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建設業のICT化で何ができる?導入に向けた課題とは

近年、建設業界でも進められているICT化。

ICT化が推進されることになった背景や具体的にできることについては知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、建設業界におけるICT推進の背景と具体的にできることや課題について解説していきます。

建設業界のICT化とは?

建設業界のICT化とは?

建設業界において、従来の施工管理は紙での図面管理や黒板を用いた検査記録が一般的でした。しかし、そのやり方は資料整理が煩雑になる上、現場に出る際には携行品が多く、悪天候の際は資料が濡れたり破れたりしてしまうといったデメリットがありました。

こうした課題のほとんどはICT化を進めることで解決できます。ICT化を導入することにより、業務を効率化できるほか、施工品質の向上や働き手のストレス緩和が可能になります。

以下では、ICT化推進の背景とデジタル・i-Constructionとの違いについて解説していきます。

建設業界のICT化とは?
  • 建設業界におけるICT化推進の背景
  • デジタル化との違い
  • i-Constructionとの違い

建設業界におけるICT化推進の背景

建築業界にICT化が求められている背景には、人材不足や生産性の低さ、3Kイメージの定着といった課題が関係しています。

建設業における人材不足は深刻で、建設業従事者はここ20年ほどで30%ほど減少しています。このような人手不足が続くと、これまで受け継がれてきた技術を後継者に伝えることができず、廃業する会社が増えてしまいます。これからの日本の建築業を支えるためにも、人手不足の解消は重要な課題です。

また、近年の建築業界に若い人材が不足し、高齢化が進んでいる理由としては、建築業界は3K(きつい・危険・汚い)のイメージが強いことを挙げられます。

建設現場での事故や災害の防止、熱中症への対策など物理的な対策だけでなく、ICT化を行うことで、効率的で清潔、安全な現場環境をつくっていくことが大切です。

デジタル化との違い

広義では「建設業のICT化」は「建設業のデジタル化」に含まれます。

建設業のデジタル化は建設ロボットなどを用いるハード面も含むのに対し、建設業のICT化は、建設に必要な「情報」を共有するためのものを指します。

i-Constructionとの違い

ICTが語られる際、i-Constructionという言葉をよく目にしますが、この2つはそれぞれ意味が異なります。

i-Constructionは、2016年から国土交通省が進めている、建設現場にICTの技術を導入している取り組みです。

ICTの活用により、生産性の向上や現場環境の改善を行うことなどを目的としています。

実際に進められているi-Constructionの主な施策は、ICT技術の全面的な活用や規格標準化による全体最適の導入、施工時期の平準化などです。

建設業のICT化でできること

建設業のICT化でできること

では、建設業をICT化することで具体的にどのようなことができるようになるのでしょうか。以下で解説していきます。

建設業のICT化でできること
  • 現場情報の管理・共有
  • 従業員の安全管理や健康管理
  • オンラインでのコミュニケーション

現場情報の管理・共有

ICT化により、スマホやタブレットなどを用いた図面や工数のやりとりや、WEBカメラを使って遠隔での現場状況の確認・業務指示が可能になります。

現場情報の共有や、施工データの編集、管理のような作業は最も手軽に始められるICT化です。

これらの作業は、それ自体は多くの時間を要さないため軽視されがちですが、準備時間や付属する作業時間が積み重なっていくことを考えると、ICT化により効率化図ることは施工管理の生産性を向上させます。

紙媒体で台帳や図面を管理している場合は、ICT化により電子データに変更することで、インク代や紙などのコストの削減が実現できます。

現場の3次元図面データや写真データ、帳票データなどにいつでもどこでもアクセスできようになることで、誰でも簡単に報告書を作成することが可能になるため、現場監督の作業時間を大幅に削減することができます。

従業員の安全管理や健康管理

作業員の安全管理や体調不良は、本人が気をつけていても避けられない場合もあります。周りの作業員が注意したとしても、人間が管理する以上限界はあります。

ICT化により、VRを使った危険体感教育による危機の認識やクラウドサーバーを用いた従業員の健康・安全管理が可能になります。

また、カメラを配置することで警告音やアラートを表示してくれる安全対策用のシステムなどもあります。ICT化をしたからといって完全に事故を防げるわけではありません。しかし、危険度が高い現場であるならばICT化による安全管理は優先的に取り組むべきだといえます。

これからの建築業界における安全・健康管理では、これまでと異なるアプローチが大切になります。

オンラインでのコミュニケーション

現場監督の業務は現場管理だけではなく、スケジュールや見積もりの管理など、事務作業もあります。

今まで現場と事務所を行き来していた現場監督者がリモートで進捗の確認を行うことができれば、業務の効率化を図ることができます。

また、現場でちょっと図面を確認確認するという際も、紙ではなくデジタル端末で行うことで修正や情報の共有を迅速に行うことが可能になります。

また、現場監督は会議なども頻繁にありますが、WEB会議システムやテレビ会議システムを導入することで会議をするためだけに事務所に戻る必要がなくなります。

打ち合わせのための出張が頻繁にある企業や、遠方の現場仕事を受注している企業は、移動にかかるコストと時間を削減することができるだけでなく、従業員が移動時間を他の業務に当てることができたり、残業時間を減らすことができるため生産性の向上にもつながります。

建設業界におけるICT化推進における課題

建設業界におけるICT化推進における課題

ここまで、建設業界でのICT化のメリットを紹介してきました。

しかし、建設業界でのICT化は浸透していないのが現状です。

建設業界でのICT化が難しい理由として、以下の課題を挙げられます。

建設業界におけるICT化推進における課題
  • 導入のコストが高いため中小企業には導入が難しい
  • 高齢ベテラン社員にはなかなか浸透しない
  • ICT導入に対応できる人員の確保

導入のコストが高いため中小企業には導入が難しい

建設業を支えている企業の多くは、資本金1,000万円以下で従業員数が少ない中小企業です。

つまり建築現場にICT技術を活用したくても、導入に資金が必要なため、高額な費用が必要となるICT化は、なかなか進められない企業が多いです。

国によるICT化の補助金制度などもありますが、それだけで全ての費用を賄うことは難しいでしょう。

そのような費用の問題があるため、余裕のない中小企業はICT化を後回しにしてしまい、結果的に普及を遅らせる原因となっています。

高齢ベテラン社員にはなかなか浸透しない

建設業に携わる従業員の高齢化も、ICT化を遅らせる原因となります。

ICTという最新のデジタル技術を従業員が扱うことができるようになるためには、ある程度デジタルに関する基礎知識が必要となります。

高齢者が新しい技術を覚えることは負担が大きく、導入を断念してしまうというケースも珍しくありません。

また、ICT技術の活用や習得を拒否されることもあるため、導入のハードルの高さがICTの普及における課題となっています。

また、下請け・孫請けのように縦割りで仕事が流れていく建築業界独特の分業構造が根強いため、自社の考えや判断のみで仕事のやり方を変更しにくいという部分もあります。

ICT導入に対応できる人員の確保

ICT化を実施するにあたり、ICT施工に関連する建設機器やソフトウェアを扱うことのできる人材の確保は課題となります。

国や建設機器メーカーが主催する講習に従業員を派遣し扱い方を習得することができれば、より簡単に精度の高い施工を行うことができるでしょう。

自社での実施が難しい場合は外注することもできますが、費用面を考えると、国や地方自治体、ソフトウェアメーカーなどの講習を社員に受けさせ、社内で対応できるようにすることが望ましいでしょう。

まとめ

今回は、建設業界におけるICT化推進の背景や具体的にできること、導入時の課題などについて解説してきました。

建設業のICT化にはさまざまなメリットがありますが、人材育成の不安に加えて、ICT化に必要な機器やソフトウェアを購入する費用についても課題と捉える方も多いでしょう。

国・自治体が発注する工事のすべての工程においてICT化が必要なわけではありません。施工規模が小さな案件や、3D設計データを必要としない単純な掘削などは、ICTの活用によって生産性の向上はほとんど見込めません。

自社の状況に応じて必要な機器を徐々に導入し、少しずつICTを進めていくのがいいでしょう。

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