非対面接触で荷物の受け取りができ、近年注目を集めている宅配ボックス。しかし、色々な種類・機能があるため、施主様に合わせた提案を行いましょう。
この記事では宅配ボックスの種類やメリットを徹底解説しています。記事の後半では宅配ボックスの導入における注意点も紹介しているため最後まで読んでみてください。
宅配ボックスとは?

宅配ボックスとは配達時に対面で受け取ることなく、荷物を入れてもらえるボックスのことです。「宅配ロッカー」とも呼ばれています。
外出時や入浴中にも宅配ボックスで荷物を受け取ることができるため、配達業者が来る時間を気にせずに生活することができます。
再配達の手間が省けるため、ネットショッピングを利用する方などを中心に需要が高まっています。
- 宅配ボックスの種類
- 宅配ボックスの使い方
- 宅配ボックスの便利な機能
宅配ボックスの種類
当初、宅配ボックスは集合住宅での導入が進められていましたが、最近では戸建て住宅でも利用されています。住まいに応じて種類が異なるため、紹介します。
- 機械式ボックス
- 電気式ボックス
- 簡易設置タイプ
- 工事設置タイプ
機械式ボックス
機械式ボックスはダイヤル錠やボタン錠で施錠、解錠するボックスのことです。
最も普及しているタイプのボックスで、電気配線工事なしで設置できるため簡単に施工できます。
また、比較的安価で導入できることや保守点検費用がかからないことが特長です。
しかし電気式ボックスと比べ、利便性や防犯性では少し劣ります。
電気式ボックス
電気式ボックスはタッチパネル式やテンキー式で施錠、解錠するボックスのことです。
カードキーを使用して解錠するタイプのボックスもあり、特に防犯性に優れています。
荷物が届くとメールで通知する機能や、オンラインで管理センターがサポートしてくれるサービスもあるため利用者にとって満足度は高いでしょう。
ですが、設置する際に電気配線が必要になるため工事が大掛かりになる可能性があります。また、保守管理のコストも継続的にかかります。
簡易設置タイプ
玄関先に簡易的にすぐ設置できる宅配ボックスで、色々な種類があります。
ポリエステルの袋状のものや、クーラーボックスのような形状をしているものなどさまざまです。
戸建て住宅の方はもちろんのこと、宅配ボックスがない集合住宅に住んでいる方にも利用されています。
簡単に取り付けでき、比較的安価なことも魅力ですが、ボックスごと盗まれるなど盗難のリスクがあることが問題点です。
工事設置タイプ
壁面に埋め込むタイプや、アンカーボルトを使って地面に固定するタイプがあります。
スチールなどの頑丈な素材で大型のボックスが多く、大きな工事が必要なため主に戸建て住宅で導入されています。
簡単に取り外すことができないため防犯性に優れています。
宅配ボックスの使い方
配達業者が荷物を入れて、その荷物を受け取るまでの流れは下記の通りです。
- 配達業者が荷物を宅配ボックスに入れて、解錠番号を設定する。
- 解錠番号を書いた配達通知書を郵便ポストに入れられる。
- 配達通知書を確認し、解錠して荷物を受け取る。
宅配ボックスの便利な機能
宅配ボックスは荷物を受け取るだけではありません。
捺印措置や非情脱出装置など便利な機能もあります。
捺印装置
居住者の代わりに宅配業者が受領印を押す装置です。
宅配ボックスの全てに必要ではなく、1物件に1つあれば問題ありません。
自動で捺印してくれるタイプや、印鑑を用意しておくタイプがあります。
非常脱出装置
子どもが誤ってボックスの中に入ってしまったときに脱出するための装置です。
中からボタンを押すことで扉が開きます。
宅配ボックスの需要が伸びている背景

近年、宅配ボックスの利用者が増加しています。
その理由について解説します。
- 置き配の利用者数が増加している
- 置き配の不安解消に宅配ボックスが効果的
- 再配達問題を解決できる
置き配の利用者数が増加している
「置き配」とは、玄関先や宅配ボックスなどの指定された場所に郵便物を置いて、配達完了とするサービスです。
郵便受け最大手の(株)ナスタが実施した調査では、置き配サービスを利用したことがある人の割合は2019年の26.8%から2021年には47.2%に増加しています。
置き配の利用者が増えた理由として、新型コロナウィルスの影響が挙げられます。
外出を控える中でネットショッピングの利用が盛んになり配達の数が増えた一方、非対面接触の需要が増加したため、置き配を利用するケースが多くなりました。
置き配の不安解消に宅配ボックスが効果的
人気の置き配ですが、利用者には不安の声もあります。
玄関先に荷物が置かれていると、荷物の盗難のリスクや、荷物の有無で不在だと知られてしまう可能性があります。
これらの不安を解消するのに宅配ボックスが効果的です。
宅配ボックスだと盗難に遭う心配もなく、荷物の有無が他の人に知られることもありません。
このように置き配の需要が増加しているため、宅配ボックスの利用が増加しています。
再配達問題を解決できる
ネットショッピングの利用者が増えたことで宅配便の取り扱い個数が増加する一方、ドライバーなどの労働力不足が進んでいるため、再配達を削減する動きが進んでいます。
再配達が減らないと配達業者の負担が増えるため、送料が増加してしまうなど消費者にも影響が出てしまいます。
経済産業省はこの再配達問題を解決するために、荷物の多様な受け取り方法を推進しています。そのうちのひとつが宅配ボックスです。
その結果、国土交通省の発表によると再配達率は平成31年には16.0%でしたが、令和2年には8.5%まで減少しています。
これは新型コロナウィルスの感染拡大防止による在宅時間の増加も関係していますが、宅配ボックスなどの利用者が増えたことで効率的に配達できていることも影響しています。
【参考】経済産業省:「置き配の現状と実施に向けたポイント」、国土交通省:「宅配便再配達実態調査」
宅配ボックスのメリットと注意点

宅配ボックスを利用する際のメリットと注意点を紹介します。
- 宅配ボックスのメリット:時間を有効に使える、対面で受け取る必要がなくなる
- 宅配ボックスの注意点:荷物受け取りトラブルの可能性、子どもの閉じ込め事故
宅配ボックスのメリット
宅配ボックスのメリットは、時間を有効に使えることと、対面で受け取る必要がなくなることです。
時間を有効に使える
配達時間を気にせずに生活ができることが最大のメリットです。
仕事で帰宅時間が遅い、休日も予定があり家を空けるなどの理由で配達の時間指定に悩むこともなくなります。
また、家にいても入浴中や料理中で受け取れず、再配達になってしまうこともありません。
宅配ボックスを利用することで、配達時間に縛られることなく時間を有効に使えます。
対面で受け取る必要がなくなる
宅配ボックスを利用すれば、玄関先に出て荷物を直接受け取る必要もありません。
特に高齢者の方や女性のひとり暮らし、子どもが留守番をしているときなど対面で荷物を受け取ることに不安を感じることもあるでしょう。
宅配業者を装ったセールスなどに出くわす可能性もなくなるため、セキュリティの面でも安心です。
宅配ボックスの注意点
宅配ボックスの注意点は、荷物受け取りトラブルの可能性があることと、子供の閉じ込め事故が発生していることです。
荷物受け取りトラブルの可能性
配達業者が解錠番号を伝票に書き忘れたり、間違った番号を書いてしまったり荷物が受け取れないケースがあります。
また、郵便ポストに配達通知書が入っているのに荷物が入っていないケースもあります。
考えられる理由としては以下のことが挙げられます。
- 配達業者が荷物を入れるボックスの番号を間違えた
- 盗難にあった
- 配達業者が荷物を持ち帰ってしまった
このようにトラブルが発生する可能性があるため、サポート体制を万全にしておきましょう。
子どもの閉じ込め事故
子どもが誤って宅配ボックスの中に入ってしまう事故が発生しています。
特に真夏や冬は危険なため、非常脱出装置がついている宅配ボックスを選びましょう。
まとめ
今回は宅配ボックスの種類や使い方について解説しました。
再配達問題や感染防止対策で注目を集めている宅配ボックス。
さまざまな種類の宅配ボックスがあるため、施主様のご要望に合わせて導入を提案してみてください。