では、パワコンの価格や補助金についても触れています。
目次
そもそもトライブリッドとは?

トライブリッドとは、太陽光発電システムとV2Hシステム、蓄電池を併用した家庭用の蓄電システムです。
太陽光発電システムで作った電力を蓄電池や電気自動車に充電し、有効活用できます。
蓄電池と電気自動車のバッテリー双方に充電できるため、蓄電できる容量が増えるだけでなく、蓄電した電力で家電をより広い範囲で動かせます。
3つのシステムを連携させることで、電力の自給自足も目指せる画期的な電力活用法です。
トライブリッドの仕組みやメリットについて書いた記事も、参考にしてください。
トライブリッド蓄電システムに欠かせないパワコンとは

トライブリッド蓄電システムに欠かせない機器であるパワコンについて説明します。
パワーコンディショナーの略称
パワコンとはパワーコンディショナーの略称で、太陽光発電システムと連携機器を制御する要の機器です。
仮にパワコンが壊れると太陽光発電で作った電力を家庭で使うこともできず、蓄電池や電気自動車への充電もできなくなります。
太陽光発電システムにおいてパワコンは非常に重要な機器であり、パワコンなしでは電力の有効活用自体が成り立ちません。
トライブリッドにおけるパワコンの役割
トライブリッドにおけるパワコンの役割は、太陽光発電システムと蓄電池、電気自動車のバッテリーの制御です。
太陽光発電システムで作った電力を蓄電池や電気自動車のバッテリーへ送り、またその際に電力を自動で変換して相互に有効活用できるように調整します。
もちろん、太陽光発電システムから電力会社への売電もパワコンで制御が可能です。
トライブリッドにおいてパワコンは、全ての電力をコントロールして、最も効率よく充放電ができる役割を担っています。
トライブリッドのパワコンでできる3つのこと

トライブリッドパワコンで実現できる3つのことを説明します。
3つの電池の効率的な制御
トライブリッドのパワコンでは、3つの電池の効率的な制御が可能です。
3つの電池とは太陽光発電に内蔵されている太陽光電池、蓄電池、電気自動車のバッテリーです。
本来独立しているはずの3つの電池を1つのパワコンで制御し、生活リズムに合わせて給電したり蓄電したりをボタン1つで切り替えられます。
導入する製品により、切り替えの方法等は異なります。
パワーコンディショナーによる充放電サイクルの最適化により、充放電が効率化し、長期的にロスなく電力の有効活用が可能となります。
周辺機器の増設が可能
導入するパワコンによっては、あとから周辺機器を増設できます。
たとえば、ニチコンのESS-T1/T2シリーズはあとからV2H設備や蓄電池を増設できる画期的な製品。
最初は太陽光発電システムと蓄電池のみを導入し、追加でV2Hを導入するなど臨機応変な機器導入が可能です。
初期費用を抑えて試験的に太陽光発電を運用してみたいなどのニーズに応えられる点も、トライブリッドパワコンの強みです。
電力のロスを最小限に抑制
実はトライブリッド蓄電池システムを導入せずとも、太陽光発電システムと蓄電池、V2Hを併用することはできます。
しかし、それぞれの機器が独立していると電力を流す際に変換ロスが生じてしまい、電力の有効活用とはいえません。
トライブリッド蓄電システムのパワコンは太陽光発電システムで作った電力を交流電力へ変換し、それを蓄電池や電気自動車へ給電する仕組みです。
そのため無駄な電力の変換回数を減らし、ロスを最小限に抑制できます。
トライブリッドのパワコンのデメリット

トライブリッドパワコンのデメリットは以下の2つです。
トライブリッド周りでもっとも故障が早い
トライブリッド蓄電池システムに限ったことではありませんが、パワコンは太陽光発電システム周辺機器の中で、もっとも故障するまでの期間が短いといわれています。
目安としてはトライブリッド蓄電システムのパワコンは、設置から10年程度で故障する可能性があります。
太陽光パネルの寿命が20〜30年程度、蓄電池やV2H機器が15年であることを考えると、確かにやや寿命は短めです。
これはパワコンは太陽光発電システムの心臓部ともいわれる機器であり、太陽光発電システムが稼働している間ずっと動き続けているためです。
機器自体も精密であるため、湿気や温度上昇に弱い弱点があり、他の機器と比べると劣化しやすいです。
トライブリッドパワコンを導入する際はこまめに自主点検をし、異常があればメンテナンスや買い替えが必要となります。
導入後に比較的早く壊れやすく、買い替えコストもかかる点はデメリットといえるでしょう。
導入費用が高額である
トライブリッドシステムのパワコンは、一般的なパワコンと比べると高額です。
トライブリッド蓄電池システムを開発した「ニチコン」のパワコン価格は、120万円(希望小売価格)であり決して安くはありません。
同メーカーのトライブリッド非対応のパワコン価格が80万円〜であることを考えると、導入費用がかかる点は欠点といえるでしょう。
確かにトライブリッドパワコンは導入費用が高いですが、補助金の申請が可能です。
施主が負担する導入費用を抑えるための補助金情報は、このあと紹介します。
トライブリッドのパワコン価格

トライブリッドを開発したニチコンのトライブリッドパワコンの価格について紹介します。
現在ニチコンが販売しているトライブリッド蓄電システムの種類、パワコンを含めた機器の価格をまとめました。
品番 | 価格 |
---|---|
ESS-T3シリーズ | トライブリッドパワコン¥1,200,000 蓄電池ユニット4.9kWh¥1,200,000 蓄電池ユニット7.4kWh¥1,700,000 V2Hスタンド(一体型)¥1,300,000 V2Hスタンド&V2Hポッド(3.5m)¥1,500,000 V2Hスタンド&V2Hポッド(7.5m)¥1,600,000 |
ESS-T1/T2 | トライブリッドパワコン※¥1,100,000 V2Hスタンド¥1,100,000 蓄電池ユニット¥900,000 ※ESS-T1の場合。ESS-T2は¥1,000,000です。 |
上記の価格に加えて、太陽光発電システムや電気自動車の導入にも費用がかかるため、合計で500〜600万円程度の予算を見込んでおくべきでしょう。
トライブリッドのパワコン購入時に使用できる補助金

トライブリッドの導入には補助金の活用が欠かせません。
特に新築住宅を検討している施主の場合は、住宅購入にお金がかかっているため、なるべく予算を抑えたいはずです。
トライブリッドで長期的な経済的なメリットを得られるとはいえ、目先の出費が少ない方が施主の負担もありません。
そこで、工務店側でもトライブリッドの導入に活用できる補助金をおさえておきましょう。
2024年最新のトライブリッド導入に活用できる補助金は以下のとおりです。
補助金 | 対象機器 | 補助額 |
---|---|---|
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金 | 充電設備(蓄電池) V2H充放電設備 | 設備費:30万円 工事費:15万円 |
令和5年度補正 電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業 | 蓄電池 | 補助上限額60万円まで 補助率1/3 |
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業 | ZEH/ZEH+住宅を新築する場合の補助金あるいは追加の蓄電池設備 | ①初期実行容量1kWhあたり2万円 ②蓄電システムの機器費の1/3(※工事費を含まず) ③補助額上限20万円 |
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 | 電気自動車 | 上限85万円 |
その他自治体の補助金事業 | 自治体による | 自治体による |
各補助金には予算上限や申請期限が設けられているため、事前に概要を確認したうえで申請を実施しましょう。
トライブリッド蓄電システムの補助金の概要をより詳しく説明した記事も参考にしてください。
まとめ
トライブリッドシステムにおけるパワコンとは、すべての電池と機器を制御する非常に重要な役割を担っています。
パワコンがなければ、太陽光パネルで作った電力を家庭で使うことはできません。
効率の良い充放電に欠かせない機器ではありますが、その分精密であり劣化速度が速いこと、高価である点はデメリットです。
施主にとって負担のない導入を考えている方は、同時に補助金情報も調べて頭に入れておきましょう。
さらに予算を抑えるには、太陽光発電をリースする方法もおすすめです。
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